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[30952] テイルズオブエクシリア ~知られざる物語~
Name: tales◆b5becff5 ID:3791d52c
Date: 2011/12/23 14:43
はじめに

この作品は筆者が長年の夢をかなえようとして作った小説です。

作品名にエクシリアと入っていますが、登場人物はエクシリアのキャラだけでありません。登場人物はズバリ、テイルズオブシリーズのキャラ全員ですっ!!(ウィキペディアにのっている人)軽く350人は超えます…。知らないと全くついてこれません。

世界観は序章と終章を除き、地球です。(途中で宇宙に行くかも…)マナとか世界樹があります。電車とかもあります。国名はほとんど今と一緒です。



[30952] 序章 第1話
Name: tales◆b5becff5 ID:3791d52c
Date: 2011/12/24 22:53
序章
第1話 始まり


世界と隔離された空間、世精ノ途(ウルスカーラ)。ここに六人の人間がいた。
ジュード・マティス、以前は医学校に通っていたがとあるきっかけでミラの旅につきあうことになった。
ミラ=マクスウェル、精霊マクスウェルにつくられた存在である。
アルヴィン、子供の頃にふとしたきっかけでエレンピオスからやってきた男だ。
エリーゼ・ルタス、いつも増霊極のティポと一緒にいる優れた精霊術士の少女である。
ローエン・J・イルベルト、かつてはラ・シュガル軍の軍師であった老人。
レイア・ロランド、ジュードと幼馴染の少女。いつも元気いっぱいである。

「僕達、今までどこかにいた気がしない?」

ジュードが皆に向かって話す。

「何言ってるんだ、優等生。俺達はずっとここにいたさ。」
「いや、ジュードの言うとおりかもしれない。私もさっきまでどこかにいたような気がする。」

ミラは何か忘れていることがあるのではないか、と思い考えた。

-そ……も…………も、絆は消……い。 みんなと一緒に旅……結ばれ…こ…絆が 消え……んてこ…、絶対…な…。オ…は、そう…じる!!-
-み……。…のこ…絶対に忘れ……でね-
-ここに…る戦…達のことを私は絶…に忘……い-

ミラの脳裏に言葉が浮かぶ。

(今のは一体…。)

「おーい!ミラ~!!置いてくよ~!!」

先のほうでレイアが呼んでいる。

「分かった。今行く。」

ミラは上をそっと見上げた。上にはただ真っ暗な空間が広がっていただけだった。
そしてミラは仲間達のもとへ歩き出した。未来を勝ち取るために…


-テイルズオブエクシリアの世界 ザイラの森の奥の教会-

ジュード達一行は世界中に散らばっていた謎の宝珠(オーブ)を全て集めて、ザイラの森の奥の教会にやって来た。
この六人が教会に着くと二人の女性が待っていた。ティースとパテルである。一行は彼女らに宝珠を渡した。

「ありがとうございます。宝珠を届けてくれたのですね。」
そう言うと、ティースは教会のオブジェに宝珠をはめていく。

「これで宝珠が全部そろったよ!」
「ああ、ついに…。」
「理外の環が、古の姿を取り戻す!」

理外の環の美しさに一行は心を惹かれた。

「きれい…。」
「見事なものだな。」
「で、古代の秘密ってのはどうなったんだ?」

アルヴィンがそう言うと、突然オブジェが光りだした。

「封印魔方陣!しかも、こんな強力な!?」

封印魔方陣が砕ける。

「何かいます!」
「さがって!」

ジュードがティースとパテルを後ろに下がらせる。
全員が武器を構えると、オブジェの中から謎の生物が現れた。
とてつもない大きさだ。

「何なの、こいつ!」
「魔物じゃない!」
「精霊とも違うようだ…。」
「怖いです…。」
「魂が震えるようなこの邪悪な力…。」
「確かなのは解き放ってはいけない存在ということだ!!」

ミラが闇の生物、封じられし者の眷属・紅と封じられし者の眷属・蒼に向かって走っていく。

「アサルトダンス!!」

ミラが封じられし者の眷属・紅に連続攻撃を加える。
しかし効果は薄いようだ。

「ミラ!!」

ジュードが叫び、ミラの元へ走る。

「やるぞ、ジュード!」

ジュードが敵を蹴り上げる。そしてミラが高く跳ぶ。

「カタラクトブレード!!」

ミラが光の剣で斬る。

「………!!」

封じられし者の眷属・紅が床に倒れる。

「やったか!?」
「まだです!」
「しぶとい野郎だ!」

ローエンが詠唱を開始する。

「精霊交響曲!タイダルウェイブ!!」

ローエンが詠唱を完成させると、床一面に大渦巻が発生した。

「…!……!!!」

封じられし者の眷属・紅は床にひれ伏し、消滅した。

「やるねぇ!」

アルヴィンがローエンのことをほめる。

「アルヴィン!後ろ!!」

アルヴィンがレイアの声に気づき振り向くと、封じられし者の眷属・蒼がすぐそこまで迫っていた。

「ちぃ!我流紅蓮剣!!」

アルヴィンが炎をまとった剣で敵を斬り上げる。

「レイア!!」
「OK!」
「轟覇転武踊!!」

二人の息の合った回転攻撃が敵に当たる。
封じられし者の眷属・蒼がひるんだ時、ティポがエリーゼの肩に乗った。

「今だエリーゼ!」
「分かりました!」
「目標ロック!」
「チャージ完了!発射!」
「覚悟しろ!」

エリーゼがティポにエネルギーをチャージして敵に向かって発射し、敵を拘束する。
そしてティポが帰ってくる。

「ただいま!」
「リベールゴーランド!!」
「!!………!」

封じられし者の眷属・蒼は闇の竜巻に巻き込まれ消滅した。


「こんな化物が出てくるなんて聞いてないって。」

アルヴィンが武器をしまいながら言う。

「すみません。まさか理外の環が怪物の封印だったなんて…。」
「これ、壊しておいた方がいいんじゃ…。」
「やめておこう。もう精霊の力は感じない。それに…こんな美しいもの、私には壊せないよ。」
「うん。またアイツが出てきたら、やっつければいいし。」
「そっか。じゃ、レイアに任せる。」

レイアが手を上げて驚く。

「みんな一緒に!……です。」


「じゃあ、僕たちは行きますね。」

そう言うとジュード達は教会を後にした。



[30952] 第1章 第2話
Name: tales◆b5becff5 ID:3791d52c
Date: 2011/12/25 17:33
暗闇の中に二人の男が立っていた。

