My Grandmother's Clock
第八話 心の魔法、壁抜きの奇跡
新歴66年 9月上旬 第97管理外世界 海鳴市藤見町 高町家
「はい、どうぞ」
「おおぉ、うまそうだなぁ」
「ふふ、それじゃあ、なのはもフェイトちゃんも健康無事に短期留学を終えて帰って来たことを祝って、楽しくやろっか、皆、準備はOK?」
「「「 はーい! 」」」
「了解」
「ああ」
「それじゃあ、いただきます!」
「「「「「 いただきますっ! 」」」」」
桃子の音頭に始まり、士郎、恭也、美由希、なのは、フェイトの5人が同時にいただきますの言葉を述べる、そろそろ高町家で馴染みになりつつある光景だ。
逆に、ハラオウン家においてはリンディの音頭に始まり、クロノ、エイミィ、なのは、フェイト、アルフの5人がいただきますを言うのが恒例になりつつあり、土曜の今日は高町家だが、日曜の明日はハラオウン家で帰宅を祝う催しがあったりする。
さらに、八神家、月村家、バニングス家なども含めて宴会になることもあり、海鳴に暮らす人々はとても温かく、仲が良い。
なのは、フェイト、アリサ、すずか、はやて。
5人の少女は、とても穏やかな幸せの中で、少しずつ大人へと成長していく。
「ほら、なのは、取り皿」
「ありがとう、お兄ちゃん」
「ん、うまいなこのシチュー」
「美由希、お料理上手くなったじゃない。今日のシチューはほぼ一人で作ってたし、今はもうほとんど手伝ってないもの」
「ふふ、ありがと、エイミィにも少し教わったんだ」
「確かに、あの壊滅的な状況からよくぞここまで持ち直してくれたと思う」
「もうっ、恭ちゃん!」
「だが、事実もあるぞ美由希。俺と恭也が何度実験作を口にして台所へ駆けこんだことか」
「…………どう見ても、人間の速さに見えなかったんですけど」
なお、今年の1月頃、美由希が初めておせち料理の手伝いに挑み、彼女作の煮豆による悲劇をフェイトは目撃したことがある。
見た目は普通であり、フェイトが普通に箸で口に運ぼうとした瞬間、それを遮る恭也の腕。
そして、覚悟を決めた、いや、悲壮感すら漂わせながら士郎が恭也へ目くばせし、互いに頷いたところで両者は煮豆を口にした。
その次の瞬間、彼らは台所の流し台にいた。超スピードとかそういうちゃちな代物ではない、“神速”という人間離れした技術の一端を味わったフェイトであった。
「にゃはははは、お父さんとお兄ちゃんは御神流の剣士さんだから」
「なのは、あたしもだよ?」
「もっちろん、なのは自慢のお兄ちゃんお姉ちゃんです」
「あらなのは、桃子お母さんは自慢の中に入ってないのね~~、お母さん寂しいいぃ」
「お、お母さんもだよ、お母さん大好き!」
「そこ、10歳の娘に対して嘘泣きをするな、高町母」
「あーん、恭也までぇ、ねえあなたぁ、最近子供達が冷たい~」
「ああ、何という悲劇だろうな、昔は雪山の中で俺と一緒に初日の出を見ていたと言うのに………」
「なあ父さん、今更ながらに、子供の俺にやらせることではない気がするんだけど、もし美由希にもやらせていたら父とはいえ切り捨ててるよ」
「その頃はまだ、あたしはいなかったものね」
「最初にその話を聞いた時は、士郎さんを思いっきりとっちめた覚えがあるわね。確か、2週間おやつ抜きだったかしら?」
「あの時は、辛かった……」
「自業自得」
「よね」
「なのは、やっぱり凄い家庭で育ったんだね」
「まあ、そうなのかな? でも、時の庭園で育ったフェイトちゃんはそれ以上だと思うよ」
「そうかも、でもそれを言ったら、はやても同じか」
「うん、家族の仲の良さに、血の繋がりは関係ないと思うよ」
恭也は士郎の息子だが、母が違う。美由希は士郎の妹である美沙斗と静馬の娘であり、桃子との間の子が、なのは。
とはいえ、現在のハラオウン家では、実の親子はリンディとクロノだけで、フェイトは養子でアルフはその使い魔、エイミィに至っては完全無欠の他人だが家族同然に付き合っている。
また、八神家については言うに及ばず、誰一人として血は繋がっていないが、常に温かな笑顔がそこにはある。最近は伝説の密猟犯の噂によってやや引き攣った笑みになりつつあるが、まあそれはそれ。
「でも、本当に美由希もお料理上手くなったわ。これなら、翠屋二代目も夢じゃないかも」
「うーん、レジやウェイトレスなら出来るけど、パティシエは難しそう」
「何事も挑戦、剣の修行の方も、もうそろそろ一段落つくんでしょう、恭也?」
やはり、娘のどちらかに継いでもらいたい想いはあるのだろう、恭也に尋ねる彼女の声にもやや熱がこもっている。
「まだまだ、だけどな。でも、美由希がやりたいなら、やってもいいんじゃないかと思う」
