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[31019] 【ネタ】転生先はブルーでした(まどか☆マギカ)
Name: BoAn◆1506d04c ID:1e980c5c
Date: 2011/12/29 22:03
ふと思う、前世の記憶があったら幸せなのかそうでないのか。あってもなくても生きていく上では問題ないからどうでもいいのだけれど、この世界ではそれが必要となる。


誰もが妄想する、アニメやドラマの世界で物語の主人公と一緒に色んな事件を解決したり絆を深めあったりしたらいいかなと。まさかその体験をあたしがするはめになるとは思わなかった、しかも。


「さやかちゃん、おはよう!」


「さやかさん、おはようございます」


「…………おはよ」


元気に挨拶してくる親友に間をおいて返す、そう美樹さやかだ。どの世界でもどの因果でも消える運命にある事から安定のさやかさんなんて言われてるあのさやかだ、そう自覚したのは最近。さやかとして生まれて十四年、ある時前世の記憶を思い出して絶叫し家族に心配かけたのは心苦しかった。それ以前に魔法少女なんて、確かに小さい頃は夢見てたけどなれる世界に生まれるとは。


ピリカピリララやリリカルマジカルやレリーズならまだ良かった、その主人公じゃなくても脇役で生きていけるだけなら良かった。物語に関わる魔法少女の一人になるなんてフラグでしかあり得ない、無論悪い方の。喜ぶべきか悲しむべきか。空を見上げる、憎たらしいことにアニメだろうが現実だろうがどの空も晴れ渡るほどの蒼さだった。


意識を戻す、鹿目まどかの髪にはお洒落なリボンがある。それを志筑仁美が褒めまどかは照れる、こんな光景をあたしは知っていた。物語の始まり、まどかのためならどんなことでもする転校生暁美ほむらさんがやっくる日。何度も繰り返し繰り返して、気の遠くなるような時間を越えてきたほむらさん。さん付けなのは仕方ない、彼女の真意を知った以上転校生やあんたなんて呼べない。


魔法少女には魅力を感じるけれどキュゥべえと契約してまで叶えたい願いや祈りがない、物語には徹底的に関わらないとあたしは決めた。精々まどかの親友その1ポジションだ、その2は仁美。または嫁でもいい冗談だ、ほむらさんの前では言えないが。上条くんに関しては御愁傷様としか、音楽家として致命的な怪我は奇跡か魔法でしか治らないらしい。本編では上条くんのためにさやかさんは魔法少女になったが、あたしは御免なさいと言おう。


魔法少女の真実を知っている身としてはキュゥべえの契約を突っぱねるしかない、見滝原に襲来する最強最悪の魔女ワルプルギスの夜は女神まどかに任せれば楽勝である。よしイケるイケる、もう何も恐くない。


…………フリじゃないからね?


ホームルームで早乙女和子先生が卵の焼き加減に拘る大人にならないように吼える、ああやっぱり。この流れは間違いなくほむらさん登場だ、まどかのお洒落だけだったら普通の日常として受け入れたのに。いやまだ望みは……


「では転校生を紹介します、喜べ男子! 転校生は大和撫子で気弱そうな雰囲気を纏う眼鏡っ娘だぁ! 女子でも思わず守ってあげたくなるぞぉ、萌えまくれぇっ! あっ、心臓の病気らしいから気を付けてあげてね」


恋に破れた和子先生のハイテンションにクラスメイトは「うおおおおっ、俺の時代がキター!」「キテる、キーワードはまどか×ほむほむね! ああ想像が膨らむわぁ」と応えた、え?


やがて扉が開きおずおずと三つ編みで眼鏡で気弱そうな少女が入ってくる、彼女は教壇に立つと緊張しているのか。


「ああああの、わわわたしはあああ暁美、ほむらです。よよよよろしくおねがいしま……しゅっ!」


かみました、その可愛さにクラスは萌える。まどかがあれーと首をかしげ夢であったようなむしろ私が先輩だったような気のせいかなぁと呟いていたが、あたしはそれどころじゃない。時系列がおかしい、滅茶苦茶だ言えることは一つ。


「訳がわからないよ……」


キュゥべえの気持ちが少しだけ分かったような気がした朝だった、というかこれ詰んだかも?


どうするのよ……ワルプルギスの夜とかいやマジで、助けてマミさん!