「ようやく取り戻した我が体…。しかし、足りぬ。」

一人の男が話し始めた。

「何が足りぬのでありましょうか。我が君。」

どうやらこの男はもう一人の男の部下のようだ。

「負だ。人々の負の思いが足りぬのだ…。」


第1章
第2話 オランダ王国客員剣士

-オランダ王国 アムステルダム-


(僕はオランダ王国客員剣士、リオン・マグナス。今日はオランダ国王インゴベルト六世陛下に召集された。新しい任務だろうか。)

リオンが王宮に向かって歩いていると前から一人の男が歩いてきた。

「おや。リオン君。」
「フィンレイ大将軍。」

フィンレイ・ダグ。オランダ軍の将軍の一人で、「無敗将軍」として知られている。

「陛下に呼ばれたのかい?」
「はい。」
「そうかい。行っておいで。」

フィンレイはそう言うと、街の方へ歩いていった。
リオンはフィンレイとは反対の方へ歩いていく。


王宮に着き、謁見の間に近づくと見張りの騎士が話しかけてきた。

「リオン様!陛下がお待ちです。」
そして、リオンは謁見の間に入った。
謁見の間に入ると、玉座に座るインゴベルト六世と横に控えるドライデン将軍がいた。

「リオン、待っていたぞ。ドライデン、説明を。」
「客員剣士リオン・マグナス。」
「はっ!」
「お前に盗賊団捕縛の任務を与える。場所はアルンヘムだ。」
「わかりました。こちらはどれだけの兵を用意するのですか?」
「今回の作戦は貴殿とヒューバート・オズウェル少佐の部隊50名が担当する。」
「少佐と協力して盗賊団を捕まえてほしい。」
「はっ!」

(とりあえず、少佐のところにいかなくては。僕はそう思い、謁見の間を後にした。)

リオンが謁見の間を出ると、そこにはヒューゴ・ジルクリストが立っていた。
彼はリオンの父親である。

「リオン、どこに行くのだ?」
「アルンヘムで盗賊退治です。」
「そうか。せいぜい頑張るのだな。」
「はい。ヒューゴ様。」

(僕はそう言うと、急いで少佐のところへ急いだ。)

リオンは少佐の部屋へ続く廊下を歩いている。

「ヒューゴの奴!坊ちゃん、必ず任務を成功させて、ヒューゴをギャフンと言わせましょう!」
(今の声の主はシャルティエ。こいつは剣だ。剣といっても、ただの剣じゃない。ソーディアン。喋る剣だ。シャルとは生まれたときからの長い付き合いだ。ヒューゴが遺跡で見つけたらしいが…。シャルの声はソーディアンマスターの素質がないものには聞こえない。)

リオンが去ると、ヒューゴは笑い始めた。

「ふふ。何も知らない傀儡よ。後で存分に働いてもらおう。」


(そして僕は少佐の部屋の前までやって来た。少佐はイギリス出身でオランダには養子としてきたらしい。腕は確かなので、今回の任務は早く終わるだろう。僕は部屋の扉をノックし、少佐の部屋に入った。)

「少佐。アルンヘムへ行きましょう。」

リオンが部屋に入ると、ヒューバート・オズウェル少佐は書類に目を通していた。

「今書類が少し残っていますので、あと一時間後にまたきてください。」
「分かりました。」

(僕は少佐の部屋を後にした。あと一時間後か。それなら屋敷に行ってマリアンに話をしよう。)


(僕は屋敷に帰ってマリアンを呼んだ。)

「マリアン!いるかい?」
「あら。エミリオ。もう帰ってきたの?」

リオンが屋敷の玄関でその名を呼ぶと、奥から女性、マリアン・フュステルが出てきた。

「いや。今から仕事なんだ。アルンヘムに行かなくてはならないんだ。」
「それでは気をつけてくださいね。エミリオ。」
「あ。今お茶を出すわね。」

(エミリオ・ジルクリスト。それが僕の本当の名前。エミリオという名はマリアンに預かってもらっている。一流企業の社長である偉大な父を越える時まで預かってもらうつもりだ。)


-1時間後-

「じゃあ行ってくるよ。マリアン。」
「気をつけてね。」

リオンは屋敷を後にした。


-少佐の部屋-

「少佐、準備が整いました。」

少佐の部屋に入ると、少佐はすでに準備を終えていた。

「わかりました。それではリオンさん。行きましょう。」


(アステルダムを出発してから三日がたった。これまでは順調に進んでいた。わが国、オランダ王国は大国の日本やアメリカと違って陸を移動する手段が徒歩か馬しかない。だから、僕達は徒歩でアルンヘムへと向かっている。)

「少佐、もうすぐ着きます。」

リオン達の前にアルンヘムの町が見えてきた。
その時、

「魔物です!」

(僕が後ろを振り返るとそこには、狼の群れがいた。)

全長2mぐらいはあるだろうか、というほどの大きな狼の群れがオランダ軍に迫ってきていた。

「この狼はここ一帯を根城している魔物です。総員戦闘態勢!」

ヒューバートの命令とともに、兵士達が剣を取り出す。

「ちっ!数が多い!」

リオンが狼達を斬り伏せながら、つぶやく。

「一気に蹴散らします!派手に踊れ!アンスタンヴァルス!!」

ヒューバートがそう言うと、無数の弾丸が発射された。

しかし、狼の数は依然として多かった。

「くっ。」
「このままではらちがあきません。狼のリーダーを探してください!」
「分かった!」

リオンが狼のリーダーを探し始める。

「坊ちゃん!右のほうの大きい狼がリーダーみたいです!」

シャルティエの言った方向に目を向けると、そこには一際大きな狼がいた。

「そこか!」

リオンがその狼のリーダーに駆け寄る。

「くらえ!飛燕連斬!!」

リオンの斬りが狼の腹を切り裂いた。

「キュイーン!」

狼のリーダーは倒れた。
リーダーを失った狼達は統率を失い散り散りなっていった。

リオンはシャルティエを鞘にしまい、ヒューバートの元へ歩いていった。

「さすがですね。」
「出発しましょう。」

オランダ軍はアルンヘムを目指して進軍していった。


-アルンヘム-

(ほどなくして僕達はアルンヘムに着いた。それにしても静かな町だ。)

「盗賊団はどこにでるのでしょう?」
「街の人たちに聞いてみましょう。」
「すいません。盗賊がいるのはどこですか?」

ヒューバートが近くにいた青髪の青年に尋ねる。

「この先のワール川の近くのザオ遺跡だったはずだが……。」
「ありがとうございます。」
「すまない。金髪の女性を見なかったか?クレアというのだが…。」
「いえ。見ていませんが。」
「そうか。どこへいったんだ、クレア…」

