'11/12/30
呉市の戦前地図4枚を復刻
明治時代末ごろから昭和の初期に発行された呉市中心部の地図4枚を、広島市南区の古書店「あき書房」が復刻した。4枚のうち1916(大正5)年の地図は呉市も保管しておらず、市は「発展期にあった呉の街の変化を細部まで確認できる貴重な資料」としている。
16年のほか、07(明治40)年、24(大正13)年、35(昭和10)年。A1判かA2判で、いずれも官公署や学校、鉄道などを掲載している。欄外に「呉鎮守府許可」の記載があり、旧海軍関係施設があった部分は軍事機密にあたるため、空白か「海軍用地」とだけ記している。
16年の地図は当時呉市にあった宇都宮書店が発行した「呉市街地図」。A2判、4色刷りで縮尺1万分の1。市の市史編さん係によると、市がこれまで保管していた地図は10年と18年で、この間の空白を埋める資料となる。10年まで射的場だった場所が呉二河公園と公園野球場になったことが分かる。
裏面は「呉市名所案内」。呉二河公園や鉄道の呉停車場などを文章や写真で紹介している。呉鎮守府や海軍工廠(こうしょう)など海軍関係施設も記しており、軍港として発展した歴史がうかがえる。
同書房店主の石踊一則さん(64)が、約30年前から集めていた古地図や地図の記載された古書から復刻した。各800部印刷し、「呉海軍の街」と題して4枚セット1500円で販売する。あき書房=電話082(255)1916。
【写真説明】あき書房が復刻した1916年発行の「呉市街地図」(中央)など明治時代末から昭和初期の呉市の地図