元オウム真理教幹部で特別手配されていた平田信容疑者(46)を名乗る男が12月31日深夜、東京都千代田区の警視庁丸の内署に出頭した。警視庁捜査1課は指紋などから平田容疑者と断定し、1日未明、目黒公証役場事務長の仮谷清志さん(当時68歳)が拉致されて死亡した事件の逮捕監禁致死容疑で逮捕した。平田容疑者は出頭した理由を「時も大分たったので、一区切りつけたい」と供述し、事件については「車を運転しただけだ」と容疑を一部否認しているという。
逮捕容疑は、95年2月28日午後4時半ごろ、松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(56)らと共謀し、東京都品川区上大崎3の路上で、仮谷さんをレンタカーに監禁。山梨県上九一色村(当時)にあった教団施設に連れて行って薬物を注射し、同年3月1日、気管閉塞(へいそく)などで死亡させたとしている。同事件での逮捕者は11人目となる。
平田容疑者は31日午後11時50分ごろ、丸の内署に1人で出頭した。事前の連絡はなく、宿直員に「平田信です。出頭してきました」と告げた。特別手配のポスターに記されている身長と同じ183センチで、肩に届く茶色っぽい長髪で、変装をしたような形跡はなかったという。ダウンジャケットにジーンズ姿で、スニーカーをはいていた。持っていたリュックサックには、下着や着替え、シャンプー、くしを入れていた。携帯電話はなく、所持金は数万円程度だった。
平田容疑者は95年4月に教団に好意的な論評をしていた宗教学者が以前住んでいた東京都杉並区のマンションで時限式爆発物を爆発させたとして、同年5月に爆発物取締罰則違反容疑で指名手配された。96年2月まで仙台市に潜伏していたとされるが、一緒にいたとみられる女性信者とともに行方不明になり、逃亡は16年半に及んでいた。
オウム真理教事件では、平田容疑者のほか、高橋克也(53)と菊地直子(40)の両容疑者も地下鉄サリン事件などに関与したとして殺人容疑などで特別手配されている。
毎日新聞 2012年1月1日 2時53分(最終更新 1月1日 9時05分)