青年はそう言うと町の奥に消えていった。

「盗賊の根城はワール川周辺のようです。」

「行きましょう。」

リオンとヒューバートは軍がいる町の外へと歩いていった。

(僕はまだ知らなかった。この後に待ち受ける運命を………。)



[30952] 第1章 第3話
Name: tales◆b5becff5 ID:3791d52c
Date: 2011/12/26 13:49
第3話 謎の宝石

「ここのようです。」

リオンとヒューバート率いるオランダ軍は盗賊の根城、ザオ遺跡にやってきた。
ザオ遺跡。アンマルチア族という古代の民族の遺跡だ。
入り口には見張りが立っている。
見張りの一人がこちらに気づいたようだ。

「何だお前ら!」
「私達はオランダ王国軍です。あなたたちを捕らえます。」

ヒューバートが盗賊に警告する。

「投降した方が身のためだぞ。」

リオンがシャルティエを取り出し、盗賊に向ける。

「何だと?俺達をなめるなよ。」

すると見張りは服のポケットから笛を取り出し、笛を吹いた。
そうすると遺跡の中から無数の盗賊が現れた。

「くっ。こんなにいるのか!」
「こいつらは兵に任せて、私達は中へ行きましょう!」
「了解した。」

そしてヒューバートは兵士に奥に行くということを告げ、その場を副官らしき男に任せた。
それからリオンとヒューバートは遺跡の奥へと入っていった。


-ザオ遺跡 内部-

ザオ遺跡の内部は暗く周りはよく見えない。

「案外広いですね。」

二人が奥に進むと、急に上から声がした。

「ワレらがリーダーか?」
「何者だ!」

二人が声の主を探すが見つからない。

「どこだ!」
「上です!」

ヒューバートが遺跡の上の階にいる男に気づく。

「ヒョオオオオオ!!」

リオンがいた場所に槍が放たれた。あと一秒反応が遅かったら死んでいただろう。
その数秒後、男が降りてきた。

「何者だ!」
「ワイはモーゼス、この盗賊団の親玉じゃ!」

モーゼスと名乗った男は槍を持ち、リオン達に迫ってきた。

「あなたが親玉ですか。覚悟してもらいます!見切れはしまい!クロスミラージュ!」

二丁拳銃からエネルギー弾が発射される。

「おっと。」

モーゼスはエネルギー弾をいとも簡単によけた。

「次はワイの番じゃな。孤心!」

モーゼスから放たれた槍はヒューバートの銃に当たり銃が落ちた。それと同時にヒューバートも倒れた。

「っ!」
「どんなもんじゃい!」

その時、モーゼスの後ろの死角でリオンが詠唱を完成させていた。

「いくぞ、シャル!」
「任せてください!」
「潰れろ!エアプレッシャー!!」

モーゼスを中心に円形状の重力場が発生した。
「ぬぅぅぅ!」

モーゼスは重力場に巻き込まれ、下方向に強い圧力を受ける。
そして床に倒れた。

「やったか!」
「まだ……じゃ。」

モーゼスが体をふらつかせながら立ち上がる。

「まだ立つのか!」

そしてモーゼスはリオンに向かって槍を投げた。

「狼羽!」
「デモンズランス!!」

モーゼスからリオンに向けて放たれる槍。
それと同時にリオンからその槍に放たれる闇の晶術、デモンズランス。
それらは当たると互いに打ち消しあった。

「やるのぅ、ワレ。」
「そちらもな。だが、ここまでだ!」
「それはこっちのセリフじゃ。ギート!」

モーゼスがそう言うと、柱の陰から一匹の狼が飛び出してきた。
狼がリオンに襲い掛かる。リオンはかろうじて狼の攻撃をよけた。

「ちぃ!」

リオンの気がそれた瞬間にモーゼスは遺跡の奥に逃げていった。
ギートと言われていた狼も逃げていった。

「くそっ。逃げられたか。」

ヒューバートが起き上がってリオンに近づいてきた。

「すいません。僕が不甲斐ないばかりに…。」
「いえ。それより早く奥に行きましょう。」
「そうですね。」

二人はさらに奥へ進んだ。


数分進むと目の前に扉が見えた。扉には妙な紋章が描かれていた。
扉の中の部屋から声が聞こえた。

「フッフッハッハ・・・楽に死ねるなんて思うなよ!吹き荒れろ!狂乱の嵐!シュタイフェ・ブリーゼ!!」
「ぐぁぁぁぁ!」

二人は急いで部屋の中に入る。すると、モーゼスとギートが倒れており、男が立っていた。

(やはり、サレ!しかし、何故ここに?)

「なぜ将軍がここに?」

ヒューバートがサレにたずねる。

「君達とは別の任務でね。この宝石を探していたんだよ。」

サレの手には手のひら程度の大きさの輝く石があった。

「この盗賊が持っていてね。探すのに苦労したよ。」
「それは…ワイの…もん…じゃ。返…せ…。」
「まだ生きていたのかい?いい加減に死ねよ!!」

サレがモーゼスに近づき手を踏みつける。

「おやめください。サレ様。一応捕らえて首都に連れて行かなければなりません。」
「いいじゃないか。僕に逆らったんだから。」

その時、後ろの扉が急に開いた。

「はぁぁぁぁ!」

声と共に男がサレに斬りかかってきた。

「あなたはアルンヘムの!」

サレに斬りかかっている男はアルンヘムにいた青い髪の青年だった。

「クレアを返せ!!」
「君は誰だい?」

青髪の男の剣をひらりと受け流しながらサレが聞く。

「答える必要はない!幻龍斬!」

男はサレに向かって剣を構え突進する。しかし、サレはそれも軽くよける。

「そうか。君がヴェイグか。あのクレアっていう女が言ってたな。助けて、ヴェイグー。てね。」
「貴様!」
「そこだ!散沙雨!」

サレがヴェイグの隙をつき無数の突きを浴びせる。

「くっ!」

ヴェイグはそれを大剣で防ぐ。

「やめてください。将軍!」

ヒューバートがサレを止めようとする。

「うるさい!君も僕に逆らうのかい?」

ヴェイグがサレの突きを受けきって、反撃に出た。
ヴェイグは圧倒的な速さでサレの後ろに回る。

「幻魔!斬翔剣!!!」

「くっ!!」

ヴェイグの大剣がサレの頬をかすめた。そして宝石が落ちる。

「ははは。僕に傷をつけたのは君が初めてだ!ご褒美に殺してあげるよ!」
「そこまでだ!サレ!」

サレ達が後ろを向くと、部屋の入り口にフィンレイ大将軍が立っていた。

「おやおや。これは大将軍閣下。」
「君の民間人を傷つける行いを許すわけにはいかない。ここで盗賊と共に捕まってもらうぞ。」

フィンレイが大剣を抜く。

「そういうわけにはいきませんね。」

そう言うと、サレはヴェイグを蹴り倒し、遺跡の奥に逃げていった。
リオンが駆け寄るも扉は閉じられ、中から鍵がかけられた。
その時、遺跡の壁から機械の人形の群れが現れた。