[31019] 第1話「皆さんには愛する人がいますか? 私は居る」
Name: BoAn◆1506d04c ID:d453cb24
Date: 2011/12/31 04:07
えーと状況を確認しようか、今は休み時間でクラスメイトはほむらさんの周りに集まっている。転校生だから色々手助けしてあげようとしているのだろう、うん良いこと良いこと。


って良くなぁぁいっ! 眼鏡ほむらさんってこの時間軸はループしてない? つまりワルプルギスの夜襲来、見滝原終了のお知らせ。最悪だ、逃げようにも家族はどうする。それに一般的には魔女の仕業とは知らないわけで災害としか認識されないだろう、手詰まりだ。本編でほむらさんが手こずった魔女だからマミさんも勝てるかどうかは怪しい、それにここのまどかは最強の魔法少女たる因果を持ってないと言う推測が思い浮かんだ。


だって、ほむらさんが繰り返してないから。終わったね、儚い人生だったなぁ。せめて次は魔法少女じゃない世界がいいな、最期を迎えるまで悔いのないように過ごしますか。クラスメイトに囲まれあわあわとするほむらさんが妙に可愛く見えた、和子先生の言葉の意味が分かった気がする。これは確かに守ってあげたくなるわ、ノーマルな意味で。


「ねぇねぇ、ほむほむって呼んでいいかしら!? そしてまどかとあんなことやこんなことを……テンションもえあがってきたわーっ」


「前世から愛してましたー!」


「あの不躾なお願いですが眼鏡を外してストレートに髪を伸ばして、冷たい眼差しで俺を踏んでください! はぁはぁ」


「ふえぇぇっ、あの意味が分からないですよ?」


さーて変なことをほざいた馬鹿をとっちめるとしますか、特に一人目と三人目。戸惑うほむらさんの目には涙が、無理もない。まどかにアイコンタクトを送る、保健委員としての役目を果たしてほしい、通じたらしく頷いて「はいはい、皆そこまでー。暁美さん具合が悪そうだから保健室に連れていきます」とほむらさんを救出、持つべきは親友だ。退出する二人を見送りあたしはクラスメイトに向き直る、スーパーさやかタイム始まるよ。


「ほむらさんとまどかの邪魔はさせないっ」


うん大体間違ってないはず、あの二人は主人公なんだから。そう叫んだらやっぱりと言う声が、仁美なにその空気読んでくださいなという目は。





廊下で先を歩く桃色の髪の少女を見る、保健委員と言っていたがまだ具合は悪くない。それでもあの場から連れ出してくれた意図は察した、青色の髪の少女にも感謝しないと。ほむらは話し掛けようとして言葉を探す、何て言えばいいんだろう。此処はお礼だろうか、でもいきなり言ったら変な子だと思われるかもしれない。よしほむら一世一代の大勝負、話しかけます!


「今日はいい天気ですね、こんな日には爆弾を投げたくなりませんか?」


「えっ」


ほむらは失敗に気づく、いい天気はともかく爆弾って何だ。入院中に見たプラスチック爆弾の作り方のせいか、世界の銃器大百科の方が良かったかも否駄目だろう。退屈しないようにと本を持ってきてくれた看護師さんは顔を引きつらせていたけど、何でも同僚が必死に薦めたらしい。あの娘にはコレよ! と、どういう意味だったのか結局分からずじまいだった。過去に戻りたい、その失敗を言う前に。


「えっと、そうだ! ほむらちゃんって呼んでいいかな。私もまどかでいいよ」


流してくれたことに感謝するほむら、それからは雑談。青色の髪の娘はさやかというらしい、正義感の強い娘だとまどかは言う。何となく彼女とはいい関係を築けそうだとほむらは確信した、そんな二人を見つめる影一つ。白い身体に赤い瞳、彼は呟く。


『見つけたよ』





時は流れ昼休み、あたしはまどかと仁美とほむらさんと昼食をとる。平和だなと思う、それが例え一時的なものだとしても。マミさんとのコンタクトをどうやってとろうか頭を悩ませていたら、放送が聞こえてきた。


『皆さんには愛する人がいますか? 私は居る』


…………この世界はあたしにとって絶望しかないのか、よりによっておりこ☆マギカルート!? せめて杏子とゆまが来ていることを祈るしかない、ロッカーからモップを取り出しつつ放送を聞くのだった。クラスメイトは戸惑っているがあたしには分かる、あれは絶望を運ぶ黒と白の魔法少女達。


最悪の結末を辿る世界、それでもまどかと仁美とほむらさんはあたしが守る!


「キリカと織莉子ね、さぁ書きまくるわよ!」


「任せろ、クラスの皆は俺が守るっ! そして帰るんだ、家族が待つ家に」


「くくく、俺の邪気眼が疼く理由が分かったぜ。来いよ魔法少女、暗闇の炎に抱かれて消えろおぉぉっ!」


一部のクラスメイトが盛り上がっているけれど、あれれー? 何か大丈夫な気がしてきたよ、たぶん。




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