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南相木村の南相木ダム。ダム湖の水が下方にある神流川発電所の発電に使われる=10月 |
南佐久郡南相木村の南相木ダムへ夜間に揚水して電力需要の多い昼間の発電に利用している東京電力神流(かんな)川発電所(群馬県上野村)で、3月〜9月の運転日数が前年同期比で4割近くも減っていたことが29日、信濃毎日新聞の取材で分かった。揚水用の電力は原発の夜間余剰電力も利用していたため、3月の東電福島第1原発事故を受けて電力確保が難航。原発停止と連動して電力供給能力が低下した形で、余剰電力の有効活用策とされている揚水発電の在り方があらためて問われそうだ。
南相木ダムは、下方にある上野ダム(同)の水を夜間にくみ上げておき、電力需要の増加する昼間に水を落として神流川発電所のタービンを回し発電している。
同発電所の運転日数は、3月が16日、4月が8日、5月が1日、6月が8日、7月が10日、8月は4日、9月は14日で計61日。前年同期は計96日だった。電力需要が高まる夏場で比べると、7月〜9月は28日、前年同期は50日。同発電所で現在稼働している発電機は1機だけだが、原発停止を受けて今夏は十分に機能しなかったことが分かる。
東電は2020年度以降、同発電所で6機を稼働させる計画。今回の事態を受け、原発の稼働を前提にした現行計画は見直しを迫られる可能性も出てきた。
今夏は原発事故を受け、政府が東電管内に電力使用制限令を発令。東電管内のピーク需要は前年比で最大約18%減少した。運転日数の減少について、同発電所を管理する東電群馬支店(群馬県前橋市)も、節電で電力需要が減った影響とともに「揚水のためのベース電力を供給する原発が停止したため」と説明。3月は原発事故後に10日間運転したが、この間の揚水には火力発電の電力で対応したとしている。東電によると、揚水には揚水発電による出力より3割多い電力が必要という。