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食料・水を全県民分常備 3日分、3ヵ所に 宮城県方針

 宮城県は、東日本大震災の発生当初、県内が食料不足に陥ったことを教訓に、県内3カ所の民間倉庫を借り上げ、食料46万食と飲料水33万リットルを常備する方針を固めた。県民や企業への備蓄の呼び掛けも強め、全230万県民が少なくとも3日間、食料と飲料水を確保できる体制を構築する。
 災害が発生した場合、震災前は応援協定を結んだスーパー、コンビニエンスストアが直ちに食料や水を供給する「流通備蓄」が原則だった。基本姿勢を「県内常備」に切り替える。
 今回の震災で避難者は一時32万人に達した。県は、同規模の地震と津波が起きても、高台移転や護岸整備、盛り土道路など多重防御による減災効果を見込んで、避難者を最大18万人と想定した。
 避難者1人に1日当たり食料2食、飲料水1.5リットルを3日間供給するには、食料108万食と飲料水81万リットルが必要。今回の実績から、市町村などが確保できた数量を差し引き、残る46万食分、飲料水2リットルボトルで16万5000本を備蓄する。
 2012年度から5年間で順次、倉庫の保管量を増やしていく。初年度分の経費は12年度当初予算案に計上する。17年度以降は5年前の備蓄分を更新していく。
 備蓄場所は、大津波でも浸水しない内陸部の民間倉庫を探す。災害で備蓄が全部使えなくなる事態を避けるため、県北、県央、県南の3カ所に分散配置する。
 震災では、応援協定を結んだ企業の工場が被災。道路網も寸断され、流通備蓄は機能しなかった。全国から救援物資が直ちに送られたが、仕分け作業もあり、被災地に届くまで少なくとも3日はかかった。
 県は経験を踏まえ、救援物資が行き渡り始めるまでの3日間は、県内調達が不可欠と判断。離島などは物資が届くまで1週間程度かかる可能性もあり、行政の備蓄に加え、県民や企業にも一定の蓄えを要請する。
 県内常備により、他地域で大災害が発生した場合、食料や飲料水を迅速に支援することも可能になる。自治体の相互支援にも一役買いそうだ。
 県危機対策課は「県民一人一人が自らを守るため備蓄するのが基本だが、行政のバックアップ体制も整え、災害に強い県土をつくる」と話した。


2011年12月31日土曜日


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