2011-12-16
年内で閉鎖いたします
こちらのダイアリーですが、年内で閉鎖となります。
いろいろ書きましたが、ご清聴、ありがとうございました。
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2011-10-21
Nintendo Directに想う
更新がだいぶあきました。
さて、今日は単純に「Nintendo Direct」の話。
岩田社長の「社長が訊く」は、初回から見ていると同時に、存じ上げている方が歴代のまとめをやっていたりと、まぁ、個人的に興味もあって読んでいるのですが、ここ数年間の間に「興味がない」話へと転じているような気がしております。
どこからかはわからないのですが、
技術論が多くなっていないか。
プレイヤーに関係のない苦労話が多くなっていないか。
この２点に尽きるのであります。
今回の発表もよくわからないのは、この内容をネット配信で、映像ベースでやる必要性がわからなかったというところ。
基礎メニューが拡張されるので、そこはアナウンスは必要なわけですが、モノは携帯ゲーム機です。
もう少し、わかりやすい流し方は無いのでしょうか。
…と、言っていると多分CMで流したりもあるのでしょうが、Wii以降、任天堂のUI含めたインターフェイスは以前と異なっていると思っているのです。
以前の任天堂のインターフェイスは記号論で、危険なものは危険。◯☓の区別は統一という感じだったのですが、
今のインターフェイスはグラフィックとか言葉が優先されているかな…という感じなのです。
たとえば「通信」にこだわる必要はあるのでしょうか？
たとえば「３Ｄ」にこだわる必要はあるのでしょうか？
それが必然性の面白さに、実は私は興味がないわけです。
それがあることで増える面白さに興味が有るわけです。
「３ＤＳの特徴である〜」という今回のお話には、正直、違和感を感じざるを得ないのですね。
立体画像を下から覗いたらパンツが見える…というわけではないですけれど、
３ＤＳの面白さというのは、そういう、さらに想像力をかきたてる面白さにあるのではないでしょうか。
個人的に岩田社長のお話、さらには宮本さんのお話をネットで観るにつけ、
プレイヤーの「想像力」を殺しにかかっている…という気がしてならないのです。
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2011-09-18
PSマガジンのこと（６） 終息
私が徳間を抜けてから、PSマガジンはその後ファミ通の相澤さんが編集長でした。
杉村さんはその後です。
相澤くんは、もともとPSマガジンの編集長の予定で動いていたのを、病気で私がやることになったので、戻ってきた中では人事が普通だったんですが、当時の流れの中では何もできず。申し訳ないです。
同様に杉村さんも申し訳ない。
もともとファミマガ以降「おかしなジャンル」は認めない…というか、解説できない意識があり、そのなかで例のゲームは、ジャンルとして微妙でしょう。それ以前でも同じようなトラブルはありましたが、メーカーが強硬手段に出るということはなかった気がします。
●さて、以下は個人感情です。
つまり、あのゲームは「ハイスピードドライビングRPG」と評価されなかったのが問題なのか、
ようは「つまらなかったのか」ということであって、ジャンル名なんて実はどうでもよく、面白ければ評価していたのでは…と思う。
ようするに「つまらない」ゲームであったのだ。
それだけのことなのではないだろうか。
僕らはもっと熱心に「面白い」と伝えなければいけない。
同時に「つまらない」ものに、思慮深く、しかし分かるように伝えなくてはならない。
だから情報誌としては、この件は「意味が分からない」だろう。
本当につまらないなら「グウ」の音も言わさないほど叩きのめすべきだ。
その自信がないなら、絶対に立場的にも負ける。悲しいけど、情報誌はそういう立場だから。
すこしだけ悲しいのは、開発の方の中に知り合いが多いこと。
杉村さんを信頼していた私が、改めて言う。
「つまらないゲームだったんだと思う。 「レーシングラグーン」は」
批判は、あえて、受け止めます。
ということで、PSマガジンの項目は、これまでで。
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PSマガジンのこと（５） SCEの変貌…というか、まぁ…
さて、今回の内容はあくまで「伝聞」です。
フィクションではないけど、ノンフィクションでもない。
個人的な逃げではあるけど、私はそういう立場でないのでご勘弁。
ＳＣＥの設立当初、売上を次回の商品の担保に回す…という金額の流れが許されていたのですが、
そのうちＳＣＥ自体が力を持つにつれ、結局はその本数しか製造（流通）できなくなった…のです。
つまり、会社の運用資金がＳＣＥに握られる状態。
その瞬間にデジキューブだったり、エニックスだったり、コナミだったりは脱出したわけなんですが、
苦しめられたメーカーさんも多かったと思います。（もちろん利益を享受した会社もあります）
そこで、切磋琢磨でなく、ＳＣＥさんのメディア斬りははじまりました。
個人的にやられたのは、決まっていた広告の引き上げ。
増刊号とかムックの企画、広告含みで決まっていた企画の広告が中止になりそうになりました。
（これは担当の方が阻止してくれた）
次に、企画の引き上げ。
「アーク２」の攻略本企画など、OKをいただいていた企画が反故にされたり、
企画書自体を観ていないことが多くなりました→結局、タクシー事件になります。
同様に「ハイパーPS」が、「ハイパーPS2」を同時に出そうとした際に、NGを出したのがＳＣＥと聞いております。
（まぁ、とりあえず「聞いております」にします）
私が徳間を辞めようと思ったのはそのあたりですかね。
PSからPS2に転換をしようとするあたりは、実はすごく、いろいろな人が苦しくなっていたのです。
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2011-08-20
PSマガジンのこと（４） たくさんの遊びとライバル
ちょっと更新が空いてしまいました、すみません。
PSマガジンは、年が明けてなんとか起動に乗り、その後、いろいろとメーカーさんと連動企画を行いました。
そのほかにも、読者ページやら、インタビューものやら、スタッフのやりたい企画を結構入れていきました。
ゲーム雑誌自体、PSの登場で結構変わった感じがあります。
インタビュー記事は、HyperPSの登場で、一般的になりましたし、
細かな読者ページは、電撃PSの登場で、雑誌の中心になりました。
ゲーム雑誌の文字が小さくなったのは電撃PSの影響が大きいですよね。
PSマガジンではNiftyでサークルを作ったり（電撃さんもやってましたが）、
投稿連動に力をいれる一方で、攻略記事の変革も行っていました。
「ネタバレ危険」マークを入れてみたり。
連載攻略を行ってみたり。
そんなことをやってました。
派手なところでは、表紙をできるだけオフシャルに作成。
「ときめきメモリアル」の３号連続表紙は、けっこう楽しんで作ったものです。
横幅で１メートルくらいある原画には、いわゆる主人公の「僕」がいるという、珍しいもの。
原画をFAXでいただいたときは、興奮したものです。
体験版CDとかも率先して作れたのも良い思い出でした。
メーカーさんも面白い人が多く、雑誌を作っていて楽しい時期でしたかね。
任天堂系、セガ系の雑誌もそのまま続いていましたので、
ソニー・マガジンズをはじめ、新しい編集長が久々に排出された時代でもありました。
母体のない「０」からの雑誌の立ちあげだった本ばかりで、
編集者同士がけっこう仲が良かったのも時代でありました。
中でも「ザプレ」の桑原編集長には公私ともども、「ハイパー」の岡村編集長には、徳間書店の退社後もお世話になり感謝しております。
３人で「本の雑誌」の「覆面編集者座談会」に出席し、そのギャラで帰りに呑んだりとかも思い出であります。
ＰＳは市場が一気に垂直状態に立ち上がったこともあり、雑誌がいきなり増えましたが、それまでの兄弟誌の流れを引き継いだ「ザプレ」、グラビアやインタビュー記事などビジュアルっぽい作りに特化した「ハイパー」、今に続く電撃イズムの基礎となった「電撃ＰＳ」、そして手作り体当たり的な「ＰＳマガジン」と、ふぁみこん雑誌初期のような色とりどりさがあり、企画も含めいろいろと活気づいた時代ですな。
本の部数としては、だいたいどこも横並びで20万部前後。拮抗した部数の中で、雑誌は月刊から月２回刊へ、そしてその先へと突入するに際し、徐々にほころびが出てくるのであります。
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2011-07-20
PSマガジンのこと（３） そして創刊
創刊号。作り出したときにいちばん困ったのはハードがないことでありました。
「んなバカな！」って言われるかもですが、編集はスタートしていながら、PlayStationのハードが手元になかったのです。
正確に言うと、SCEから貸し出しが始まってなかった。そういうことです。