「こいつはゴーレム!」
「坊ちゃん、こいつらは強敵です!」
「三人とも、逃げるんだ!」

フィンレイがゴーレムに駆け寄る。

「くっ。ここは大将軍に任せて退きましょう。少佐、そこの盗賊と狼を。」
「分かりました。」

リオンはヴェイグを引っ張って外に連れていこうとする。

「クレアーーーーーッ!!」

ヴェイグが叫ぶ。

「安心しろ。クレアという女性は必ず私が助け出す。それからヒューバート!これを陛下に渡すんだ。」

フィンレイの手から先ほどサレが落とした宝石が投げられた。
リオンはヴェイグをやっとのことで部屋の入り口まで連れ出した。

「分かりました。」
「大将軍。ご無事で。」
「早く行くんだ!」

フィンレイがゴーレムの豪腕から繰り出されるパンチを受けながら叫ぶ。

(彼は僕に剣を教えてくれた師匠だ。彼ならゴーレムごとき敵ではない。僕はそう思い、部屋を後にした。)



[30952] 第1章 第4話
Name: tales◆b5becff5 ID:3791d52c
Date: 2011/12/25 22:31
第4話 立ち込める暗雲

部屋を出るとゴーレムが一体立っていた。

「ここにもゴーレムが!」

リオン、ヒューバートはそれぞれ武器を抜く。
ゴーレムは太い腕を振り回しながらリオンに迫る。

「魔神剣・双牙!」

剣から放たれた衝撃波でゴーレムがひるむ。

「今だ!」

リオンは部屋に戻ろうとするヴェイグを連れてひるんだゴーレムの隣を駆け抜けようとして横にまわる。

「坊ちゃん!後ろ!」
リオンが後ろを振り返ると先ほどとは違うゴーレムが腕を振り上げていた。恐らく横の柱に隠れていたのだろう。

(こいつ!いつの間に!!)

「ヒョオオオオ!」

その時、横から飛んできた槍でゴーレムは吹っ飛んでいった。
モーゼスの飛ばした槍だった。

「貴様、意識が戻ったのか?」
「礼の一つもないんかい!」
「まあいい。全員でこの傀儡どもを消すのみだ!」

ヒューバートが吹き飛んだゴーレムに向かっていく。
その後に続きリオンがシャルティエを構え、ゴーレムに向かっていく。

「そうですね。虎牙破斬!!」

ヒューバートの二段斬りでゴーレムの動きが鈍る。

「そこだ!デビルスピアー!!」

リオンの剣先から放たれた闇の槍はゴーレムを貫いた。その瞬間ゴーレムは機能を停止した。

「後一体か!!」
「俺も協力しよう。」

ヴェイグが大剣を抜く。

「民間人は下がっていろ!」

リオンがヴェイグを止めようとするが、ヴェイグはその制止をふりきり走り出した。

「衝破連牙衝!!」

ヴェイグが繰り出した二連撃と突きによってゴーレムは吹き飛び、壁にぶつかり二度と動くことはなかった。

「終わったようだな。」
「坊ちゃんの敵じゃありませんね。」

リオンがシャルティエを鞘にしまい周りを見渡すと、モーゼスとギートの姿がなかった。

「少佐!盗賊はどこです!?」
「しまった!」

どうやら、モーゼスとギートはリオン達が戦っていた間に逃げ出したようだ。

「今ならまだ追いつけるかもしれない。行きましょう!」

リオンはヴェイグと共に走って出口へと向かっていった。ヒューバートもそれに続こうとした時、足元に何かを見つけた。

(これは……バッヂですね。このマークどこかで見たような気がしますが………。)

「少佐!急ぎましょう!」
「今行きます。」

ヒューバートはそのバッヂをポケットの中にしまい、出口へと走っていった。


外への階段を登り、外へ出るとそこには無数の死体が転がっていた。
その死体の群れの中心にモーゼスとギートがいた。

「チャバ…。皆……。」

死体は盗賊団だけではなく、オランダ軍のものもあった。全滅したようだ。
リオンが死体の一つに近づく。

(この傷、人間がつけたものじゃない。まさか……ゴーレム!)

「少佐。もしかしたらこれはゴーレムの仕業かもしれません。」
「ええ。どうやらそのようですね。」
「出て来い!ゴーレムとやら!ワイが相手じゃ!」

モーゼスがあたりを見回して、ゴーレムを探す。

「この死体の温度から察するにまだ遠くへはいってないはず。手分けして探しましょう。」

リオンがオランダ軍兵士の死体に触りながら言う。

「僕はそちらの盗賊と一緒に東のほうへ行きます。リオンさんは西の方へ行って下さい。」

「わかりました。ヴェイグとかいったな。行くぞ。」
「ああ。」

(クレア。待っててくれ。必ず俺が助け出す。)