「今の時代、剣で食ってくのも難しいからなあ。そりゃまあ、俺みたいにボディガードやら何やらで色々あると言えばあるが、正直、恭也はともかく、美由希やなのはにあまりやって欲しい仕事じゃないな」
自身がその仕事で怪我を負い、家族に負担を強いてしまったのは、彼にとっても苦い経験だ。
自分の歩んだ道に悔いを残す男ではないが、下手をすると妻を子供3人を残して逝ってしまっていた可能性も、決して低くはない。
(やっぱり、皆おんなじなんだ……)
士郎の言葉は、管理局で危険な仕事に就く人達、武装隊のアクティ小隊長や、特に執務官であるクロノが言うのと似ている。
それぞれ、自分の職務に誇りを持ち、家族や親しい人々の住む街や世界の平和のために働いてくれている。だからこそ子供達もそうなりたいと願うけど、彼らにしてみれば、出来ればもっと安全な仕事に就いてもらいたい。
フェイトとなのはもまた陸士訓練校において、自分達がどの道に進むのかを幾度となく話し合って来た。答えはまだまだ先だけど、いつかは、出さないといけない。
「じゃあ、恭也さんやシグナムみたいに、他の人に剣を教えるというのはどうでしょう。なのはも航空戦技教導隊を目指してますから、姉妹お揃いで剣と魔法の教導官とか」
「あ、それいいかも、いつも教えられる側だったからあまり意識しなかったけど、なのはも魔法を教えることを目指してるんだもんね」
「うん、陸士訓練校で陸戦の基礎は教わったから、これからは航空戦術を教えられるようになるまで、色々教わるんだよ」
「その話は、リンディさんから聞いてる。なのはの教育の責任者になってくれる人とも、実際に話したよ」
「そうなの?」
「ええ、シリウス・フォルレスターさん、士郎さんよりも年上の方で、如何にも軍人さん、って雰囲気だったわ。平日の昼間だったから、美由希はいなかったけど、ちゃんと細かい話は聞いてる」
ミッドチルダならばともかく、日本においてなのはは小学4年生の女の子に過ぎない。
そんな彼女がある意味で“海外”で研修を積むなら、家族の支援は必要不可欠。なのはとフェイトのために、高町家とハラオウン家の面子はこの3ヶ月間に何度も話し合っていた。
子供達が、自由に夢を目指せるように。
「それに関しては、俺と父さんは特に深く話を聞いている。陸士訓練校でも、肉体運用の基本については教わったんだろ?」
「え、う、うん」
「魔法については深く知らないが、やはり最後は純粋な医学や健康な身体がものを言うらしい。訓練を重ねるうちに無理な疲労がたまらないよう、成長期の女の子の身体に負荷がかからないよう、家族の協力が必要だと、な。幸い、ここに無事に高3まで育ってくれた前例が一人いる」
「恭ちゃん、あたしのお師匠さまだもんね」
「父さんの助言を受けながらだから、師範代と呼べる程でもないけどな。それでもなのは、せめてお前が小学生の間は、向こうと行き来する生活のサポートくらいはしてやれる」
恭也は現在大学2年なので、ちょうどなのはの小学校卒業と重なる。
その頃になれば、彼女も一人である程度肉体を管理できるようになるだろうし、何よりも士郎は当然その頃も翠屋のマスターだ。
そして、なのはのためのサポートを、誰も負担などと思ってなどいない。
幼い頃、常にいい子でいようとしてしまった彼女が、真っ直ぐな目で家族にお願いした、とっても大きな“わがまま”が、小学校に通いながら戦技教導官を目指すことであったから。
あの時、一人にしてしまった末娘のために。
今度は家族が一丸となって支える番だと、家族会議を開くまでもなく、全員がそう想っていた。
「そ・れ・で、桃子お母さんは、二人が訓練ばっかりの寂しい青春を送らないように、“女の子らしさ”を教えるのがお仕事」
「え? それあたし、聞いてないよ」
けれど、母親というものはさらに一枚上手のようで。
「あのねえ美由希、自分の娘をどこに嫁に出しても恥ずかしくないように育てるのは、お母さんの義務なのよ。というわけで、これから美由希はなのはと一緒に花嫁修業の開始です、手始めにまずはお菓子作りから、味見役は恭也で」
「おい、味見役については聞いてないぞ、高町母」
「何言ってるの、妹が頑張って料理を覚えるなら、味見役はお父さんやお兄ちゃんの役目って決まってるでしょ」
「諦めろ恭也、こうなった母さんに何を言っても無駄だ」
「あはははは」
いきなり修行開始を宣告されたなのはも、笑っている。
別に何が楽しいというわけではないが、純粋に彼女は家族と共に笑い合う時間が好きなのだ。
「え、えっと、美由希さんとなのははそれぞれ剣と魔法の教導官を目指して、身体に無理がかからないように士郎さんと恭也さんが見守ってくれて、女の子らしいことは、桃子さんが教えてくれる、ってことでしょうか?」
