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[31035] 【習作】ドラゴンクエストⅤ -刻を越えて-
Name: 恭◆e803ccf5 ID:774f8010
Date: 2011/12/31 23:24
はじめまして。

読み専だったんですが、ふと思い立って書いてみました。

Arcadiaどころか色々初。

稚拙な文章ですが、ご指摘とか頂けたら幸いです。



12/31初投稿



[31035] ドラゴンクエストⅤ -刻を越えて- 第一話
Name: 恭◆e803ccf5 ID:774f8010
Date: 2011/12/31 23:25
世界を救った勇者の住む国、グランバニア。



その国の一室でひとつの命が終わりを迎えようとしていた。








「お父さん!!死んじゃ嫌だ!!お父さん!!」

「パパ!!嫌だよパパぁ!!」

「あなた・・・。」



 そこには魔王との戦いで傷付き、決して解けない呪いを掛けられてしまったグランバニア王、リュカとその家族の姿があった。




「そんな顔をしないでくれお前達・・・。僕は幸せだった。父さんと母さんの仇も取れたし、ミルドラースを倒して世界を救うことも出来た・・・。もうこの世界に闇は無い。ゴホッゴホッ・・・お前達二人はもう僕が居なくても立派に生きていける。二人とも、母さんの事を・・・頼んだよ・・・?」

「お父さん?!」


「ボロンゴ、ピエール、いるかい?」


「グルルルル・・・。」
「此処に。」

「二人とはもう10何年も共に旅をしてきたけど、僕の旅はそろそろ終着点みたいだ。先に逝かせてもらうよ?もし生まれ変わってもまた友達になれるといいね・・・。」


「ガオゥ!!」
「我が主はリュカ様のみ!また相見えることを心待ちにしております!」



「それじゃ皆、先に父さんと母さんの処に行く・・・よ・・・。」



「お父さーーーん!!」



 僕の人生、何不自由の無い・・・とは言えないけれど、充実してとても楽しい、すばらしい人生だったと胸を張って言える。
 けれども、もし・・・もしひとつだけ願いが叶うとしたら・・・、もう一度父さんに逢いたかったな・・・。




薄れ行く意識の中で最後にそう思った。




そして意識は途切れた。





そして物語は動き出す。

彼の思いを乗せて。







『ドラゴンクエストⅤ -刻を越えて-』







 ガタン!!

「痛っ!?」

あれ?何だ?何故僕は床に転がっている?

僕は床、隣にはベット。痛いってことはベットから落ちたっていうことかな?

おかしい、僕は確か死んだはずだ。ミルドラースの呪いによって。

何故?なぜ??ナゼ???

辺りを見回してみると見慣れない部屋模様。あと少し揺れてるみたいだ。

何故僕は此処にいる?此処は何処だ??

それよりも何故


僕の背が縮んでいる???



そう一人で自問自答を繰り返していると、そばにあったドアの向こうから


「リュカ!どうした!寝ぼけてベットから落ちたのか?」


と、懐かしい声が聞こえてきた。

間違いではないか?しかし間違えることの無い懐かしい声。




「父・・・さん」



僕の思考はまだ追いつかない。



[31035] ドラゴンクエストⅤ -刻を越えて- 第二話
Name: 恭◆e803ccf5 ID:774f8010
Date: 2011/12/31 23:30
『ドラゴンクエストⅤ -刻を越えて- 第二話』