リオンとヴェイグは西へと進んだ。すると目の前にゴーレムがいた。

「いたぞ!やれるか?」
「ああ。」

リオンとヴェイグが同時に地面を蹴った。

「月閃光!」
「無影衝!」

リオンのシャルティエとヴェイグの大剣がゴーレムに襲い掛かる。
二人の攻撃を受けたゴーレムは流石に立っていられず崩れ落ちた。

「終わったな。よし。少佐のところに行くぞ。」

その頃、ヒューバートとモーゼスは………。


「こちらにはいないようですね。」

ガサガサ。
左の茂みから物音がした。

「ゴーレムか!?」
「残念でしたね。我々はゴーレムではありません。オランダ軍です。」

茂みから三十人程度の騎士達が現れた。

「ちょうどよかった。私達はゴーレムを探しています。手伝っていただけますか?」
「ヒューバート・オズウェル。貴様を反逆罪で逮捕する。」

そう言うと、騎士達が剣を抜いた。

「え?」
「それとそこの盗賊。貴様にも来てもらうぞ。」
「ワイは皆の仇を取るんじゃ!こんなところで捕まりはせん!」
「言ってる意味がわかりかねますね。」

モーゼスとヒューバートが武器を取る。

「まったく強情な方々だ。ヒューゴ様の命令だ。生かして連れて行くぞ!」
「ヒューゴ様の!?」

ヒューバートが驚く。

「これは失言でしたね。魔道兵!」

騎士が後ろに控えていた魔道兵に指示を出す。

「氷の刃よ、降り注げ、アイシクルレイン!」
「ぬわぁぁぁ!」
「くっ!!」

魔道兵から放たれた氷の魔法、アイシクルレイン。その氷の刃に二人と一匹はなす術もなく倒れた。


リオンとヒューバートは遺跡の前に戻ってきた。

(まだ少佐達は戻っていないのか。)

「坊ちゃん。誰か来ますよ。二人ではありませんね。もっと大勢です。」

シャルティエが言った瞬間、馬に乗った騎士と槍を持った騎士達が後ろから現れた。

「何者だ、貴様ら!」
「オランダ軍第四師団です。客員剣士様。」
「そうか。ここに来る時、ヒューバート少佐を見なかったか?」
「ええ。見ました。」
「どこにいた?」
「今はこの袋の中でお休みなられていますよ!」

騎士は後ろの騎士が持つ袋を指差した後、リオンに向かって馬を走らせてきた。

「貴様ら!何のまねだ!!」
「あなたのお父上のご命令です。一緒に王都まで来てもらいますよ。」

リオンはシャルティエを抜いた。

「後ろを御覧なさい。」

リオンが後ろを見ると、ヴェイグが捕まっており首に剣を突きつけられていた。

「貴様ら、いつのまに!?」
「あなたのせいで何の罪もない民間人が死にますよ?」
「そんなことを言ってどうせ後で殺すつもりだろう?」
「少なくとも今は死にません。」
「そんな要求のめるものか!」

リオンがシャルティエを構えて魔法を詠唱する。

「ストーンブラスト!!」

ヴェイグに剣を突きつけている騎士に石つぶてが当たる。騎士の動きが鈍った。

「魔神剣!!」

リオンの放った衝撃波が騎士を吹き飛ばした。

「早く行け!」
「だが…。」
「クレアという女性を救うんだろう!ここで捕まったら助けられないぞ!」
「安心しろ。僕もすぐ行く。」

リオンはそう言うとヴェイグに背を向ける。

「分かった。」

ヴェイグはそう言うと後ろにいる騎士をなぎ倒して走っていった。
騎士達がすかさず追いかけようとするが、その行く手をリオンが阻んだ。

「貴様らの相手はこの僕だ、木偶の坊ども!」
「貴様、言わせておけば!ヒューゴ様には悪いがここで死んでもらうか!!」

騎士達が一斉にリオンに突進してくる。

「もらった!」

騎士達が勝利を確信し、槍を突き刺した。
しかし、そこにリオンの姿はなかった。

「い、いない!?どこにいった!」
「上だ!!」
「臥竜閃!」
「ぐぁぁぁぁぁ!!」

リオンの放った衝撃波をくらい、下にいた騎士達が倒れた。

「ちぃ!魔道兵、焼き殺せ!!」

魔道兵が術の詠唱を始める。

「坊ちゃん!」
「分かってる!」

リオンは地上に降りると、詠唱を開始した。

「漆黒の槍よ、敵を貫け!デモンズランス・ゼロ!!」

リオンの手から放たれた漆黒の槍はエネルギー弾と共に魔道兵に直撃した。
漆黒の槍は周りの騎士達も巻き込み消滅した。

「こ…いつ……強…すぎ……る……。」

騎士達は全員倒れた。

「終わったようだな。」
リオンがシャルティエを鞘にしまうと、後ろから声がした。

「それはどうかな?」
「貴様はサレ!」

サレは不敵な笑みを浮かべながら剣を抜き、リオンに迫っていった………。




[30952] 第1章 第5話
Name: tales◆b5becff5 ID:3791d52c
Date: 2011/12/28 19:47
第5話 地獄の始まり

「まったく役に立たない兵士達だね!」

サレがリオンに近づくと、横に倒れていた騎士が立ち上がった。

「も、申し訳…ありま…せん。サレ様。」
「役に立たない奴には死んでもらうよ。」

サレはそう言うと騎士の胸に剣を突き刺した。

「ぐ…ぐふ……っ!」

騎士の胸から鮮血が噴き出て、騎士は倒れた。

「さてさて。客員剣士様。一緒に来てもらいますよ。」

その時、サレの後ろから騎士が現れた。

「サレ様、爆弾の用意ができました。」
「そうかい?じゃあ、やっちゃって。」
「はっ!」

騎士はそう言うと持っていたスイッチを押した。
その瞬間、遺跡は爆発した。

「!」
「あそこにはフィンレイ大将軍がいるはず…。まさか!?」
「ははは。木っ端微塵だね。大将軍は死んだよ。」
「大将軍のことだ。きっと逃げたはず………。」
「それはないね。あの部屋に閉じ込めたから。」

サレはリオンに微笑む。

「サレ、貴様!」
「僕とやるっていうのかい?勝てるのかな?」
「はぁぁぁぁぁ!」

リオンはシャルティエを構えサレに斬りかかった。

「サレ様!私も加勢します!」

他の騎士達が続々と起き上がってきた。

「いいよ。僕一人で充分さ。」

サレはレイピアを取り出す。

「爪竜連牙斬!!」

サレがリオンの連続斬りを全て受け止める。

「そんなに怒らないでよ。君のお父さんの指示なんだから。」

サレに向かって剣を繰り出していたリオンの手が止まる。

「さっきの騎士もヒューゴがどうとか言っていた………。」
「全てはヒューゴ様の計画なんだよ。邪魔なフィンレイを殺してダイクロフトを復活させるためのね!」
「ダ、ダイクロフトだって!?」