半ば仲裁に入る形で、話をまとめるのはフェイト。
実に不思議なことだが、高町家のこういった問答においてはなぜか彼女が話をまとめることが多い。そうでもしないと中々話が進まないというのもあるが。
「ええ、フェイトちゃんの言う通り、いいわね、二人とも」
「はーい、ようし、目指せ年齢=彼氏いない歴」
「ふふ、頑張ってね、お姉ちゃん」
「なのはも気楽に言ってられないわよぉ、あっという間に大人になっちゃうんだから」
「花嫁修業かあ………わたしも、母さんやエイミィに習おうかな」
呆然と、誰かの奥さんになった自分を思い浮かべるフェイト。
のはずだが、気付けば蟲の群から逃げている自分になっているのは、彼女のトラウマの根が深いためか。
「どうしたの、フェイトちゃん?」
急にガタガタ震えだしたフェイトを心配する親友の女の子、というか、親友でなくとも心配するのは当然だった。
「何でもないよなのは、でも、あまり家庭的になり過ぎるのもほどほどにね。下手するとはやてみたいにお母さん属性を付けちゃうから」
「うん、心配してくれるのは嬉しいけど、フェイトちゃん混乱してるよね、それをはやてちゃんに言っちゃだめだよ」
フェイトの言動がややおかしくなる時は、大抵がトラウマ絡みであるのはよく知っている。
こういう場合は、なのはがツッコミ役をいうか、暴走しがちなフェイトの手綱を握る役になる。
そんなこんなで、優しい家族に見守られながら、少女達は夢へと一歩一歩進んでいく。
時空管理局本局 中央センター B3区画
時空管理局の本部であると同時に、1つの街を内に持つ巨大な艦でもある次元世界最大と称される巨大建造物。
それが時空管理局本局であり、次元世界からあらゆる情報が集まる情報都市でもある。
その中で、ここB3は武装局員が普段訓練している区画であり、航空戦技教導隊の本部もこの奥に存在する。
「さて、それじゃあ早速いこっか」
「はい、お願いしますロッテさん」
そんな中を歩く二人、本局の重鎮ギル・グレアム提督の使い魔であり、戦技教導隊アシスタントも長く務めるリーゼロッテと、武装隊士官候補生の高町なのは。
晴れて陸士訓練校の短期プログラムを修了し、なのははいよいよ士官候補生としての日々が始まる。その中心となるのがこの区画であり、しばらくはロッテが導き役を担うこととなる。
「さて、訓練開始にもまだ時間あるから、のんびり歩きながらもう一回教導隊についておさらいしとくよ。他の組織と比べてどうとかはこの際置いておいて、なのはに関わる部分だけね」
「はい」
歩きながら、ロッテはウィンドウ画面を表示し、指差しながら説明を開始する。画面を見ながら歩くのは危なくもあるが、マルチタスクを修めた魔導師ならば呼吸に等しいことだ。
「まず、なのはが目指す航空戦技教導隊の主な仕事はこの4つ」
1.訓練部隊の仮想敵として演習相手(想定される敵や能力をシミュレートするため様々な戦い方、飛び方を実演)
2.最先端の戦闘技術の構築、研究。レアスキルを“ミッド式”へ汎用化することも重要な役目。
3.魔導師用の新型装備や戦闘技術をテスト。
4.預かった部隊を相手に、短期集中での技能訓練。
「このうち、1番目についてはほとんど武装隊と被ってるね。ここについては、教育隊も教導隊も差はないし、武装隊の士官候補生のなのはも、ここから始まる」
「えっと、つまり………」
「士官学校、もしくは空士学校を卒業したばかりの武装隊のひよっ子に、特大の砲撃をかましまくればオッケー」
「あの、わたしもまだ卵なんですけど……」
「なあに、なのはの経歴は正直あり得ないくらいだから大丈夫。AAAランク、いえ、砲撃に関してはSランクに届く高ランク魔導師を相手にするってのがどれだけの困難かを、骨身に染みて叩き込んでやるわけね」
少なくとも、一般的な空士学校の卒業生はヴォルケンリッターと戦ったり、闇の書内部で6時間にも及ぶ壮絶な電脳戦を繰り広げたりはしていない。なのはが稀少であるのは厳然たる事実だった。
「2番目も多分、並行して学んでいくと思う。天才肌の魔導師は他人にものを教えるのが苦手だから、なのはの場合は、結界魔法とか、治療魔法の習得じゃないかな?」
「う………その辺りは、ずっとユーノ君任せでした」
「だからこそ、さ、それが出来るようになればマルチスキルも向上するし、なのはのように簡単に空を飛べず、砲撃も撃てない連中の苦労がきっと分かるようになる。それが出来なきゃ、戦技教導官にはなれないよ」
「頑張ります」
両手でガッツポーズをするように気合いを入れるなのは、基本的に向上心は強い子だ。