でも、進捗発表会とかは開催されているのですよ。
で、その場で、こっそりとメーカーの方が、展示用のROMを終了時にくださる。
ところが板だけあって、走らせるハードがないのであります。
怒鳴りこんだ…わけではないですが、苦情を入れました。
「ソフトがあるのに、遊べないんですが」
ようやく紺色のデバッギングステーションが届き、使える状態になったのは〆切の１週間前。
正直、創刊号では、ゲームを実際に遊ぶ時間なんてありませんでした。
ほとんど取材記事ですね。
あと、PlayStationはソニマガさんの参入もあって、ビジュアル＆インタビューが多くなる…
そんな予想もしてました。少しずつ時代がそう向いていたのもありましたし。
でもPlayStationMagazineは、創刊号では「闘神伝」に向けてみたのであります。
それはなぜか。
ひねくれ者だったのです（笑）
あと、ほっといても売れる「リッジレーサー」に、焦点あてなくてもいいかな…と。
それに加えて、スタッフがそこまでレースゲームが上手じゃなかったんですね。
メディアとしては素人なんです。
素人なりの頑張りをしなくてはいけないし、
それなりのことをしなくちゃいけない。
その結果、２号、３号と重ねて、中身を変えていきました。
たかだか１０年選手の編集者が、入ったばかりのアルバイトを抱えながら作った雑誌。
それがPlayStationMagazineだったのであります。
中身を変えた３号目。
「スターブレード」の話を吉積さんにインタビューしている記事とかの号で、ようやくニュースページとか作りました。
ファミマガの誌面から、大きくシフトを変えて、台割も変えたり。
メーカー探訪とか「ネタバレ注意」のタグを攻略記事に付けたり、みんなで考えながら作っていきました。
でも、全員に言い聞かせていたのは
「僕らは、ゲームの絶対評価が出来るようなプロじゃない」ということであります。
あくまで書くことは「個人的な感想」。あげく文章のプロではない。
なので、全員に提示したのは「具体的に書く」ことでした。
ゲーム用語ではなく、一般用語として。
このあたりはゲームレビューページに顕著です。
例えば「ロードが遅い」「キャラクタが自分的には嫌い」「思考時間が長い」と書け。
でも「つまらない」「出来が悪い」「このキャラならもっと面白いゲームが」とか書くな。と。
不快感があったら、それを具体的に書く…ということですね。
で、自分で買う価値がないと思ったら、それは「×」だと。
なので当初のレビューには「◯」「×」の評価だけにさせてました。
「△」なんて、未熟な自分たちに、判断できるわけがないんですから。
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2011-07-19
PSマガジンのこと（２） 創刊に向けて
実は当初「PlayStationMagazine」は私が創刊するはずではありませんでした。
今はエンターブレインにいます、相沢さんが創刊編集長の予定でした。
事情がありまして、相沢さんが休職。
創刊の決定していた「PlayStationMagazine」を私が創刊。
その流れでファミマガのほうから外れることになったのであります。
ただ、当時の任天堂は「ファミ通」や小学館べったりでありまして、そのあたりはゲームメーカーの方々と同じ感想を持っていたかと思います。
なので任天堂を外れることにはあまり躊躇がありませんでした。
むしろ新しいメーカーさん、パソコンの時代に知っているメーカーさんなどの情報を仕入れながら嬉しかったのであります。
サードパーティーさんからも歓迎を受けました。
ナムコ、バンダイ、コナミ、カプコン。そしてファーストのＳＣＥ。
ＳＣＥは、山森さんが上とは仲良く、私は現場と仲良く。
玩具メーカーと同じで、音楽関係のゲームメーカーは、雑誌から冷遇されておりました。
関係なく記事を載せる雑誌って、ファミマガしかなかったんですね。
その変わらなさを貫くことが、ファミマガの使命でした。
だって「ジェリーボーイ」ってSCE（エピック・ソニー）ですし。
PSについてはハードの発表会、ゲームの進捗発表会などいろいろありましたが、
「PlayStation（仮称）発表会」で、「正式名称は「PlayStation」です！」と久夛良木さんが公開して、場内苦笑いは思い出です。
その場でいろいろなゲームが公開されたのですが、中でも注目を浴びたのは「闘神伝」。
他がドットスプライトのアーケード移植だった中で、オリジナルのポリゴンでした。
しかも当時にしては、技術が高い。メーカー名NGで雑誌社、けっこうどよめきました。
（セガの対抗になると思ったのもあります）
で、しばらくして、おもちゃショーで。コナミの女性広報の方に呼び止められます。
「山本さん、山本さん！ こないだの、あのゲームの横にたってた人が、タカラのブースにいたんですよ！」
女性をなめちゃいけないです。仕事を男のものだと思っていると、大間違い。
で、タカラのブースに行きまして、今も現役の広報の方を捕まえて。
「この間の、あれ。タカラさんですね」
と、一言。
「！！！ いやいやいや、山本さん！ ちょっと、こちらへ」
ということで「PlayStationMagazine」は「闘神伝」の材料を創刊前に手に入れたのであります。
まぁ、創刊号の表紙をアレにして、社内からはさんざん叱られましたがね。
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2011-07-15
PlayStationマガジンのこと（１） 〜 「ゲーセン天国」
さて、無事に「超実録裏話ファミマガ」発売になりました。
実は私は目立ちたがりでないので、自分の名前が全面に出る本というのは初めてだったりします。
で、今回は「ファミマガ」のお話はちょっと本に譲りながら…「PlayStation Magazine」のお話。
「PlayStation Magazine」については創刊編集長は私だったりします。
創刊の準備はかなり前から始めており、ファミマガに付録で入れました「PlayStation 新聞」などから準備はスタートしております。
当時、PSの評判を聞いて、必要と思われたのが「業務用からの移植」対応でした。
なので業務用の資料と、その素材を使えるようにと作られた雑誌が「ゲーセン天国」です。
「ゲーセン天国」という誌名は私とゲームフリークの方たちが決めたもので、当時まだ歌舞伎町にあった、有名なゲームコーナーのイメージも入っています。この時期「スーパーファミコンマガジン」もそうなんですが、あえて「攻略をしない」路線を取ったゲーム雑誌でした。この雑誌については田尻さんと話しあって「ゲーセン用の取説」になる本を作ろう…と、舵をとっています。
私とか田尻さんが高校生位の時期に「AMLife」という雑誌がありまして、まさに最もはじめの「TVゲーム雑誌」だったかと思います。
ただ「地方小出版流通センター」での販売でしたので、買える書店は限られていました。
「あの時代のカタログ雑誌を作りたいねー」「誰でも読めるゲーセン雑誌にしたいねー」というのが共有観念でした。
同時にゲーセンが若干の硬直を始めていた頃で、その当時まだ売れっ子であったカプコンから「ストII」の新バージョンを公開前に紹介して欲しいというお願いもあり、第１号が発刊されたのであります。
いわゆるAMショー、AOUショー。あるいはロケハンは、ゲームマニアが押しかけ、肝心のマーケティングに役に立たなくなっていました。
また、格闘ゲームのコマンドは、マニュアルレスというわけにいかず、一般の人を遠ざけるようになってしまっていました。
そこへ「ゲーセン天国」で提案したのが「ショーを事前に楽しめるカタログを出しましょう」という話だったのです。
業務用のショーは、当日まで公開タイトルは門外不出。事前告知なんてとんでもない！だったんですが、このあたり「ファミマガ」で行って来たイベントカタログの力が発揮され、いろいろなメーカーさんにご協力いただきました。
さらに「ゲーセン天国」では、キャッチャー景品やメダルものなどもできるだけページを割いて紹介を行いました。このあたり「ファミマガ」の路線であります。
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2011-07-13
「超実録昔話 ファミマガ」完成しました
twitterのほうではすでに配布しておりますが、「超実録昔話 ファミマガ」完成いたしました。
明日１４日頃から店頭に並びはじめますが、残念ながら部数が少ないので、見当たらない場合は書店などで注文頂くか、ネット書店などでお買い求めをお願いいたします。
- 作者: 山本直人
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2011/07/14
- メディア: 単行本（ソフトカバー）
- クリック: 23回
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※アフィリエイトになっています。収入は東日本大震災の義援金として使用させていただきます。
中身を見たいという方のために、立ち読み版を用意いたしました。 → こちら