頭が働かない。


3秒ほど経ってようやく頭が働きだし、現状を認識する。



「リュカ、大丈夫か?」

ドアを開けて大柄でひげを生やした男性が入ってきた。

忘れるはずもない。どこから見ても生前の父パパスの姿だった。





聞き違えることのない父の声、見違えることの無い父の姿。

リュカは声を振り絞るように問いかけた。

「父・・・さん・・・?間違いない・・・。父さんなんだね・・・?」

「どうしたリュカ?まだ寝ぼけているのか?っと、どうした、泣いてるのか?。
もしかして怖い夢でもみたのか?」

「え・・・?」

リュカはパパスに指摘され自分が涙を流していることに気づく。

「な、なんでもないよ?」

ちょっと恥ずかしそうに、リュカは誤魔化した。

「ふむ?まだ寝ぼけてるみたいだな。外に行って風にでも当たってきたらどうだ?」

パパスに促され、リュカは落ち着くためその指示に従うことにする。

「うん・・・父さん。ちょっと風に当ってくるよ。」

そしてドアを開き、外を見る。












ドアを開けるとそこは海だった。






「そうか・・・。僕のこの体、そして船・・・。そうか、思い出した。ビスタの港へ行く船・・・。父さんとサンタローズへ帰っている時か・・・。」

おぼろげながら記憶の片隅にあった昔の風景を思い浮かべリュカは現状を理解した。

ということはこれからサンタローズの村に向かうことになるだろう。

そしてレヌール城でのお化け退治、妖精の国への協力を経てラインハットへ。



リュカはここで思い至る。

そうか、父さんはこのままだとラインハットで殺される。

誰に?

そう、ゲマにだ。

「殺させない、今度は殺させやしない・・・!」

この刻に戻ったのは偶然なのか?はたまたここは夢の中なのか?
リュカはふとそう考えるが直ぐに考えを改める。

偶然でも夢でも何でもいい。今度こそ僕は父さんを殺させない。僕が殺させない。
その為に僕はここにいる。そう考えることにする。




リュカがそう決意をした時、船乗りが声を荒げた。

「港が見えたぞー。イカリをおろせー!帆をたためー!」

「どやら港に着いたようだな。坊や、下へいってお父さんを呼んできてあげなさい。」

いつの間にか隣に立っていた船長さんらしき人に言われ父さんを呼びに行く。




船室にいくとやはり幻では無いらしく父さんがちゃんとそこにいた。

「父さん、船長さんが港についたって言ったから呼びに来たよ。」

「そうか、港に着いたか!村に戻るのはほぼ2年ぶりだ……。」

パパスのその言葉にサンタローズの村を思い浮かべる。

もう何十年も前になるであろう故郷と呼べる村。

ラインハットの兵に滅ぼされてしまい最早帰ることが出来なかった村。

あののどかな風景、そして優しい村人達の顔を思い出しまた涙が出てくる。



「リュカ、また泣いているのか?お前はいつからそんな泣き虫になったんだ?わっはっは!」

「ほ、ほっといてよ父さん!」

リュカは少し顔を赤くしながらそっぽを向いた。

「まぁ久しぶり、といってもリュカはまだ小さかったから村のことを覚えてはいまい。よし、ではいくかっ!忘れ物をするなよ?」

と言って父さんは先に行ってしまった。

早く追いかけないと、と思ってリュカは急いで支度をした。




そしてふと今の自分の現状を思い出す。

自分には記憶がある。それもミルドラースを倒した先までの。
王になるべくオジロン叔父やサンチョに叩き込まれた知識もある。
そして以前契約した魔法は頭の中に入っている。


体は子供だけど・・・。

頭は問題ない。では体は?

そういえば父さんが港のおじさんと話している時外に出たら魔物に襲われちゃったんだよな・・・。

よし、とりあえず外に出れば魔物が居るってことがから、試しに戦ってみよう。
まずは試してみなければ始まらない。それからどうやって行動していくか決めていこう。





そう方向性を決め、タンスの中にあったやくそうを腰のふくろに入れようとした時、
ふくろの奥でキラッと光るものを見つけた。

「あれ・・・?これって・・・。なんでこれだけあるんだ・・・?」


他のものは何もない。

けれどもその一つが僕の中はとても、とても重い意味を持つ物。

以前貰った後に加工してネックレスにして肌身離さず持っていた。










母さんからのたった一つの贈り物。そして形見の品。


「けんじゃの石・・・。」

確証は無い。でもそう思ってしまう。

きっと母さんが僕の想いに手を貸してくれたんじゃないか、と。


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