「3番目については、さっき挨拶した教導隊総隊長の爺ちゃんから必要に応じて割り当てられるから、特に気にしなくていいよ。要は、新型装備のテストを任せられるくらい成長しましたって証だから、そこまでいけばいよいよ4番で、教導開始」
「それまで、何年くらいかかりますか?」
「ん~、やっぱり、4,5年はかかるだろうね。武術だろうが学問だろうが、他人に教えるくらいに修めるにはそれくらいはかかるもんさ」
「お父さんやお兄ちゃんも言ってました。剣の道だったら、本当に他人を指導できるようになるまで、10年はかかるって」
「なるほど、金言だ。ちょっときついようだけど、なのはの魔法にはまだ“重み”が足りないんだろうね。お兄さんやお姉さんの剣にはあって、なのはの魔法に無いもの、それが備われば、きっと一人前の戦技教導官だよ」
「きっとそれは、ゼストさんやクイントさんも持っているんだと思います」
「そんだけ分かってりゃ十分、後は、じっくりと学んでいくだけだね」
話が一段落したところで、二人は目的地に辿り着く。
「航空戦技教導隊、5番隊隊長の執務室。今日からなのはの上官になる男の城だ」
「シリウス・フォルレスター一等空佐さん、ですよね」
「ああ、現状の5番隊は24名で6班構成。教導官はほぼ全て尉官以上だから、二尉で副班長、一尉で班長ってあたりが、まあ標準かな。こいつは2班の班長も兼任してるけど、隊長でもあるから一等空佐、副隊長やら隊長は基本佐官以上が勤めるから」
「一等空佐って、ゲンヤさんより偉くて、リンディさんやレティさんと同じくらい凄かったような……」
「まあね、なにしろ新歴30年に15歳で入局した勤続36年の大ベテランで、魔導師ランクは空戦SS。なのはとフェイトがぼっこぼこにやられた地上の英雄よりも古株の、戦技教導隊最高峰の魔導師、“隻腕のエース”さ」
「えっと………」
「まあ、そこは会ってからのお楽しみ。シリウス、入るよ!」
そうして、高町なのはという少女は、シリウス・フォルレスターとの邂逅を果たす。
10年に渡り彼女の師となり、“不屈のエースオブエース”の称号を、彼女へと託した、空の英雄に。
「それじゃあ、今日はあたしがなのはを見てるから、またね」
「失礼しました」
「ああ、気を付けていきたまえ」
重々しい初老の男性の声に送られ、10歳の少女と外見だけならば若い女性だが、実際は40年以上の時を生きている使い魔が執務室を後にする。
「緊張したかい?」
「は、はい、黒人の方と話したことはありませんでしたし、何より………」
「身長は190cmを超えてる、声も厳ついし、顔もごつい、一見して軍人以外の職業が連想できない。その上、左腕がないときたもんだからね」
「正直、ゼストさんよりも迫力がありました………でも、シリウスさんには左腕はありませんでしたけど」
その代り、彼の周囲には“魔法の腕”が4本ほど浮遊し、それぞれが別々の作業をこなしていた。
「あれ、どうやってるんですか?」
「通称、“ロスト・ハンド”。別に特別なものじゃなくて、誘導弾とかを手の形に生成して、制御してるだけなんだよ。20歳の時に任務で失った左手の代わりに、ね」
「そんなことが……」
「やるのは多分、管理局でもあいつくらいだよ。普通は義手とか付けるし、最近はそっちの技術も進歩してる。けど、あいつも堅物の極みでね、自分の不覚を機械に肩代わりしてもらうつもりはないとか、己の慢心を戒めるためとか、そんな感じ。今じゃあ自分の腕以上に操るどころか、ああして複数の腕を遠隔操作するくらいになった」
「なんか、クロノ君とゼストさんを合わせたみたいですね」
それは率直な感想だったが、考えれば考えるほどそういう気がしてくるなのはだった。
「そりゃ確かに言えるかも、でも、卵か鶏かで言えばこっちが先だね」
「シリウスさんが先、ですか?」
「あの魔法の腕はあいつの魔力の塊だから、デバイスを握って魔法を放つことも出来るんだ。なのはのブラスタービットもそうだけど、手元にある杖を本体に、複数のデバイスを同時に制御するのさ」
「それを杖でやるのって、クロノ君の……」
「そ、クロ助のS2Uとデュランダルの二杖流だね。あいつの場合は五杖流、ってとこかなぁ」
「………信じられません」
現在では、1つのブラスタービットを制御するだけで精一杯のなのはには、それがどれだけのマルチタスクを必要とするのか、見当もつかない。
けれど同時に、その人の教えを受けたならば、レイジングハートのビットをもっと上手く扱えるようになられるんじゃないかと、期待感も膨らんでくる。