容量が大きいですが、タブレット、スマホ用のファイルも用意いたしました。
電子書籍化も検討中ですが、いまのところまだ未定です。
立ち読み版を読まれた感想など、コメント欄に書いてもらえると嬉しいです。
また紹介用の画像が欲しいなどありましたら → sarnin777@gmail.com までお問い合わせください。
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twitterのほうも復活いたしました。 @_sarnin で登録しています。
以前よりつぶやきが少なくなっていますが、よろしくおねがいいたします。
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2011-07-01
学生時代編�◆ー蟶遒蠅離瓮妊�アたち
「ファミマガ」の色が濃いために、よく「ゲームの好きな人」と勘違いされますが、私は「メディアが好きな人」であります。
で、元来、怠け者ですので、自分が作るよりは楽しみたい立場でいたい。そんな人です。
でも、作ることには興味があって、それ以上に「作る仕組み」に興味があったりします。裏方主義ですね。
なので、子供の頃から「作る人」「作り方」のことを調べたり、道具に興味がありました。
小学生時代、手元で出来たことは「紙を綴じる」こと。
ただの落書きの紙を、ホッチキスで綴じただけで本のようになります。
「本のようなモノ」が出来たら、それを「本」にしたくなります。
「本」はどんな作りになっているのか、どんなカタマリなのか。
表紙を作り、目次を作り、さらには背表紙を作り。だんだんの「本のようなモノ」が「本」に変わっていきます。
その「本」を細かく分解したとき、気になったのは「文字のカタチ」。いろいろな書体。
レタリングというものを知り、ゴシック体、明朝体の基本を知ります。
高知の中でも人口が３万人弱の土地で育った小学校時代。
基本は周囲のモノマネでありますが、そうして「本」のカタチを楽しんでいったのであります。
中学時代は「放送」。テレビやラジオですね。
私の中学時代はちょうど第一次声優ブームで、深夜放送がブームになったあと「宇宙戦艦ヤマト」に端を発する松本零士さんの作品がテレビを席巻。故・富山敬さんをはじめ、声優さんがアイドル的に初めてクローズアップされた頃でした。
同時にオーディオブームで「エアチェック」とかの言葉が一般的になった時代。音楽を録音して楽しむ。そしてその組み合わせを楽しむ。
途中、ＤＪや声優さんの真似事をしてナレーションや曲紹介を入れる。
好きな漫画やアニメの吹き替えをして、ラジオドラマ（今だとドラマＣＤですね）もどきを作ったり。
ダビング、ミキシング、マイク、エコー…。そういった機材がちょっとだけ身近になり、手に入るようになった時代。
即席の録音スタジオ。レコードプレイヤーを２台回しながら、テープレコーダーで効果音を鳴らし、声色を変えながら録音する。
みんなで集まって、ＤＪゴッコをして、録音したテープを交換する。
そんなことをやっておりました。
その頃、海岸沿いにあった古い校舎の中学校が、文部省のモデル校舎に移転。いきなりの近代設備に。
流行りのＬＬ教室に加え、テレビスタジオが出来たのです。
テレビスタジオはカラーのカメラが２台。調整卓やテロップ用のカメラ＆台。１インチのビデオと、ハンディカメラのセット。そしてそれが全校に放送できるという、１９７８年あたりとしてはありえない豪華さでした。
しかし、実際にそれを使うかどうかは学校の問題。なんとなく使って、なんとなく寂れる。そんな学校が多い中、なぜか私の中学には革命的な先生が赴任してきたのであります。
理科の先生で、当時ですでに50歳を超えていらっしゃいました。でもなぜか、自前でビデオカメラとデッキを持ってらっしゃるほどのビデオカメラマニア（当時はまだ家庭用のビデオがありません。なのでオープンリールのデッキです）。学校の施設を見て、使わないのは勿体無いと、テレビスタジオを使うクラブ活動を立ちあげたのであります。
当然、そこに入部したのですが、活動がまた活発。週イチで校内用にTV番組を作成し、放送しておりました。
あり物の教材ビデオを流すのではなく、
・体育系クラブの県大会などの予選を取材し、放送
・各クラブのプロモーションビデオを作成し、部員勧誘用として放送
など。
挙げ句の果てに、生徒会選挙の政見放送までテレビで行ったり。
理科の先生でしたので、深夜２時過ぎまで、学校の屋上で「月食」のコマ撮りをして番組を作成したりもしておりました。
私はというと、本と同様に、
「番組の作り方」ってどうやるのだろう、テロップの入れ方って？ みたいなことを調べ、
クロマキーやワイプ、インサート、カットイン・アウトなどの用語と効果、キューシートなど台本とタイムチャートの作り方とかを学んでおりました。おかしな子供です。
レタリングの興味はそのままテレビテロップに活かされ、テレビを見ていてもタイトルロゴなどに興味を持つようになります。
タイムチャートは時間の区切りや、タイミングの取り方を学ぶ元になりました。
当時録音したラジオドラマが、まだ１本だけ手元にあり、あいぽんに入っています。
高校生になると、そのメディアを「発信」する作業に行動が変わっていきます。
「印刷」をすること。それを「販売」すること。そしてそれを作ってくれる人の工程と苦労。
版下、製版、印刷、製本。それ以前の写植、デザイン作業、それを行うための道具。日程。いろいろなものを調べていきました。
そしてそれを発注すること。値段。お金の問題。知ることのできるものはたくさんありました。
さまざまなマネゴトをして、手作りでメディアを組み立てる。
「ごっこ」で知ることの出来るたくさんのことが、多分、今の自分の財産になっているのであります。（も少し、続きます。いったん休憩…）
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2011-06-27
【さあにんの回顧録】学生時代編� ‘運融錣鮑遒辰討い燭海�
さて「超実録 裏話 ファミマガ」７月１５日ころの発売に向け、着々と、遅れながらも執筆中です。
で、発売までしばらくの間、私の子供のころからの回顧録などつづってみたいと思います。
ちょっとかわった変遷を送っておりますが、しばしお付き合いください。
もうすでに人生的には末期に入っております私でありますが、仕事や好きなものに対する変遷は、物心ついた３歳のころから始まっておりました。まさに「三つ子の魂百まで」。今から４４年前。まだ３歳の頃ですね。私は毎日もらえるお小遣いを握りしめ、自宅から５軒先のお店に毎日通っておりました。
そのお店は、貸本屋。貸本屋で毎日、昼に２冊、夜に２冊、コミックスを借りては布団の中で読みふけっておりました。
当時はまだジャンプが創刊してなく、雑誌ブランドのコミックスもほとんどなく、いわゆる単行本専門の出版社ですな。曙出版、虫コミックスなどのコミックス。描き下ろし単行本などがまだ残っている時代でした。
その貸本屋の本を読み尽くす勢いで読んでいた私が目指していたものは、当然、漫画家…と言いたいのですが、子供のころからメディアに興味津津で、ＮＨＫのニュースを熱心に観る。教育テレビに釘付け。ＣＭクレジットに興味がある。新聞のＴＶ欄が好き。という人でした。あと科学や数字に興味が尽きず、親に全２４巻の医学図鑑を買ってもらったり、家庭の医学を読破したり…という幼児〜小学生生活を過ごします。
マンガへの興味がより高まったのは、小学３年生の夏（だと思う）。自宅に転がっていた「週刊マーガレット」を読んだのがきっかけであります。
私のハートをギュッとつかんだのは、山本鈴美香先生の読み切り「１００人目は誰だ!?」。ラブコメで、お見合い好きのおばさんと、高校生の男女…かな、が主人公の話。９９組目までお見合いに成功し…と、あとはタイトルから想像できる話なんですが、これで少女漫画にハマり、以下「少女フレンド」「少女コミック」「マーガレット」「りぼん」「なかよし」と、全冊購読するようになりました。
そして私の目標は「漫画家になる」ことに。しかしながら私、絵についてはダメダメで、背景なんか根気なくて描けません。
それでも小学５年生ころから、自分の描いたものを綴じて、友人に読ませたり。
小６では友人のものも含めて目次や表紙もつけて綴じる…という、同人誌もどきを始めておりました。
でも、マンガはぜんぜん上手にならない。むしろ周囲の人のほうにうまいひとがたくさんいる。水沢めぐみ先生とか私と同じ年齢くらいのはずなんですが、中学生デビューでうらやましかったりしたものです。
特に悩んだり…というわけではなかったんですが、もやもやをちょっと感じていたときに出会ったもの。それがちょうど全国誌になった「だっくす」（現：「ぱふ」）だったのであります。
「描くことだけが表現じゃないんだ！」
情報誌（専門誌）というスタイルに衝撃を受けた私は、そこからマンガの同人誌ではなく、情報誌を作ることを目指すようになります。
自分で作るのには才能もないし、一生がんばっても数作品しか人に見せられないかもしれない。けれど情報誌なら、もっとたくさんの作品を人に送り出せるのであります。
