学長の逮捕(連載第22回)
朝日新聞朝刊に連載中の「プロメテウスの罠」の本日(2011年12月31日)掲載分を以下に引用します。
学長の逮捕:22
日本には技術がある
この夏、「チェルノブイリ・ハート」という映画が封切られた。
ベラルーシの放射能汚染地帯で生まれる先天性障害の子どもたちを取材したドキュメンタリー映画だ。
ベラルーシのお隣、ウクライナ放射線医学研究センターのエフゲーニャ・ステパノワは、チェルノブイリ原発の事故処理作業者の子どもたちを研究の対象にしている。
肩書は放射線・小児・先天・遺伝研究室長。専門分野について語る時、彼女の言い方は慎重になる。
「最初は全く否定されていましたが、仮説を立ててもよいという考え方も出てきました。被曝(ひばく)した両親から先天性の障害がある子どもが生まれるリスクがあるという仮説です」
もちろんあくまで仮説であり、証明はされていない。
仮説を立てたら立証したいところだが、それには調査が要る。
「国際機関や団体の資金援助を求めていますが、調査には多大な資金が必要で、とてもできません」
そして、こう言った。
「はっきりしているのは放射性ヨウ素で甲状腺がんが発生したこと。そのほかのことは分かりません」
学術的な証明のあるなしに関係なく、旧ソ連では行動があった。チェルノブイリから約130キロの現在の首都キエフから子どもたちを一時的に疎開させたのだ、と彼女はいう。いまも、ウクライナでは全国の市場で毎日、食品検査を行っている。
「旧ソ連時代にチェリャビンスク州で核事故が起きました。その経験で、悪い影響が出ることは予測できていたということです」
核事故は1957年。極秘扱いだったが、当局は放射能の人体への影響を把握していた、という。
放射能が体に与える影響を研究していてベラルーシ当局に逮捕された経験を持つバンダジェフスキーは、日本の現状を見てこう話す。
「私が研究を始めた時も国は全く協力しなかった。日本には技術がある。国民は、自分たちで健康を守るシステムを作ることが必要です」
住民自身の健康を守るため、東大理学部教授の早野龍五が提案したのが学校給食の放射能検査だった。福島県南相馬市がそれを断ったことをこの欄で紹介したが、同市は28日、早野に提案の受け入れを伝えた。
少しずつ、健康を守るシステムがつくられ始めている。
(松浦新)
(引用終わり)
>学術的な証明のあるなしに関係なく、旧ソ連では行動があった。チェルノブイリから約130キロの現在の首都キエフから子どもたちを一時的に疎開させたのだ、と彼女はいう。いまも、ウクライナでは全国の市場で毎日、食品検査を行っている。 「旧ソ連時代にチェリャビンスク州で核事故が起きました。その経験で、悪い影響が出ることは予測できていたということです」
核事故は1957年。極秘扱いだったが、当局は放射能の人体への影響を把握していた、という。
「旧ソ連時代にチェリャビンスク州で核事故が起きました。その経験で、悪い影響が出ることは予測できていたということです」
核事故は1957年。極秘扱いだったが、当局は放射能の人体への影響を把握していた、という。
チャルノブイリ事故の際、なんだかんだ言っても、旧ソ連の対応は早かった。日本政府の対応をみているとそう思いますね。
「旧ソ連時代にチェリャビンスク州で核事故が起きたことが教訓となったらしいということは、言われていますが、(わたしも知っている話ですが)極秘扱いだったわけで、真相は闇の中なんですけど。
>「私が研究を始めた時も国は全く協力しなかった。日本には技術がある。国民は、自分たちで健康を守るシステムを作ることが必要です」
技術があっても、それを使う人に倫理がないとか、知識がないでは、意味がない。それが露呈したのが、福島第一原発事故でした。
> 住民自身の健康を守るため、東大理学部教授の早野龍五が提案したのが学校給食の放射能検査だった。福島県南相馬市がそれを断ったことをこの欄で紹介したが、同市は28日、早野に提案の受け入れを伝えた。
何が起こったのか知りませんが、とりあえずよい方向にはむかっていると思います。南相馬市の子どもたちの内部被曝はかなり深刻とわたしは見ていましたから。(参照①②)
南相馬市については、子どもたちのデータが報道されていましたし、この「プロメテウスの罠」のシリーズ「学長の逮捕」も南相馬市にスポットを当てていました。
「年明けからは、深刻な事故の状況をはっきり伝えず、心配ないと言い続けた為政者に迫ってい」くそうです。(参照③)
当ブログも吊るし上げたい政治家がいっぱいいます。年始からの「プロメテウスの罠」が楽しみですね・・・
参照:
①2011年10月25日当ブログ記事:子どもの体内からセシウムが検出されたことが意味すること
②2011年11月5日当ブログ記事:南相馬市の乳幼児の内部被ばく検査の衝撃
③2011年11月26日当ブログ記事:「プロメテウスの罠」の秘密
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