「だけど、あいつはミッド式の極致だから、きっとなのはの良いお師匠になってくれるよ。まあつまるところ、ミッド式空戦AAAランクのなのはのお師匠には、ミッド式空戦SSランクが一番いいってことだね」
ロッテが見るところ、ブラスタービットを展開し、フルドライブを使用したなのはを制するには、最低でSランクが必要だ。
陸戦AAのクイントが勝ったように、初見殺し的な方法ならば、勝つ手段はいくつもある。しかし、師匠というものは弟子と幾度も模擬戦を重ねていくもの。
スポーツ選手のコーチやトレーナーのように、自身が強くなくとも他者を高みへ導く者もいるが、戦技教導官はそうではない。教育隊の教官ならばそれでもよいが、管理局全体で100人程度のエースの集団に求められるものは違う。
だからこそ、なのはを戦技教導官として教え導く役が、それも、彼女よりもあらゆる魔法戦技に優れる者の指導が、必要だった。
「………わたしが、シリウスさんの弟子で、いいんでしょうか?」
「なーに言ってるの、なのは以上に戦技教導隊に適性を持ってる子なんてそうはいないよ」
「でも、わたしは教えたことがありませんし」
「そーいうのじゃないの、教えるのが得意な人は教育隊に行けばいい。確かに、上手くできない人のことを理解する気持ちは必要だけど、戦技教導官に一番必要なものは、それじゃないのさ」
それを、これから見せてあげると、ロッテは笑いながら言う。
あのリンディ・ハラオウンが、幼い少女を勧誘せずにはいられなかったその理由。
様々な道を示し、彼女が自由に選べるよう助力を行いながらも、見てみたいと思わずにいられなかった、その輝きを。
時空管理局本局 武装隊訓練施設
「それじゃ、こっから先は、この子があんた等の相手をするからね」
およそ32名の新米武装局員が集められた、訓練施設。
まず初めに、Sランクに相当する前衛型の使い魔であるロッテより“洗礼”が与えられ、近接の空戦について多少の講義が行われた後、遠距離戦へと話は移る。
そして、遠距離戦の専門家として、これから敵役を務める武装隊の士官候補生を紹介されたのだ。
「初めまして、武装隊士官候補生、戦技教導隊アシスタントの高町なのはです。今日は皆さんの訓練相手を務めさせていただきますので、よろしくお願いします」
ぺこり、と壇上の少女がお辞儀をすると同時に、整列した32人の新人武装局員の中に驚きともとまどいともつかないざわめきが広がる。
壇上に立つ少女は、管理局所属の魔導師であることを示すエンブレムを胸につけてはいるが、そのバリアジャケットは何かこう、“魔法少女”的なデザインだ。
年齢は10歳くらいだろうか、利発そうな子ではあるが、どこをどう見ても管理局の先輩には見えない。緊張しているのか、どこかぎこちない笑顔を浮かべるその姿は、誰がどう見ても年相応の少女のそれだった。
「ん~、まあ分かりやすい反応だけど、まずは一つ、デモンストレーションといこうか」
「え、ろ、ロッテさん、聞いてませんよ!」
「大丈夫、狙ってやったから。いいかいあんた等! 武装局員たる者、現場で事前に聞いてないことをいきなりやれなんて言われることなんてざらだ! そんな中でも、しっかりと仕事をやってのける奴のことを、エースと呼ぶ!」
響き渡る声は、まさしく歴戦の強者ならではのもの。
それを成せず、殉職していった者達を知るからこそ、ロッテの言葉には重みが宿る。
「それでなのは、アンタにお願いしたいのは、あっちの方に、壊れた建物があるね」
「はい、あります」
「あれはレイヤー建造物じゃなくて、本物だ。武装隊の訓練用に、ある程度の耐久性をもたせて最初から廃墟として、低予算の安普請で建造されたものさ」
「はい」
そして、何度も破壊されては建て直される。地上部隊からは予算の無駄使いだという声も上がるが、委託される業者との連繋や、急造建築技術の保存、老朽化による事故防止など、総合的に見ればそれほど無駄でもない。
とは、後に建物を壊してしまったことを少し気に病んでいたなのはへ、とある管制機が送信した言葉だ。
「その最深部に、犯人が人質を取って立てこもっている、という設定で対象物を置いておいた。それを、壁抜きの砲撃でノックダウンさせる。犯人には魔力ダメージのみ、人質には光と音の影響しか残らないレベルまで安全性を高めて、一切の後遺症を与えない」
条件を聞いた瞬間、ざわめきが一気に広がる。
ロッテの言ったことは、邪魔な壁は物理破壊設定で壊し、犯人は魔力ダメージで抑え、人質には危害を加えない、それをたった一発の砲撃で成せという荒唐無稽。
“物理的に考えて”出来る筈もなく、武装局員として魔法の力を扱う彼らとて、理論上は不可能ではない、というレベルの認識でしかない。
だが―――