こうして中３あたりから、まんがのことをまとめた同人誌を小型のガリ版で作り始めます（Ｂ６サイズ）。
その後、湿式コピー（ブルーコピー）でＡ５サイズに。（この時代、まだ懲りずに自分でマンガも描いてます）
高２からは軽オフセットへと移行します。
「murmur」という名称で発行してました同人誌は、当時高知市内の５書店に納品して、ちょっとだけ一般販売もしておりました。
「ぱふ」と同じ作家特集形式で、高知の同人誌特集や、１冊まるごとの三原順特集を作って初コミケ参加したこともあります。
当時は京都の「はんぷてぃだんぷてぃ」さんと情報交換したりとか、活発にやっておりました。
さて、当時並行してやっていたのが「ＴＶゲーム」と「パソコン」であります。
書きました通り、数字、科学、ＴＶが大好きですんで、コンピュータも当然大好き。
「ＰＯＮＧ」の登場からずっと、ＴＶゲームはデパートやショッピングセンターで遊んでおりました。メーカー名を調べたり「ＡＭ通信」という専門誌を購入したりしておりました。
パソコンはＣＢＭ３０３２（コモドール）を購入。自宅でＢＡＳＩＣでプログラムを組んだりしておりましたが、その後ＰＣ６００１系、ＭＺ系などあらゆるパソコンを購入し、ＰＣ６００１でアドベンチャーゲーム「ＷＯＮＤＥＲ ＨＯＵＳＥ」を作ります。で、このソフト、実際に発売してしまいました。
友人がＭＺ７００にこれを移植してくれ、同時にその友人の作った「Building Hopper」を売り出します。このソフトはＳＨＡＲＰに高く評価されまして、当時のＭＺ７００の広告画像に使用されたりしております。
一方の「ＷＯＮＤＥＲ ＨＯＵＳＥ」は山下章さんに「ベーマガ」で「狂悪なソフト」とまで言わしめたＡＤＶで、地元の知り合いの人が「ロリータ」（ＰＳＫ）など発売しておりました。
同人誌を作成していた流れで私は、東京に上京。「ぱふ」にお手伝いで入ります。
すでに級数表が使える、妙な１８歳でしたが、この「ぱふ」の作成とパソコンゲームの販売が、２０歳前後の時代の私の生計だったのでありました。
※「はんぷてぃだんぷてぃ」全少女まんが雑誌の掲載コミックリストと寸評をまとめたリスト型の情報誌。コミケットでもおなじみだった、イワえもんこと岩田さんが参加していらっしゃいました。岩田さんとは、同人誌→ぱふ を通じて２０年くらいのお付き合いでした。
※ＰＳＫ パソコンショップ高知。「ロリータ」の武市さん、「ギャラック」の前川くんなどのソフトを発売していました。
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2011-06-22
【お知らせ】このコラムを題材にした本を出します
Twitterのほうではつぶやいておりましたが、このブログを題材にした本を発売いたします。
「超実録！ ファミマガ」
中身はこちらと全く同じでなく、部分的に同じという感じ。
ブログで書いておりますことは個人的な部分や感傷もふくんでおりますが、本のほうはファミマガの編集裏話に徹して書いております。
本のほうには当時のファミマガの記事ページ再録が盛りだくさん。
ディスくんの再録なんかも予定しております。あと、初回から２年分程度になるかと思いますが、ウソ技記事も特別掲載。
amazonにはまだ商品紹介が出ていませんが、楽天などで予約可能になっております。
[rakuten:book:14698751:detail]
※こちらアフィリエイトになっております。アフィリエイト収入はもれなく私のフトコロ…ではなく、東日本大震災の義援金として送りますのでよろしくお願いします。
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2011-06-10
【業界話】業界を去ったきっかけ
さて、ゲーム雑誌に入ったきっかけを書きましたんで、ここで「抜けた」きっかけも書こうかと思います。
しばらく更新が怠っておりまして、すみません。
もともと、TIM（徳間書店インターメディア）の仕事に危機感を感じていたのは、スーパーファミコンの後期でありました。
誤解しないでいただきたいのは、これは「会社に不満」ではなく、単純に、ゲーム雑誌の将来に不安を感じたからであります。
スーパーファミコンに時代が移行し、編集長としていろいろな企画などを立ちあげていたファミマガでありましたが、自分の中で危機感がありました。ひとつは週刊に移行した「ファミ通」の台頭。そして「独占」という言葉の乱発。その気持ちを裏付けていたのが、いわゆるゲームの広報資料でした。
ゲームの広報資料には、宣伝スケジュールなどが記載されるんですが、そこに雑誌について「ファミマガ、ファミ通などで記事・広告を展開」というのが「ファミ通・ファミマガなどで記事・広告を展開」というふうに変わってきたんですね。自分では、そこが業界意識の変化と思っていました。
人の意識は簡単なもので、例えば、「有名なRPG！」って名を挙げていただくと「ドラクエ」「ＦＦ」とほとんどの人が言うと思うんですよね。その順番で実は１番、２番が決まってる。そして３番目以降は、バラバラになるんです。
ファミマガを作っていた時代「各ジャンルのヒットゲームの席は２つしかない」というのは私の持論でした。
数の原始的な理論で「ひとつ、ふたつ、たくさん」なんですよ。３つめの席はない。指定席は２つだけであります。
で、まぁ、ファミマガが２つめの席に後退すると同時に「独占」という風が吹き荒れました。
決定打は「電撃PlayStation」の存在であります。
「PlayStation Magazine」は、全員素人のアルバイトという状態で始めた雑誌でしたが、それでもなんとか頑張っていけました。
けれど、PSの情報は「ファミ通」「電撃PS」という流れになります。ここで指定席を失った雑誌は凋落傾向になります。
でも、そこにあったのは「独占」という交渉の嵐。攻略本まで含めてです。
枠に入らない良作ゲームは、どんどんと取りこぼされていきます。
それでも、他の３誌は企画など立てて、頑張っておりました。私もいろいろと企画を立てて、差別化を図っていました。
ポポロ、アークザラッド、ときメモなど、初期のPSの意欲作には力を割いたつもりです。
で、まぁ、特集企画や攻略本の企画をSCEに出すのですが、それがだんだんと通らなくなる。
けれど「ファミ通」「電撃」さらには「Vジャンプ」などには同じ企画がどんどん掲載される。
企画に対しての返信も疎かになったころ、SCEから会食の話が来ました。
会食のお相手は、現場の担当でしたKさんとHさん。上層部はバタバタしていてという話でしたので、そこは気にせず。
で、SCEの前からみんなで車で移動…というときに、横の車にいらっしゃったのは「おこちゃま」コメントで名の知れた方と、某雑誌の編集長でありました。
この瞬間に、まぁ「終わったな」と思ったのであります。
自分がでなく、ゲームの広報って、ここまでビジネスだけになるのだな…と。
以前いました「ぱふ」であったり、例えば映画の雑誌であったり、他の趣味雑誌であったり。個人エンターテインメントの世界は、あくまで数千との戦いです。今でもほとんどのゲームはそこで戦っているのではないでしょうか。
けれどゲームが絶対として目指したのは、独占だし、１００万の世界だったのか…と、ガックリ来たわけですね。
私はその分野は得意ではないので、正直、ここは自分が身を置く世界ではないと思いました。
その後、フリーになって、いろいろな出版社とゲームとのコーディネイトを目指すんですが、そこは「儲かる」＋「はず」という仮定の意識を持った方々とうまくいかず、終了してしまいました。
かくして私は、いわゆる「ゲーム雑誌」を去り、「情報」について考える日々が続いているのであります。
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2011-05-28
【業界話】 ゲーム雑誌に入ったきっかけ。そしてギャランティ。
ちょっと話題を変えて、ギャランティのお話。これは他には転載できないかな。
少しずつ、進行形ではてダを更新しておりますが、実はこの頃の私、まだ社員雇用ではありません。
徳間書店にはアルバイトで入りまして、それが84年のこと。
当初は時給で、800円台だったかと思います。
『ぱふ』は当時まだ、ミニコミ誌の流れに近く、いただいてましたのが月に４万５０００円。
20歳の頃、両親が離婚しまして、実家からの仕送りも途絶え、東京で稼ぎを増やすべく、２つめのアルバイトで申し込んだのが以前投稿プログラムが採用されたことのあるアスキーの『LoGiN』でした。
ただ、当時のパソコン雑誌はアルバイト募集は多かったんですが、基本「大学生」が前提だったんですね。
私は書類で落ちたようで、連絡も来なかったんで、同様にアルバイト情報誌に掲載されていた「テクノポリス」に応募したのであります。
いわゆる好きなものの本は、全部を網羅して読んでいましたので「テクノポリス」も創刊号から読んでましたし、当時の編集長のかたが『ぱふ』をご存知だったこともあり、アルバイトに合格。面接の翌日から出勤となりました。
おかげでなんとか毎月の生活も安定。当時はお酒も飲まない、遊びにも行かないという、今から想像もつかない男の子でしたので、普通に暮らすことができるようになりました。