シャルティエが動揺する。

「どうした、シャル。」
「さぁ、そろそろ一緒に王都へ参りましょう。」
「断ると言ったら?」
「無理やり連れて行くだけさ!」

サレがレイピアを構える。

「散沙雨!!」
「ストーンウォール!!」

サレの無数の突きを岩の壁が阻んだ。

「ちぃ!」

岩の壁が砕けるとそこにリオンの姿はなかった。

「臥竜滅破!」
「そこか!ガスティーネイル!!」
「くぅ!!」

サレの頭上からリオンの放った衝撃波はサレの風の魔法に打ち消されリオンの体は切り裂かれた。
リオンは地面にたたきつけられた。

「さて、そろそろ決着をつけようか。絶望の嵐よ。吹き荒れろ!フィアフルストーム!!」
「ぐぁぁぁぁ!」

サレの放った風系最強魔法フィアフルストームをくらったリオンは倒れた。

「そいつを王都に連れて行くよ。撤収だ。」

今まで木陰で戦いを見ていた騎士が現れた。

「はっ!」
「あっ。その袋の中にいるポンコツ少佐とウザい盗賊も忘れないでね。」

サレ率いるオランダ軍はリオン、ヒューバート、モーゼスを捕らえ王都へと向かった。
その場に残されたのは、ギートだけだった…。


-アムステルダム-


「ヒューゴ様、リオン・マグナスを連れて帰りました。」
「ご苦労。お前は下がってよいぞ。」
「はっ。」

(そのような会話で僕は目を覚ました。あたりは真っ暗だった。恐らく袋の中に入れられているのだろう。その時、真っ暗だった視界がいきなり明るくなった。)

「目が覚めたか。リオン。」

(そこにはヒューゴが立っていた。やはりこいつが黒幕だったのか。)

リオンは袋から飛び出した。

「ヒューゴ!お前が黒幕だったのか!少佐はどこだ!」
「少佐は牢にいる。反逆罪の容疑でな。」
「貴様が陛下に嘘を吹き込んだんだな!」
「落ち着け、リオン。貴様にはやってもらう仕事がある。」
「貴様の指図は受けない!少佐を出してもらおうか!」

リオンがシャルティエを構える。

「ふふふ。私に逆らうというのか。いいだろう。私の力を見せてやろう。」

ヒューゴはそう言うと空間から一本の剣を取り出した。

「ベ、ベルセリオス!?」
「あれがベルセリオスだと!?」

ヒューゴの手には禍々しいオーラを放つ、ソーディアン・ベルセリオスがあった。
ソーディアン・ベルセリオス。四千年前の天地戦争時代に作られたソーディアンの一つで、闇と光を操る。

「坊ちゃん、ここは退きましょう!坊ちゃんの力じゃベルセリオスには勝てません!」
「その通りだ。お前の力では私には勝てん。」
「シャルティエの声が聞こえている。ということは、貴様もソーディアンマスターだったのか!」
「そういう事だ。」
「だからといってここで退くわけにはいかないな。」

リオンがシャルティエを構えヒューゴに向かっていく。

「そうか。ならば来るといい!」
「空襲剣!」

リオンの剣がヒューゴに襲い掛かる。しかし、ヒューゴはそれを片手で受け止めた。

「ふっ。まだまだ甘いな。オニキスフレア!」
「くっ!!」

ヒューゴが剣を一振りすると闇の波動が発生し、リオンに直撃した。
リオンはものすごい勢いで壁に激突した。

「どうだ、リオン。そろそろ従う気になったか?」

しかし、リオンは立ち上がり再びシャルティエを構えた。

「往生際の悪いやつだ。レンブラント!」
「はい。」

すると、2Fの部屋からジルクリスト家の執事、シャイン・レンブラントが現れた。

「レンブラント爺。まさか隣にいる人は!?」
「はい。マリアン様でございます。」

レンブラントが連れていたのはマリアン・フュステルだった。

「ヒューゴ、汚いぞ!」
「従ってくれるな、リオン。」

(マリアンを人質にとられた。僕はヒューゴに従わざるをえなかった。)

「わかった。要求はなんだ。」

シャルティエを鞘にしまいながらリオンは言った。

「ふふふ。さすがは私の息子だ。アムステルダム・スキポール国際空港へ向かえ。そこでサレが待っているだろう。」
「わかった。この仕事が終わったらマリアンは返してくれるんだな。」
「それはお前次第だ。お前の地獄はまだ始まったばかりだ。」

それからリオンは屋敷の外に出た。


王都の外に出て、空港へ走るリオン。

「坊ちゃん、本当にヒューゴの言いなりになるつもりですか!?」
「僕だってこんな事はしたくない。でも、しなきゃマリアンは助けられない!」
「なら陛下に伝えましょう!」
「それじゃマリアンは助けられないんだ!」
「だからって!」
「うるさいぞ、シャル!」
「サレの言ったとおりなら、ヒューゴが復活させようとしてるのはダイクロフトなんですよ!四千年前、世界を破滅の手前まで追い込んだダイクロフトなんですよ!?」
「もちろんこのままヒューゴの思い通りにはさせない。必ずヒューゴを倒し、マリアンを取りもどす。」
「それまでは奴に従うんだ。必ず隙ができる。」
「わかりました………。」


-アムステルダム城-

「まさかリオンとヒューバートがイギリス軍と通じていたとは………。」

玉座に座りながらインゴベルト六世がつぶやく。謁見の間にはたくさんの臣下達が集まっていた。

「わが軍は小隊とフィンレイ大将軍を失いました。」
「こうなったら、イギリスに宣戦布告を行うのがよいかと私は愚考しますが…。あそこには豊富な資源があります。この機にそれを奪いましょうぞ。」

ヒューゴがインゴベルト六世に提案する。

「ふむ…。」
「陛下、戦争をいたしましょう。フィンレイ大将軍の敵討ちです!」

ドライデンが叫ぶ。

「うむ。皆の者、戦争だ!オランダに栄光あれ!」
「オランダに栄光あれ!!」

インゴベルト六世が叫ぶと、臣下が皆叫びだした。

(ふっ。単純な連中どもだ。オランダ軍がイギリス軍に壊滅させられたという証言をサレにいわせただけで簡単に信じおったわ。)

「ドライデン、そちが大将として指揮するのだ。」
「はっ!」

(そろそろリオンが空港に着いたころだろう。ふふ。愚かな少年だな、彼も。私が本当はヒューゴではないという事にも気づかないとは………。)


-アムステルダム・スキポール国際空港-

「待っていたよ、リオン・マグナス。」

リオンが空港に着くと、サレが飛行竜の前で待っていた。

「何をすればいい。」
「ここにある飛行竜を使ってイギリスにあるスニーク研究所へ向かう。そこにある聖核を奪取するんだ。」
「やっぱり聖核が目当てなんですね。」
「あと君が少しでも裏切ろうという気になれば、すぐヒューゴ様に連絡してマリアン嬢を殺してもらうからね。」
「わかってる。」
「じゃあ、行こうか。」
「ああ。」