「他の条件はこの際考えなくていい、レイジングハートのワイド・エリア・サーチで距離を算出して、極限まで集中した貴女の魔法を使うだけ、やれるね、なのは、レイジングハート」
「―――はいっ! やれます、わたしと、レイジングハートなら!」
『All right.』
不屈の心の銘を持つデバイスと、純白のバリアジャケットを纏う少女には、恐れはない。
「よっし! それじゃああんたら、よーーく見てな! エースというのがどういうものか、管理局の武装局員ならば、何を理想とするべきかを!」
「ワイド・エリア・サーチ、開始。レイジングハート、わたしの願いに応えて」
『Yes, my master. Sealing Mode.(シーリングモード)』
主の願いに応じ、インテリジェントデバイス、レイジングハートが、最適な形へと変形していく。
かつて鉄の伯爵に砕かれ、守護騎士と戦うために生まれ変わったレイジングハート・エクセリオンは、戦技教導官を目指す主のために、今の自分に必要な機能を演算し続ける。
中距離射撃と誘導管制のアクセルモード。
砲撃特化型のバスタ―モード。
全力戦闘用、フルドライブのエクセリオンモード。
リミットブレイクのブラスターモード、通称、“ルシフェリオン”。
そして、一つの魔法に魔力をすべて向ける為の形態であり、光輝く羽根が舞う、魔導師の杖。
彼女の“祈祷型”としての特性を最も引き出す、シーリングモード。
『Wide Area Search successful.(WAS 成功)』
それは、フルドライブなどに関係なく、全ての機能を演算や封印などに充てるためのモードであり。
『Coordinates are specific. Distance calculated.(座標特定、距離算出)』
主の願いを叶えるために演算を行うという、インテリジェントの基本にして究極形。
なのはの望む魔法の力、その源は彼女のリンカーコアにあり、術式の構築を行うのも彼女自身。
そしてそれをサポートし、誤った結果をもたらさぬよう制御するのが、デバイスの役目。
「リリカル・マジカル―――乗り越えるべきものは超え、制さなきゃいけない人を制し、傷つけちゃいけない人は傷つけず―――優しい光を、わたしは願う」
『I fulfill a wish of my master.(主の望みを、私は叶える)』
距離、障害物の材質強度、WASによってそれらの特定が済んだならば、後は条件付けだ。
そもそも魔法とは現実の事象を歪めるものであり、現実空間を構築する数式に別の数式を代入する“現象数式”と定義出来る。だからこそ、魔法はアプリケーションとして、プログラム化することが可能。
レイジングハートは主である高町なのはの全てを知る。彼女が全力で砲撃を放てば、壁を砕きながら何秒後に目標に到達するかなど、手に取るように予測出来る。
そこまで来れば、後は単純な条件文一つ、プログラムならば至極簡単。ある条件までは物理破壊設定、超えれば非殺傷設定、特定の対象については安全設定。
「ジュエルシードによって出てきた木々………わたしが最初にディバインバスターを撃ったあの時は完璧に出来なかった、人は傷つけず、災厄の源だけを抑える魔法」
『When it was now, we in whom it is possible grew.(できます、今ならば、私達は成長しました)』
人間にとっては荒唐無稽の難問、機械にとっては単純な条件文の組み合わせ。
WASがなく、勘で撃たねばならないならば、機械の鬼門。しかし、状況が分かっているならば、当てはめて演算するのみ。
複雑怪奇な人間の心を読むことに比べれば、この程度の演算の、何と容易きことか。
人には難しき大演算を必要とする大数式と解くために、デバイスというものは存在するのだから。
「行くよ、レイジングハート!」
『Yes, my master! Buster Mode!』
シーリングモードにおいて条件付けの演算を全て終え、魔導師の杖はバスターモードへと。
その先端へ、彼女の願いを具現する星の光が集っていく。
「ディバイン―――――」
『Load Cartridge.』
そして、ジュエルシードの時にはなかった、彼女達の歩んだ道の証であるカートリッジが、魔法の力を後押しし。
「バスタァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
『Divine Buster.』
破壊の力を秘めながらも、優しい願いに満ちた桜色の閃光が、解き放たれる。
それは壁を砕き、倒すべき人を昏倒させながらも、守るべき人を傷つけない。