時給はおかげさまでその後少しずつ上昇。ファミマガの創刊当時は９００円台になっておりました。
８６年になる前、委託契約の話を持ちかけられ、毎月３０万弱くらいの話だったんですが、思うことあり、お断りを。
逆にデスクとしての監修として、ページ換算の原稿料払いになったのであります。たしかページ１万円くらいでした。
ところが、ファミマガが４月から月２回刊になってしまったんですな。
担当ページ数は倍…まではいかなくても、１．５倍とかに増えてしまったのです。
「マリオ２」の攻略特集号なんか、全部で８０ページとか担当してましたんで、原稿料がとんでもないことに。
結局、８６年の年収は７００万を超えてました。（註：税金など払う前の収入です）
ファミマガの編集部は８７年に徳間書店インターメディアとなって独立し、私も正社員になるんですが、そこで「前年度の年収を保証」ということになり、私の年収は２３歳の若造にしてはとんでもないことになってしまったのでありました。
ちなみにその頃のゲーム雑誌では、原稿料の高かったのはアスキーと徳間書店、続いて角川、JICCという感じ。まぁこれは、編集部からライターに直接依頼というのと、編プロさんが絡んでいるのとの違いもありますがね。ファミマガは２万円弱という感じでした。
９７年に私はフリーになるんですが、当時はPC雑誌系のゲーム誌に比べ、一般誌系のゲーム雑誌は原稿料が1.5倍くらいありました。他の本でもそうですが、専門雑誌の出版社は、概して原稿料は低めですかね。バブル時期のタウン系情報誌は取材費込みで１Ｐあたり５万円とかありましたし。私もフリーになった当時に総合誌だった「週刊アスキー」に連載をしましたが、原稿料はページ４万円とかでした。
２０００年前後くらいは多分、ライター稼業で割とご飯が食べていくことは楽だったんですが、今の原稿料は、ゲーム雑誌はだいたい１万円前後。経費は出ないことが多いですから、まぁ、なかなか食ってはいけませんね。
私の年収も、ファミマガにいた当時から比べますと今は６分の１くらいであります。でもまぁ新潮社にいた時はそれでも込み込みで５００万くらいいただいていたので、まだ仕事には恵まれている方だと思います。
なかなか仕事の量もふくめ、フリーで生きていくには厳しい時代ですが、それでもなんとか、じんわりと仕事していこうかと思います。
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2011-05-25
【１９８６年】 いわゆる、Ｗ９事件
年が明け、ファミマガは４月の月２回刊に向け準備を始める中「ファミコン必勝本」を発端とする裏ワザなどを揺るがす事件が勃発いたします。
いわゆる、けっこう皆さんご存知の
「スーパーマリオ Ｗ９」
の話。
ここからW256の話までの知っている限りの情報を、ここで明かしてしまおうと思います。
ただし、これは私の中でも伝聞の事柄もありますので、すべてが正しい…というわけではありません。ご了承を。
Ｗ９の話は突然降ってわいてきたわけですが、実はその頃、ファミマガでも必勝本を作っていらっしゃる編プロさんからの売り込みがありました。
その際、担当になった方の話によれば、Ｗ９はＲＡＭをいじって作成した物であるということ。
操作できる基板を作ることによって、ＲＡＭを書き換え、それが再現できる…というのは、パソコンを知っている輩からは当然で、当時のAPPLEIIなどファミコンと同様のCPUのもの、さらにはゲームフリークの田尻さんがパソコンでファミコンの開発マシンをみんなで自作したように、知識が深ければできなくはないことだったのであります。
ファミマガとしてはＷ９を否定するというより、ＲＡＭの書き換えによる現象ということで公表しました。
これは通常では再現できない事として公表したんですが、後日「テニス」の強制イジェクトでＲＡＭ上にデータを残し、コンティニュー（ＲＡＭ上のデータを参照し、その面からスタート）することで出来るということが公表され、絶対できないという訳ではないと確認されました。
とは言え「スーパーマリオ」単品で行うことは不可能なんですが、Ｗ９を確認した際、宮本さんは「スーパーマリオ２」で、Ｗ９を現実に裏面として入れるという技に出ました。
また、Ｗ９で登場する「ゲッソー」が踏める。しかも１０００点。ということについては、宮本さんに聞いたところ、もともと橋のステージとかで登場する予定があったので、プログラムとして入っていたとのこと。登場パターンとして無くなってしまったのですが、それはＷ９で復活することとなり、ゲッソーを踏むことができたんだそうです。
さてこのＷ９事件、これだけに終わらず、まだまだ先へと続いていくことになるのです。
宮本さんが逆襲…というか、面白がって「スーパーマリオ２」に入れ込んだのがＷ９。
これ、発売と同時に存在は解禁になっていたのですが、その出し方を知っている人は実は少なかったりしました。
私は発売前から知っていたんですが、これ「ゼルダの伝説」の流れもあって、宮本さんに事前に聞いておりました。
なので当時のファミマガの攻略を見ると、条件は書いてないんですが（発売直後、条件記載はNG）「ピーチは１人、キノピオは７人」みたいな、全員救出を匂わせるテキストを書いております。ワープせず、すべてのワールドをクリアするとＷ９が出るという、そういう隠し面でした。
んで、このＷ９の出し方が公開できる時期がやってきたんですが、そこで１本の電話。
当時「ファミ通」で禁断の秘技！の担当だったガスコン金矢さんからでした。
ガスコンさんは元々漫画家さんで、すがやみつる先生のアシスタントだったかたであります。←これ、私の思い込みの勘違いでした。ガスコンさんご本人から連絡いただきました。すみません。
MSX Magazineとかの編集をされていらっしゃって、いわゆるパソコン通信の黎明期からネットに参加していらっしゃって、個人的に仲良くさせていただいていました。
で、その電話の内容。
「Ｗ９の出し方が、どうしても分からないんだよ〜（泣）」
そこで私、当然！！！
教えてあげました（笑）。
ちょっと山森さんから怒られましたが、まぁ、そんなふうな時代だったのであります。
で、このＷ９騒動、これだけでは終了せず、その後Ｗ２５５の話へと発展します。
DISK版でのW −１、−２、−３は本当にあったものなのですが、W255は前述の方法で、RAMを書き換えて撮影したもの。
当然、再現ができる多義食いのものではありません。
そのころ掲載したファミマガの記事が、こちら。
今ならこういうのがRAMの書き換えで起こるのは、ゲーム好きな人なら常識でしょうし、コラムを書かせていただいております「コードフリークAR」さんの母体になります「コードフリーク」を使えば、再現することも可能でしょう。
でもまぁ、この頃は、まだまだそういう事が知られていない時代。
ファミマガではこう行った記事を書いて、内情を紹介したのであります。
しかし、ここでイチバンのネタは、説明の途中にいます「三本の腕で描かれているリンク」。
実はコレ、当時発売された「ゼルダの伝説」の攻略本のうち、曙出版刊行のものに登場していたリンクのカットがモチーフになっております。
この攻略本、説明カットのリンクがなぜか、右腕がすべて三本の腕の動きで描かれており、ちょっと話題になったモノ。
で、ここに掲載しているカットはオマージュでもパロディでもなく、そのイラストを描かれていたご本人が描かれたものです。
もともとイラストレーターの方は「テクノポリス」「ファミマガ」でお仕事をされていた方なんですが、実は、委託編集・デスクとして勤務なさっていた方のお兄さん。この記事は、ご兄弟でまとめられた、知っている人が読むと、ちょっと頬が緩むシロモノなんですな。
なのでカットのキャプション（説明文）には、しつこいくらいに「曙出版」って出てきます。
曙出版というと、個人的には赤塚不二夫さんのコミックスを思い出してしまいますがね…。
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2011-05-13
【お知らせ】
プロフィールに連絡先を追加しました。
twitterなど、基本、素性は明かしておりますが、なにかご連絡ありましたら、直接お願いいたします。
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【DISK２５周年記念】 ぐわぁんばれ◯◯◯◯ 第１回
ＤＩＳＫ２５周年ということで、ちょっと懐かしいデータを。
これがファミマガ連載の第１回であります。
マンガに出てくる書き換え機ですが、実際に店頭に置いてあった違法書き換え機の形状と同じ物。
きいろのディスクの最初は、書き換え機から産まれてきたのです
マニュアルやシールなど「夢工場ドキドキパニック」になっているのは、まんがをお願いしてました嵩瀬さんが、そのゲームのマニュアルカットを描かれたからです。当時、嵩瀬さんは『小学１・２年生』でマリオのまんがを描かれていまして、ワークハウスさんからのご紹介でお仕事をお願いしました。
私自身も児童誌は大好きで、これをきっかけに嵩瀬さんとは長いお付き合いしていくことになるのです。