サレとリオンが飛行竜に乗り込んでいく。

(マリアン………。)

残虐な男と悲劇の少年を乗せた飛行竜がイギリスに向かって飛び立っていった。
運命の歯車が今、回り始めた………。



[30952] 第1章 人物紹介
Name: tales◆b5becff5 ID:3791d52c
Date: 2011/12/28 20:00
~僕はオランダ王国客員剣士、リオン・マグナス。~
リオン・マグナス
性別:男 年齢:16歳
本名はエミリオ・ジルクリスト。
オランダ王国の客員剣士で盗賊団捕縛の任務につく。
しかし、任務中に裏切ったサレに捕らえられ、アムステルダムに連れて行かれる。
そこでマリアンを人質にとられ、聖核(アパティア)強奪を強要される。
そしてリオンはサレと共にイギリス王国を目指し、飛行竜に乗り飛び去っていった。


~ヒューゴの奴!坊ちゃん、必ず任務を成功させて、ヒューゴをギャフンと言わせましょう!~
ソーディアン・シャルティエ
性別:男 年齢:約4000歳
4000年前の聖核をめぐる戦争「天地戦争」時代の軍人、ピエール・ド・シャルティエ少佐の人格を写したソーディアン。
ソーディアンとは聖核に人格を写し、剣にはめたものである。
ソーディアンマスターの資質がある者のみがソーディアンを使うことができる。


~派手に踊れ!アンスタンヴァルス!!~
ヒューバート・オズウェル
性別:男 年齢:17歳
オランダ王国軍少佐。
イギリス王国のラント家からオランダ王国のオズウェル家の養子となった。
リオンと共に50名の部隊を率いて盗賊捕縛の任務につく。
任務中に反逆罪として捕らえられ投獄されるが、これはヒューゴの悪辣な罠だった。


~クレアーーーーーッ!!~
ヴェイグ・リュングベル
性別:男 年齢:18歳
アルンヘムで暮らしていた青年。
生まれつき水を操る能力を持っている。
幼馴染のクレアを探して一人ででザオ遺跡へ潜入。
その後、オランダ兵に襲われるがリオンによって逃がされる。
彼はアルンヘムでリオンの帰りを待っている。


~出て来い!ゴーレムとやら!ワイが相手じゃ!~
モーゼス・シャンドル
性別:男 年齢:17歳
ザオ遺跡を根城とする盗賊団のリーダー。
とある事情で聖核を探しており、それを持っていたベネット家から強奪した。
仲間の仇であるゴーレムを討伐した後、ヒューゴの策略に巻き込まれ投獄される。


ギート
性別:オス 年齢:???
モーゼスと強い絆で結ばれているグランドガルフ。
モーゼスは捕まったがギートは捕まらなかった。


~ふふふ。私に逆らうというのか。いいだろう。私の力を見せてやろう。~
ヒューゴ・ジルクリスト
性別:男 年齢:42歳
リオンの父にして大企業オベロン社の社長。
国の政策にも口を出す上流階級だが、実は残虐非道の性格でマリアンを人質にとりリオンを利用する。
このことには何か裏があるようだが…。


ソーディアン・ベルセリオス
性別:男 年齢:約4000歳
4000年前の聖核をめぐる戦争「天地戦争」時代の軍人、カーレル・ベルセリオス中尉の人格を写したソーディアン。


~ははは。僕に傷をつけたのは君が初めてだ!ご褒美に殺してあげるよ!~
サレ
性別:男 年齢:24歳
オランダ王国の将軍。
他人の苦しんでいる顔を見るのを好むという残忍な性格。
聖核を持っていたベネット家に行くも、聖核が奪われたことを知り激怒。
自らの楽しみのためにクレアを誘拐した。
その後、聖核を盗んだモーゼスを襲い聖核を奪うがフィンレイの妨害を受け逃亡。
しかしその後、遺跡を爆破しリオン一行を捕らえヒューゴに身柄を預けてイギリス王国へ向かった。


~君の民間人を傷つける行いを許すわけにはいかない。ここで盗賊と共に捕まってもらうぞ。~
フィンレイ・ダグ
性別:男 年齢:27歳
オランダ王国の将軍で「無敗将軍」の異名を持つ。
リオンの師であり、剣の腕は他の追随を許さない。
ドライデンの頼みでリオン達の補佐としてザオ遺跡へ行ったが、そこでサレの横暴を目撃。
サレを止めようとするが、逃げられた上に閉じ込められ遺跡爆破に巻き込まれた…。


~うむ。皆の者、戦争だ!オランダに栄光あれ!~
インゴベルト六世
性別:男 年齢:???
オランダ王国の国王。


~客員剣士リオン・マグナス。お前に盗賊団捕縛の任務を与える。~
グスタフ・ドライデン
性別:男 年齢:46歳
オランダ王国の将軍。
堅物でヒューゴのことをよく思っていない。


~あら。エミリオ。もう帰ってきたの?~
マリアン・フュステル
性別:女 年齢:25歳
ジルクリスト家で働くメイド。
リオンの母、クリス・カトレットに似ているという。
そのためリオンが心を開く唯一の相手。
しかし、ヒューゴの人質となってしまう。


~助けて、ヴェイグー!!~
クレア・ベネット
性別:女 年齢:17歳
アルンヘムに住む少女。
身寄りのない幼馴染のヴェイグと共に暮らしている。
ベネット家は昔、王家に仕えていてその際に賜った聖核を家宝としている。
そのことがモーゼスやサレに伝わり、誘拐された。


~はい。マリアン様でございます。~
シャイン・レンブラント
性別:男 年齢:49歳
ジルクリスト家に仕える執事。
ヒューゴの計画に加担し、マリアンを人質として捕らえる。



[30952] 第2章 第6話
Name: tales◆b5becff5 ID:ccc440dd
Date: 2011/12/28 19:48
闇の中。一人の男が佇んでいた。

???「この世界ではあまり負は集まらないな…。」

そこにもう一人の男が現れた。

???「我が君。新たなマクスウェルの方はいかがいたしましょう?」

???「放っておけ。まだ我の存在に気づいていないようだからな…。」


第2章
第6話 二つの戦い


-イギリス王国 エディンバラ郊外-

ある騎士が兵士達を斬り捨て前へと走りぬけていく。
この騎士の名は、アスベル・ラント。グラスゴーを治めるラント家の長男である。
今このイギリス王国は元騎士団第一師団長、セルディク大公が裏切り、内乱の真っ只中であった。
セルディクは現国王、リチャードの叔父にあたる人物でかねてから反乱の疑いがあり親衛隊もマークしていた。
1年前までは大都市オックスフォードを治めていたが、国王の命令に背いたという理由で領地を田舎の都市エディンバラに移された。
そのことを恨みに思ったのか、王位を奪い取らんとしてセルディクは反乱軍を結成。
それを聞きつけた騎士団はすぐさまエディンバラへ向かったところ、郊外で反乱軍が待ち構えており今の状況になった。

(こんなところで俺は負けるわけにはいかない。リチャードのためにも!)