どれほど巨大な力を秘めようとも、心無き冷たい質量兵器には決して不可能な、人の扱う温かな魔法だからこその、小さな奇蹟がそこにあった。
「夢を与えること、目指すべき輝きを示すこと、それが、戦技教導官の一番の資質だよ、なのは」
放たれし桜色の閃光が消えていく光景を見つめながら、長い時を生きてきた使い魔が呟く。
その光景を見届けた若き武装局員達の瞳が輝いている、管理局員が目指すべき姿の一つをそこに見て、夢が、希望が、彼らの心に宿ったのだろう。
それを叶えることが出来るかどうかは、それぞれの頑張り次第だけど。
それを後押しするために、教導隊も、教育隊も存在している。
「そりゃ、実際の事件はこうはいかないし、こんなはずじゃなかった悲劇なんて、数え切れない」
それでも、掲げし理想を見失ってはいけない。それを目指して、戦技教導隊はスキルを積み上げているのだから。
「もちろん、学ぶべきことはまだまだあるし、管理局と関わらず喫茶店の二代目になって、甘いお菓子で人々に笑顔を届けるのもいいさ」
だが、どちらにせよ。
「なのはには、誰かに笑顔を、夢を届ける仕事が、きっと似合ってるよ。子供を育てる専業主婦も、案外天職かも」
間違っても、破壊の目的で力を振るう姿など、高町なのはには似合わない。
「あたし達が駆け抜けたこの道の先、自由な翼で、どこまでも、どこまでも高く羽ばたいてくれれば―――」
管理局の黎明期、その道のりで散っていった者達も、きっと浮かばれる。
これまでは、歴戦の勇士であるシリウスのような男が必要とされてきた戦技教導隊はきっと変わっていく、そしてそれは、喜ばしい変化だ。
実は、なのはを彼の下へ案内する前に部屋に訪れ、そんなことを何時間も、彼と過去を懐かしむように話していた。
「戦争や事件がなければ、歴戦の勇士なんて、必要ないんだから」
それが、“呪魔の書”という極限の闇と戦った、11年を超える闇の書事件との終焉において。
ギル・グレアムやリーゼ姉妹が想い、そして、次代の子らに強く願う。
温かく平和な世界への、祈りであった。
なかがき
最近リリちゃ箱を見直して、やっぱりなのはの魔法は純粋な祈りだなあ、と思い。こちらのなのはの魔法もイメージは“希望の光”です。不屈の心と未来への希望はStSでの重要な鍵になる予定なので、空白期はやはり3人娘が成長していく話になりそうです。
セインさんの受難、その1
ミッドチルダ 某所
とある秘密のアジトにて、作業に従事している紫髪のナンバーズ姉。
そこへ、姉妹同士でのみ繋がる秘匿回線で通信が一つ、しかも相当に切羽詰った様子だ。
「あら、貴方から連絡とは珍しいわね、セイン」
【バカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!】
「いきなり馬鹿とは随分な挨拶だけど、どうしたのかしら?」
【どうしたもこうもないよ! なんなの、アレ!】
「アレ?」
【やばいよ! 本物だよアレ! ドクターが普通のとっぽい兄ちゃんに見えてくるくらい、裏社会のやばいオーラを放ってたよ! 仕事出来なかったら絶対売りとばれされちゃうよあたし!】
「平気よセイン、落ち着きなさい」
【そんなこと言われても無理だって! お仕事ってピザの宅配なんだけど、絶対箱の二重底の下にヤバイものが入ってるよアレ! ヤクとかハッパとかクスリとか!】
「別に、次元干渉型のロストロギアよりはましでしょう」
【生々し過ぎて逆に怖いんだよ! これ渡してくれたおっちゃん、どう見ても防弾チョッキ着てるし、背広に不自然な膨らみあったし! 絶対あれハジキだよ! 護身用レベルじゃないよ! 鉄板も撃ち抜ける怪物銃だって! 何人もの血を啜ってるよ!】
「間違いなくレリックよりは危険度は低いわ、銃で百人単位の人間は殺せない」
【何百人殺せても、レリックはこっちのことを舌舐めずりしながら見てこないんだよう! アレ人間見る目付きじゃなかった! 品定めだよ! 商品だよ! 娯楽品扱いしてたよ! 貞操の危機をバリバリ感じたよおおおお!】
「そんなに怖い人だったの」
【怖いなんてもんじゃない! だって―――】
(ほほう、戦闘機人ゆうからどんなのが来るかと思えば、若い姉ちゃんとはのう、スカの奴もいい趣味しとるわ)
(は、ははははは、はい、じ、自慢のどくたぁで、でです)
(まあ、仕事自体は簡単や。透過系の魔法を得意にしとった運び屋にちいと不幸があってな、こういう仕事は大抵転送封じの措置がとられとるけん、そこで姉ちゃんの出番や)
(あ、あの、不幸って………)
(不幸は不幸じゃ、知りたい言うなら教えたってもかまへんが、姉ちゃん、二度と家には帰れへんことになるで?)