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【２５周年に寄せて】DISK版・ゼルダの伝説との出会い
年を明けて１９８６年になるかならない頃、私は上司であります山森さんと一緒に任天堂に向かっておりました。
御用はなにかと申しますと、DISKシステム用のソフトに付けます、マニュアルの作成の打ち合わせであります。
当時としては大容量の１メガビットのDISK（実際はもちょっと少ないです）。
そこに「広いマップ」「謎解き」などが前提に作成されたソフトを作成ということで「解説書は必須」と感じた任天堂から、お仕事の依頼があったわけであります。当時はまだ「ファミマガ」しかゲーム雑誌がないですし、流れとしては徳間書店に依頼が来るのは選択肢としては自然な流れ。たまに尋ねられるのですが、特に癒着があったわけではありません。
で、すでに「ゼルダの伝説」「謎の村雨城」「メトロイド」「パルテナの鏡」という作品のラインナップが出来上がっておりまして、その開発途中のデモでプレゼンを受けながら、ゲームの説明を聞いてきたわけですな。
「ゼルダの伝説」は受けた説明では、フィールド画面が作成されたところでした。
企画当初はフィールドが存在せず、部屋が積み重なったダンジョンのゲームだったそうであります（企画書メモを見せていただきました）。
で、だんだんとゲームは完成に近づき、マニュアルを作成。
宮本さんにちょぼちょぼと叱られながら（ストーリー紹介のてをにはがなっとらん！と怒られたり）、一生懸命に仕上げていったのであります。
作成にあたっての紙資料は多くなく、内容については、こちらで章立てした形。
打ち合わせで当時はまだ任天堂にいらっしゃる前の小田部さんにもお会いいたしました。
そして私はファミマガの中で宮本さんの担当になり、このあとしばらく、多くの新作とお付き合いしていくことになるのです。
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2011-05-10
【ボツ原稿】ゼルダの伝説２５周年に寄せて。
『ニンテンドードリーム』の今月発売号に、ゼルダ２５周年ということで寄稿いたしました。
で、最初、意図が間違っていて、没になった原稿。
「ゼルダの伝説」と「スーパーマリオ」は、同じ宮本さんの作品として過去にお世話になった作品であります。
ただ、その大きな違いは「マリオ」がその場にある偶然でも遊べる作品に対して「ゼルダ」は自分で探さなくてはいけない作品なんです。マリオが冒険なら、ゼルダはサバイバル。謎を解きながら、その世界を生き抜いていかなくちゃいけない、サバイバルの世界だと思ってます。
同じアイテムを別の角度で使うことにより切り開ける未来。それを探し出す試行錯誤。それは四則演算を組み合わせて、因数分解が出来た喜びみたいな感じなんですね。「マリオ」は実は狙われている偶然も存在している謎が多いのですが「ゼルダ」は、自分で考えなくてはいけない謎が多いのです。
「ゼルダ」は問題集のようなソフトだったんですね。楽しくて、よく出来ている。それはその後のソフトにも継っている気がします。「ピクミン」とか想い出すとわかると思います。
あと、DISKの「ゼルダ」は実はMAPに高低の差がある、ちゃんと生活空間としての島を意識していました。2Dなんだけど、3Dの空間だったんですね。さらには64の「時のオカリナ」「ムジュラの仮面」は時間軸というものを意識していました。みんな3Dゼルダと思っていたのだけど「4D」のゲームだったのですよ。関係ないキャラを追いかけると、きちんと日常の生活をしているという設定が隠れていたりしました。
もう25年も前からゲームの担当者として、そういった仕掛けに驚いたり悩ませられたりしながら「謎解きを楽しむ」というものを感じてきました。ただし「ゼルダ」は実はその謎のほとんどが「ノーヒント」に近いんですね。他のゲームに比べると。「マリオ」の？ブロックと対象的に実はプレイヤーを悩まさせ、解き明かす喜びを与えている。それが「ゼルダ」の真骨頂だと思うのです。
DISKゼルダの話を書いて欲しかったそうなのですが、ゼルダ全般の話をしちゃいました。
取説の話もそろそろ入ってまいりますが、なにはともあれ25周年。
記事が掲載されております『ニンテンドードリーム』は、毎月21日発売であります。
ちなみに実際の原稿の方には、DISKゼルダ発売当時の状況など書いておりますが、あとは某所のチェックで削られないのを祈るのみ…。まぁ最近はあまり理不尽なチェックがあるようだったら、発表しても問題ないことは、迷惑のかからない場所できちんと発言していこうと思っておりますが。
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【1986】ファミマガ・１月号 ウソ技登場
示されておりました。さて、明けまして新年号です。
この頃になると編集部には続々と新人アルバイトが投入、デスク担当も増えてきます。
一方で競合雑誌となります『ゲームボーイ』が創刊。他社も創刊に向け準備を始めており、いよいよ「ゲーム雑誌」時代が幕を開けようとしてるのであります。
目次を見れば、巻頭特集はTOKUMA SOFTの２本。「ロットロット」はプログラムポシェットで発表されたMSXの作品が元になったゲームで、アーケード版はアイレムから発売されておりました。「エグゼドエグゼス」はカプコンのアーケードですな。
当然ながら当時、徳間書店にゲームの開発部隊などいるわけはなく、実際の開発はアウトソーシングであります。「ロットロット」はシンプルながら、ボール一つ一つの管理が必要で、実は結構、高度なプログラム。開発はHAL研究所で、あの方も参加しておりました。で「エグゼドエグゼス」はカプコンの開発。当時「なんでカプコンが出さないんだ！」とか文句をパソコン通信で読んだりしておりましたが、実際にはそんなトコです。
他にもそうそうたるソフトが並んでいるわけなのですが、ちょっと意外なのは「ボンバーマン」。
パソコンで83年に発売されたものを移植したものなのですが、もう少し前の印象の方も多いのではないでしょうか。
ちなみにまだ当時は高橋名人がブームといういわけではなく（火は付き始めてましたが）、ハドソンに取材に行った私の応対をしていただいたのは、高橋名人ご本人でした。まぁ広報の仕事がメインの方ですから当然ですが。
ページも200頁を超え、部数も60万部を超え、というこの号のもうひとつの事件は
「ウソ技」の登場でありました。
今でも記憶に残る方の多い「フラッピー」のパスワードウソ技。
記事にはさらりとやり方が書かれてますが、実際に行うには結構難易度が高く、コントローラを操作する指に力が入る技でありました。
「コードフリークAR」さんの記事などでも触れてますが、当時はCGで画面加工をする…なんて技術はなく（X1などでできなくはなかったですが）この画面写真は実際にROM上で再現されたファミコンの本当の画面であります。つまり、そういう画面が出るROMを、デービーソフトさんにわざわざ作っていただいているんですね。
ウソ技の発端には諸説あるんですが（なんの諸説だ）、とりあえずは編集部近くの飲み屋さんで、スタッフで慰労会のような感じで飲んでいた中での会話が発端。まぁ、呑むことが編集会議だったりするのであります。
このウソ技、クイズになっており「１０１の技の中でウソはどれだ！」という企画なのですが。その正解ハガキの抽選がこちら。
デービーソフトさんの全面協力で実現した企画でありますが、実は徳間書店の「テクノポリス」は、以前にX1版「フラッピー」のパスワードを、それを送るって応募するというキャンペーン中に本誌に掲載してしまい、トラブったという経緯があったりいたします。それを逆手にとってというか、そういう流れも裏にあったりするのですな。なので記事にはこの時も行われていたキャンペーン用のパスワードは載っていません。ただし、実際の画面には、ちゃんと最後までパスワードが表示されておりました。
で、この技。困ったことに、後日、某雑誌（コロコロコミック）に掲載されてしまったのであります。
手前にも書いておりますが、ゲームライターなどいない時代。裏ワザなんて、検証する人なんていなかったんです。
でもまぁ、雑誌のそういういい加減さが分かったところではありました。
もちろんすべてを検証するのは無理なんですが、まぁ…ですよねぇ。
このウソ技の事件は実は私の中での認識は微妙だったんですが「え！？」と思ったのは別の件。
「スーパーゼビウスガンプの謎」の攻略記事、私がファミマガで書いたのですが、そこでステージパスワードに１ステージだけ誤植があったんですね。これは本になったときに「あ！」と気がついた、いわゆる誤植で、訂正も出したんですが、その誤植がそのまま「月刊少年ジャンプ」に載ったときは衝撃でありました。
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2011-04-29
【1985】 ファミマガ12月号 ディスクシステム〜そして新作へ
さて、いわゆる年末特需のクリスマス＆新年号がやってまいりました。
