計量を終えた内山(左)はソリスに向かい、「うなぎ食ってKOするぜ!」とは言わなかった!?(撮影・今井正人)【フォト】
はかりの目盛りを疑うような視線で、何度ものぞき込んでいたソリス陣営から「ワンモア(もう1回)」と再計量のリクエストが出されても、内山は顔色一つ変えず体重計に乗った。何度計ってもリミットの58・9キロ。同じ体重ながら明らかに肌つやで劣るソリスと、気持ちよく記念撮影に応じる余裕さえあった。
「再計量? 特に問題ないですね」
自炊を基本に、自ら栄養管理を心がけてきただけに自信があった。減量最終日の前日も朝はリンゴ半分、イチゴ3個、洋ナシ1個を平らげ、昼は差し入れの参鶏湯(サムゲタン)をペロリ。「食べないと気持ちも落ちてくるけど、今回は食べられるから楽」。減量だけでなく、ビタミンCなどを摂取することにも気を使ってきた。
計量をクリアしたこの日は、拓大4年から恒例にしているうなぎ。「行きつけのうなぎ店に、もう、かば焼きをお願いしてある。ごはんはいいコシヒカリをもらったので自宅で炊きます。やっぱり炊きたてでしょ」。こだわりの“自炊うな重”で英気を養った。
うなぎは視神経を活性化するビタミンAを多く含み、ボクサーの命でもある目に最適。世界奪取から4連続KO勝利中の内山が、“うなぎ効果”でソリスもKOすれば、WBCバンタム級の長谷川穂積(真正)と並ぶ国内歴代2位の世界戦5連続KO勝ちとなる。
「(暫定王者の)チャンピオンベルトを1つ減らし、最強を証明できれば、自分の評価もだいぶ上がると思う」
ソリスが持参した自分と同じベルトに一瞬だけ鋭い眼光を向けた32歳のハードパンチャーが、ソリスのパンチを見切りKO決着で2011年を締めくくる。 (櫃間訓)
(紙面から)