目の前に現れる兵士たちを斬り倒しながらアスベルは思っていた。
現国王リチャードとアスベルは幼い時からの親友で、その親友を守るためアスベルは親の反対を押し切り、騎士団に入隊したのだ。

「魔神剣!」

アスベルが放った衝撃波が前方の兵士達を吹き飛ばした。

「やるね、アスベル。」

その時、後ろから一人の騎士が走ってきた。
この騎士の名はフレン・シーフォ。イギリス王国の騎士団長である。

「アスベル。もう少しで敵の本陣だ。行けるかい?」
「はい!」

アスベルとフレンは一気に戦場を駆け抜け、セルディクがいる場所にたどり着いた。

「来たか、若造。」

周りを兵士に囲まれた中にセルディク大公が立っていた。

「覚悟はできていますね?」
「それはこちらの台詞だ!!」

フレンが剣を構え、兵士を斬りながらセルディクの元へ走っていく。
セルディクが近づいてきたフレンに大剣を振り下ろした。フレンはかろうじてその攻撃を剣で受け止めた。

「くっ!」
「ほう、受け止めたか。だがいつまでもつかな?」
「団長!」

アスベルがフレンの元へ行こうとすると、周りの兵士が続々と寄ってきた。

「邪魔だ!月夜に沈め!朧月夜!!」

アスベルは自らの周りに衝撃波を発生させ兵士達を倒した。

「はぁぁぁぁぁ!!裂震虎砲!!」

アスベルから放たれた闘気がセルディクに直撃した。
セルディクは吹き飛んで地面にたたきつけられた。

「ぐはっ!」
「これで終わりです。セルディク大公。」
「まだ終わらないぞ。魔王、爆焔波!!」

立ち上がったセルディクの剣から放たれた炎の闘気がアスベル、フレンを襲った。

「くぅ!」

炎に包まれていた視界が開けるとそこにセルディクの姿はなかった。


-イギリス王国 ロンドン-

イギリス国王リチャードは軍師ローエン・J・イルベルトとの作戦会議を行っていた。
事の発端は四日前にオランダからの使者がやってきて、軍が損害を受けたため報復を行うと言ってきたことだった。
もちろんリチャードにはオランダに危害を加えた覚えはなかったが、相手が戦争を行うといっている以上、受けて立たないわけにはいかなかった。

「陛下、先ほど兵士から連絡が入った情報によりますとオランダ海軍は明日正午、我が国の領海に到着するとのことです。」

ローエンがリチャードに報告をする。

「ふむ。明日か。相手はどれだけの戦力なんだい?」
「戦艦が15隻にその他の船が40隻程度です。」
「ふむ。」
「ですので、こちらは第一、第三、第四艦隊を派遣して、残りの艦隊は他の沿岸の警備に当たらせるのが妥当かと。」
「そうしよう。あと、セルディクの方はどうなっているんだい?」
「まだ連絡はきておりません。」

その時、謁見の間に兵士が入ってきた。

「ご報告します!セルディク大公は騎士団の攻撃を受け、大多数の損害を被りましたが逃亡し、ガンダラ要塞に逃げ込んだ模様です。」
「なんと!あそこには人工のゴーレムが配備されておりますぞ。セルディクの件に関してはいささか時間がかかりそうですな。」
「分かった。下がってよい。」
「はっ!」

そう言うと、兵士は謁見の間から去っていった。

「アスベルは無事だろうか…。」
「あの青年は簡単に死ぬような男ではありませんよ。」
「そうだね。」
「明日の戦は私が指揮いたしましょう。久々に指揮者(コンダクター)の腕がなりますな。」
「ありがとう。ローエン。君には本当に感謝している。わが国の出身でもないのに、ここまでしてもらって…。」
「いえ。自分で選んだ道ですから。」
「では、陛下。私は明日の準備がありますので、これで失礼させていただきます。」
「分かった。明日は頼んだよ。」
「はい。」

そしてローエンは謁見の間を後にした。


-翌日-
-イギリス王国 北海-

イギリス軍の戦艦と、オランダ軍の戦艦が向き合っていた。

「ローエン殿!準備が整いました!」
ローエンは旗艦「ハイデルベルグ」の作戦会議室にいた。

「分かりました。では取り急ぎ説明いたします。」

作戦会議室にはジョゼット・セシル少将とアスラン・フリングス将軍がいた。

「我が艦隊の持ち味は機動力にあります。機動力を活かして敵艦隊をかく乱し、一気に旗艦を撃破するのです。」
「分かりました。」

その時、戦闘開始の笛が鳴り響いた。
「行きましょう。」

セシルとフリングスは外へ出て行った。


オランダ軍はドライデン指揮のもとかく乱作戦を展開するイギリス軍と戦っていた。

「やはり陽動できおったか。読めておったがな。」
旗艦「セインガルド」の艦橋にいた白髪の猛将、ドライデンがつぶやいた。

「セインガルド、主砲発射!」
「主砲、発射!!」

ドライデンがそう言うと、セインガルドの主砲が発射された。
しかし、その主砲は動きの速いイギリス船にあたることはなかった。

「ぬう。ちょこまかと小賢しい奴らだ。フィンレイの仇をとるのは簡単ではなさそうだな。」

その時、旗艦の中に一匹の伝書鳩が入ってきた。

「ドライデン将軍!別動班から連絡です!」
「上陸作戦は成功したのか?」
「はい!別動班は無事に警備艦隊を撃破し、上陸に成功したようです!」

すると、旗艦の兵士達が喜びに沸いた。

「我々は見事に陽動を果たしたようだな。よし、我々も負けておられんな。全軍突撃!!」

その掛け声と共にオランダ艦隊はイギリスの砲撃をくぐりぬけ、イギリスに向かって進軍していった。
その上には空を飛んでいる一機の飛行竜の姿があった………。


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