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'11/12/30

カキ卸値高騰でスーパー苦慮



 冬の味覚、広島県特産のカキの卸価格が中国地方で値上がりしている。東日本大震災で宮城、岩手県産が減り、広島産の関東向け出荷が増えたため。ただ消費量は伸び悩んでおり、スーパーや飲食店は量を減らして価格を据え置くなど苦慮している。

 「単身赴任の夫が年末に帰ってくる。少し高いけど広島の味を食べさせてあげたい」。広島市南区のスーパーを訪れた西区の主婦井戸京子さん(55)は、カキの価格を見て売り場で立ち止まった。

 スーパーのフレスタ(西区)は生食用カキを、昨年より約15%高い598円(240グラム)で販売している。バイヤーの岡本英幸水産課長(50)は「卸値が1〜2割上がった。特売もできない状態」と言う。

 卸値の上昇は、関東地方への出荷量が例年より増えたのが原因。震災の影響で宮城、岩手県産の出荷量は例年の10分の1程度に落ち込む見通しで、代わりに広島県産の需要が高まっている。

 関東地方最大の築地市場(東京)では、11月の広島県産カキの入荷量は9129キロと、過去5年の平均の約28倍に跳ね上がった。

 中国地方の多くのスーパーは価格を据え置いている。イズミ(南区)は生食用カキのパックの量を約40グラム減らし130グラムにした。担当者は「手に取ってもらうため価格は上げていない」と説明する。

 飲食店も卸値の上昇に苦慮。小谷銀山本店(中区)は、かきフライなどの価格を維持する。小谷隆春社長(59)は「お客は値段に敏感。価格を上げると来店してもらえない」と話す。

 広島県水産課は「景気低迷の影響もあり、ややぜいたくな品であるカキの販売量は近年、伸び悩んでいる」と説明する。

 県産カキの今シーズンの出荷量は、全体では例年並みの約1万9千トンの見込み。1月から県産の出荷量が増えるため、同課は「卸価格は1月中旬には平年並みに落ち着く」とみている。

【写真説明】広島県産カキが並ぶスーパー。内容量を減らして価格を据え置いている=広島市南区(撮影・室井靖司)




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