この時期は基本、12月号は銀、1月号は金と、特色が決まっております。
私の大好きな「はりはり仮面」でもそうでありました。
NEWシールNo.150「あけましておめでとうございます」の金色は、子供心にドキドキしたものであります。
さて、この12月号。かなり新作もメーカーも増えてきまして、来年に向けての新作を一挙大公開いたしました。
で、その記事のトップがディスクシステムだったのでありますが、写真はモノクロ。
新作「ゼルダの伝説」「謎の村雨城」の記述もあるんですが、詳細は微妙に異なっております。
当時、すでに任天堂と徳間書店の間で、マニュアルの制作話など始まっており、まぁ、ライバル誌とかもないですから、スクープというよりは、単純な流れの記事なのでありますが、そこはブームの仕掛り。十分なインパクトを与えたのは確かでありました。
これは伝え聞いた話なので、伝説程度にお聴きいただきたいのですが
「東京営業所に完全に伝達される前に、ファミマガにディスクシステムの記事が掲載された」
という話がありました。まぁ、リリースがモノクロ写真ですから、それもしかり。
しかも私もこの記事以降にマニュアルを作り始めるという時期ですから、外には殆ど出てない話。
記事を見ても発売が年末と記載されております（実際は翌年２月２１日発売）。
ちょっと懐かしいHORIさんの周辺機器とともに、記事をお楽しみください。
さて、この記事掲載後、私自身は任天堂にDISKソフトのマニュアル制作の打ち合わせに向かうことになります。当時、説明されたのが「ゼルダの伝説」「謎の村雨城」「メトロイド」の３作。私は「ゼルダの伝説」を担当することになり、DISKシステムのコーナー作りへの準備を始めていったのでありました。
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2011-04-23
【1985】 スーパーマリオ狂騒曲
ファミマガの編集部は11月号の編集以降、総出で「スーパーマリオブラザーズ」の攻略本の編集に入りました。
内容の管理のチーフは私ですが、いろんな場所の原稿をいろんな人が書いてます。
ステージが先の方は私が中心。手前のステージはデータ原稿を元に、ちょっと修正。
そんな感じで本の作成にかかります。
ここで出来上がった言葉が
「完全攻略本」。
実は世の中に「攻略」って言葉があまりここまで一般的ではないんですね。
「超」の実は同様で、オリンピックの「超ウルトラＣ」という言葉以降、使われる言葉ではありませんでした。
これ、何故かというと、結構、戦いや戦争の言葉なんであります。
「弩級」とか「超」って、いわゆる装備の大きさに使われる言葉っだったり（超弩級って、実は古い言葉なのであります）、「攻略」は相手の戦略を元にどう戦うかであったり。
それはさておき、そんな言葉を単行本の書名にして認知させたのは、ファミマガでありました。
「スーパーマリオブラザーズ完全攻略本」は、当初、13万部程度からのスタートだったんですが、発売前にすでに重版の決定が下りました。当時の徳間書店は、まだ、文芸の意識が強いこともあり、重版はいくつかの部数に分けて刷られることになりました。重版回数を増やして、ステータスを上げるわけです。あと、分納になるんで、そのあたりの回避要件でもあります。
本の発行日というのは、実際の発売日に対して40日程度の先送りが認められています。22日を過ぎると、翌々月の月号表記になる本はこのためで、月号表記が「古い」と感じるマイナスイメージを避けるため、返本をできるだけ早めないためということがあります（ですので通常返本締め切りは、発売日でなく、発行日の何日後で設定されます）。書籍の場合は出版社で締日を決めて対応するために決まったタイミングになっているはずです。
「スーパーマリオブラザーズ完全攻略本」は、この発売日と発行日の隙間を埋める形で重版日を重ねていきました。つまり発売日が１０月３０日で、発行日が１１月１５日だとすると、４０日後ということでまだ２４日分のスケジュールがあるので、重版を１１月１６、１７、１８、１９…と重ねたわけです。
さて、そうやっているうちに「スーパーマリオブラザーズ完全攻略本」は、その余裕の日付を超えてしまったわけです。毎日重版。毎日増刷。誰もが考えなかった、予想外のブームが、そこに発生していたのでありました。
その事象がいかに意外だったかは、データで見ることができます。
「スーパーマリオブラザーズ完全攻略本」は、８５年のベストセラーになったのは、結構知られているんですが、
http://www.80s.ne.jp/chrono/1985/book.html
実は86年もベストセラーだったんですね。
http://www.80s.ne.jp/chrono/1986/book.html
もちろん、これはこの時期、本が不調だった中にファミコンの本が出たという特殊事情ではあるんですが、とりあえずこの「2年連続ベストセラー1位」っていうのは、実はかなり珍しい記録なんであります。
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さて、この頃、年末の恒例番組として筑紫哲也さんが毎年のベストセラーを紹介する番組があったのですが、番組で攻略本は見事にスルーされておりました（笑）。
ファミマガではこの攻略本を皮切りに、
・パックランド 完全攻略本
・マッハライダー 完全攻略本
・ツインビー 完全攻略本
・スペランカー 完全攻略本
と、ラインナップを重ねていくのですが、この時期はまだ「攻略ライター」というお仕事が存在していない時期。
ゲーム関係の仕事をやられていた児童誌の編プロさんや、ぜんぜん関係ない編プロさんがアルバイトを使って、編集作業を行うという形に。
私は「スーパーマリオ」からそのまま「パックランド」の攻略本編集に移行し、作業を始めるのでありますが、ナムコに作業用のROMを受け取りに行って、渡されたROMが「パックマンがのっぺらぼう」のROMだったのが記憶に深いところです。
「コピーと流出防止に」ということだったんですが（どこかの問屋さんか何かに評価見本として渡したものがコピーされて世に出回るという事件がありました）、当然のことながらこれでは写真撮影も何も出来ない。上から交渉してもらって、ちゃんとしたROMを頂いて戻り、かなりのハードスケジュールで４日連続のお泊り作業。
夏からの疲労が溜まっていましたのか、
編集部で気を失い、近くの病院に救急車で運ばれるハメに…。
運ばれた病院があまりに近く、救急車より先に編集部の面々が到着していたとか、笑い話もありますが、一人暮らしの私はパンツやら差し入れをいただき、４日ほどの休養を取ったのであります。んで、発売日は遅れてしまいました。
この一件、その後「週刊漫画アクション」の欄外コラムに事件簿として掲載。「夜な夜な過労で倒れたスタッフが救急車で運ばれる」と書かれてしまったのであります。いや、倒れたのはひとりだけですから。
これが理由、というわけではないんですが、その後の攻略本は編プロさんが作成。
でもツインビーの攻略本では、うまく画撮が出来ない（２周目）というので、手伝いに駆り出されたり…。
まぁ、まだまだのんびりとした時代でありました。
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さて、その後「スーパーマリオブラザーズ 完全攻略本」は、100を超える刷を重ね、結果的に130万部程度まで売れ行きを伸ばしました。
「スーパーマリオブラザーズ」はその後アメリカで、NESに同梱されたものが登場するのですが、ここで「スーパーマリオブラザーズ完全攻略本」が英訳され、同梱されました。理由は「難しいから」。お国柄というか、「探しながら」というようなプレイスタイルがなかったらしいです。なので最初から攻略本付き。
自分の原稿が英訳されたのを見たのはちょっとした感動でした。
「最初の敵はクリボー」→「The First Enemy is Bamboo.」
てな感じ。
「スーパーマリオブラザーズ 完全攻略本」は、編集部内での制作だったので、時給以外のギャランティはありませんでした。つまり原稿料関係は「０」。また、当時は任天堂もライセンス料を取っておらず（！）こちらも「０」。なんとまったく費用の発生しない（制作費は必要でしたが）本だったんですな。それが売れに売れたのですから、まぁ…、ねぇ。
で、英語版は別途ギャランティが出ることになりました。
しばらくして、振込通知書が。額面は。。。。。
「\5,555」
でありました。
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2011-04-17
【1985】 ファミマガ 85年11月号／スーパーマリオとの出会い
無事10月号を発売し、編集部全体に雑誌が売れているという手応えと、この先も続いていくという流れが出来てきた中、10、11月号あたりから新しいスタッフ（アルバイト）が入りはじめます。
私のほうも「ウル技」をひとりでまとめるという担当を外れて、だんだんと増えてきた新作のゲーム記事の担当が主力になっていきます。
で、この11月号、なんといっても目立っておりますのは「スーパーマリオブラザーズ」。