(聞きません! 聞きません! あたしは何も聞きませんでした!)
(代金はもう例の秘書に払っとる、仕事さえしっかりしてくれりゃあ、細かいことには目くじらは立てんで安心せえや)
(あ、あの、もし、もしですけど、万が一失敗しちゃったばあいは………)
(まあ、命まではとらへんからそう怖がらんでもええ。姉ちゃん、ややスレンダーじゃけんど、中々にいい具合や、なあに、そういうのが好きな連中も大勢おる、なかなか売れっ子になれるでえ、別嬪に産んでくれた母ちゃんに感謝しいや)
【―――とか言われたよ! こんなところでドクターに感謝しなきゃいけないのあたし! てゆーか、お母さんのお腹から生まれてないよ!】
「大丈夫、今回の依頼主ことはちゃんと調べてあるから」
【そ、そうなの】
「ええ、そこの親分は極悪人で、娼館とか幾つも経営して、情人を何人も囲ってるけど、きちんとした仕事すれば、堅気には手を出さない人だから」
【慰めになってねええええええええええええええええええええええ!!!】
「しくじらなければいいだけでしょう」
【リスクが重すぎるよ! あたしって社会経験なしだよ! 1年生だよ! 新人に初めての仕事やらせて失敗したら売り飛ばされるってなんなの! っていうか、何かあのおっちゃんの好みっぽいことも言ってたし、下手すると親分の情人にされちゃうよあたし!】
「それでうまく取り入って、組織を乗っ取れれば言うことなしね」
【待ていぃ! あたしに何させる気だああああああああああああアアアアアアアアアアアア!!】
「冗談よ、そういうのはドゥーエの役割だから」
【そういう冗談は止めてお願い頼むから、ウー姉が真顔で言うと冗談に聞こえない】
「善処するわ」
【………このまま家出しよっかな】
「依頼品を持ったままだと、多分、銃器で武装したマフィアの私兵に追い回されるわよ。管理世界で銃器を製造、保持してるのは彼らくらいのものだし」
【だよねえ、そういうゴツイ兄ちゃんがたくさんいたもん。ガジェットだっけ、あれとかに積むミサイルみたいなのも、こういう人達から貰ってるんだね、多分】
「需要があれば供給があり、市場の真理ね」
【でも! 娼館には断固反対! 女性の人権を無視してます! 男尊女卑はいけないと思います! つーかあたしを売るなこんちくしょう!】
「質量兵器とセインの交換なら、悪い取引でもないかしら………」
【だから冗談でも止めてそれ! クア姉ならともかくウー姉に言われるとあたしは本当はいらない子じゃないかって不安になるよ!】
「そんなはずないでしょう、貴方も大切な私の妹、ドクターの自慢の娘よ」
【ウー姉………】
「そんな自慢の妹なら、お届けものくらい失敗するはずもないわ、頑張りなさい」
【うん、頑張るよ! ……って、ちょっと待って、何の解決にもなってない! 失敗したら売り飛ばされる運命は不可避のままだし、地獄の口がウェルカムって合唱してるよ!】
「大丈夫、ドクターを信じなさい」
【はい、セインはパパのこと信じます。って言いたいところだけどぉっ! そもそも娘をこんな所へお使いに出す時点で信じられねえんだよおおお! 何だってドクターのためにこんな怖い思いしなきゃいけないのさ! 産んでくれたことには感謝してるけど、割に合わな過ぎるって! 真夏のはずなのに震えが止まんないよ!】
「いざとなったら、ディープダイバーで逃げなさい」
【結局あたしだけでどうにかするしかないんだね! 救いの手はないんだね! 獅子は我が子を千尋の谷へ突き落とすんだね!】
「帰ってきた貴方は、きっと見違える程に成長してるわ」
【どうか、あたしの膜がまだ健在でありますように………って、諦めてどうするあたし! 聖王様に祈っても救われはしないって!】
「それじゃあね、期待してるわよ」
【うわ、切った、ほんとに切った! ちっくしょおおおおおおおおおおおおお!! 絶対いつか家出してやるうううううううううううううう!!】
ナンバーズの少女達は、ジェイル・スカリエッティが作り上げし、新たな命の可能性。
その進化の過程は、まだまだ厳しいようだ。
次回、魔法娼婦リリカルセイン! 始まります!
セイン家出ゲージ 残り19
あとがき
セインさんの受難シリーズは半分パロネタなので、なかがきを間に挟みました。今回の元ネタ分かる人いるかな?
ノリはギャグですが、本編と無関係というわけではなく、サゾドマ虫シリーズと同じ具合に原作との相違点という部分で案外重要な鍵になります、内容はあまりにあまりですが、どうか、哀れなセインに黙祷を捧げて下さい。