アメリカのオバマ大統領は、議会がすでに可決した国防費に関する法案に署名し、2012年度予算では沖縄に駐留する海兵隊8000人のグアム移転にかかる支出が一切、認められないことが正式に決まりました。
オバマ大統領は、31日、アメリカ議会上下両院がすでに可決した2012年度の国防費に関する法案に署名し、法律が成立しました。この法律では、オバマ政権が求めた沖縄の海兵隊8000人のグアムへの移転に関する支出1億5000万ドル余り(日本円にしておよそ115億円)について、実現が不透明な事業への支出は「必要ない」として全額認めていないうえ、これまでにすでに認められている関連の予算についても凍結するとしています。凍結解除の条件としては、グアム移転の前提となっている普天間基地の名護市辺野古への移設で明確な進展があることなどを挙げており、今後、日本政府に対しては移設計画を進展させるよう求める声がさらに強まることになります。また、この法律には核開発を続けるイランに対する制裁措置として、イラン中央銀行と日本を含む外国の金融機関との取り引きをできなくすることを目指す条項も盛り込まれています。日本はイランから原油を輸入する際、イランの中央銀行を通じて決済を行っているため、イランから原油を輸入できなくなるおそれがあり、日本政府はアメリカ政府と緊密に連携を取って日本を制裁の例外扱いとするよう引き続き求めていくことにしています。