オリジナルゲームですから前評判もないですし予備知識もありません。
このころはまだ事前にメーカーから情報が来るという流れもないですから、まったく初耳のゲームタイトルでありました。
そのころ昇格され、お子さんも産まれた宮本さんが「ノって作っている」という、そんな話だけ上司（山森さん）から聞き、東京の任天堂に取材に向かったのであります。（ちなみにそのころ、宮本さんと聞いてもだれのことかさっぱり…でした）
訪れたのは任天堂の会議室。そこに簡易の暗室を作って、ディスプレイを直接撮影できるようにします。
取材に訪れたのはまだ残暑の残る９月なので、まだけっこう暑い。
そんな中、任天堂の方に操作方法などを伺い、数時間の自由プレイによる取材タイム。
昔はそんな感じで、時間を取って自由にプレイさせていただき、その間に撮影できた写真でページを作る…という流れだったのであります。こう言った状態はしばらく続いていましたので、プレイする担当者が不器用たったりすると、写真の素材が足りなかったり、逆に上手すぎても基本の紹介用の写真が撮れてなかったりと、そういったバランス感覚と、時間内にいかにたくさんの写真を撮影するかがポイントでありました。
で、午後から数時間かけてWORLD６くらいまでの写真を撮影した私と記事の担当者。
プレイ中、だんだんとゲームの面白さにはまり込み
「このまま遊んでいたい…」 と思ったのであります。
編集部に帰って、感想を聞かれ、興奮気味に「面白いです！」を連呼。
記事ページをグッと増やし、巻頭の大特集に変更すると同時に、命題が下されたのであります。
「センターとじこみで全面攻略するか！」
いきなりの全面攻略ながらも、ノリノリの編集部。
しかし手元にはWORLD６までの写真しかありませんし、MAP用の素材なんて用意していません。
そこで山森さんが任天堂に電話。見事、ROMの借り出しに成功したのであります。
かくして、全３２面攻略への戦いが始まったのでありました。
正確な売上は不明ですが、かなりな好成績を収めていたファミマガ。
当然、書店、取次など周囲からは部数増が求められておりました。
でもまあ単純な部数増でなく、ちょっとはずみはつけたいところ。
そこでとじこみ付録での増ページ。とあいなったわけであります。
とはいえ、期間はわずか。
お願いしたイラストレーターさんは、創刊号からゲームのMAPをお願いしているかたで、某まんが家さんのアシスタント。全３２面のMAPを１週間程度で写真をつないだもの＋ビデオ（VHS）からカラーイラストに仕上げるというなかなのスケジュール。
こちらは下絵状態のものからデザインを…とはいえ、時間がないので、ご覧のように固定デザイン。２色刷りのページ（最近の雑誌ではあまり見なくなりましたが）での攻略であります。文章もワンブロックで、すべての攻略をつなげて書く形。たぶん私が書いたはず…。ちなみに各ステージ名の下にあるキノコのカットとかも自分で描いております。なんて家内制手工業…というより、この当時はそういうのがけっこう当たり前でありました。ＤＴＰもＣＧも、雑誌作業になんて使われていない時代。文字も写植で、写植屋さん（版下屋さん）が作っておりました。
ひとつのページを作る中に
・ライター
・デザイナー
・イラストレーター
・カメラマン
・写植屋さん
・版下屋さん
・編集者
・複版屋さん（イラストなどの複版を取り、製版材料を作る）
・製版屋さん
・印刷屋さん
（ちなみに、最近は〜屋さんっていうのはメディアでは言い換えるそうですな）
と実に多くの方が関わっていたものであります。
（電子書籍についてスピンアウト http://d.hatena.ne.jp/sarnin/20110420）
まぁそんななので、発注をスムーズにする、進行を早めるために、簡単なカットなんかは部内で起こすことも多々ありました。専任のイラストレーターがいるのも当たり前。それを仕事にしているプロダクションもあったものであります。
で、〆切を印刷所に延ばしてもらいながら、なんとか間に合った発売日。しかしそこで作業は終わらず、
「単行本もつくろう！」
ということに。
アスキー「ドルアーガの塔のすべてがわかる本」が、ベストセラーとなり注目される中、ここは流れに乗ってしまえと単行本の制作まで一挙に決定。MAPはこれを見越してのフルカラー。雑誌の原稿が終了した段階で、編集部はそのまま、単行本の編集作業へとなだれ込むのであります。
そしてこれが
「ゲーム攻略本」
という、しばらくは出版社・書店・印刷所のドル箱となる産業の始まりとなる、その瞬間であったのです。
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2011-04-13
【1985】ファミマガ 85年10月号／ギャラクシアン事件
さてさて、創刊３号になりました。
この頃になると、創刊号の売れ行きとか評判なんかもわかってきたりしてまして、プレゼントハガキの応募数にみんなでひっくり返っていた思い出が。売れ行きも好調で、そろそろ部数を増やそうなんて話が進行していた時期であります。
とはいえ、まだこの頃の私は一介のアルバイト。「ぱふ」の仕事から離れ、徳間の仕事に専念を始めた時期でありました。編集部も神保町を離れ、徳間書店本社のありました新橋にお引越しが決まった時期。この号は神保町で編集した最後の号であります。
本誌の内容はまだまだシンプル。
「５大新作ごっくん」と銘打つ中に「ジャイロセット」が入っているのがまた、懐かしさとご愛嬌であります。その上には「本将棋」とか。
この号には大きな思い出がありまして、84年９月のカセットの発売以来、都市伝説のように流れていた「ギャラクシアンの隠し音楽」のウル技をついに再現できたのでありました。
んで、その記事がこちら。
このウル技については、創刊号からかなり多くの投稿はがきが着ていたのですが、全く再現できなかったんですよねぇ。
・２コンのマイクに喋りながら
・２ゴンの上ボタンを押しながら
・２コンのボタンをすべて押して喋りながら（ボタン全部押せないって！）
と、いろんなバリエーションがありつつ、リセットボタンを押すとか、電源を入れるとか、枝葉末節に渡って、さまざまなバリエーションがあったわけですよ。
この技、これだけ投稿があるので「実際にあるのだろう」とかは思っていたのですが、今までどの雑誌にも公開されたことがなく、自分でも見たことがない。
まして「優勝技」なんて枷を自分ではめてしまったもんで、毎号大きい技を作らなくちゃいけないハメになってしまったのでありました。こうやって自分の出した企画に首を締められること、業界の方は多いんではないでしょうか。
で、相も変わらぬ徹夜作業でウル技の確認作業を進行していました（この号まではウル技担当は私１人）。
そこでいつもの「ギャラクシアン」のハガキが目に止まったわけであります。
ウル技についてはメーカー提供でない限り（それもほとんどないですが）資料なんかありませんから、ハガキを読んだ時のカンだけが頼りであります。メーカーの癖だったり、ハガキの枚数と内容の一致だったり。自分で知っているものもたまにあったりする（ゲーセン版のものをそのまま再現している場合もある）のですが、この「ギャラクシアン」については、微妙な一致と、はがきの枚数から「あるかも」という認識だけはあったのですな。
しかし、再現できない。
深夜のボケた頭で、疲れを感じておりました私は２コンを握ったまま、折りたたみの椅子にグッタリしつつリセットボタンを
連打。
連打。
連打。
と、そこで事は起きた。いきなり画面が切り替わって、噂のウル技画面が出現したのであります。
一度再現出来れば、話は早い。自分のやっていたことを再検証であります。
まず、徹夜して…でなく、２コンを握り締めていた状態を確認。
・マイクの音量はＯＦＦ
・十字ボタンは触っていない
なので残りはＡＢボタンのみ。んで、ＡＢボタンを押したまんま、リセットボタンを
連打。
連打。
連打ーーーーーーー再現できるよ、やったよママン！！
さらに連打すると音楽が変わることも発見。かくして、上の記事は無事に完成できたのであります。
発見してみれば実際のコトは簡単。
ファミコンのリセットボタンはメモリクリアをせずに、設定されたスタート番地にジャンプするだけの機能なんですが、そこにＡＢボタンを押していた場合の特殊条件をプログラムしていたんだと思うんですな。で、一定数カウントで、ウル技発動と。
今だと逆アセンブル（死語）されて一発でわかっちゃうんでしょうか、当時はまだそういう時代だったのであります。
なんにせよ創刊号からの謎が解明され、つかえていたものが取れてスッキリ。
いちばんウル技の内容が近かった人を採用者としてチョイスし、無事、優勝技となったのでありました。
しかし…。
この技はこれだけでは終わらなかったのであります。
発売後、しばらくして、血相を変えて飛び込んできた版権管理などの担当部署の方。そう
ナムコからクレーム
が入ったのであります。
当時、ナムコはサードパーティとしては他のハードも含め別格の会社。
ファミマガにも表２見開きの広告をいただいてました。
その会社から、著作権についてのクレームが来たのであります。
ここ、掘り下げとくと、当時のナムコは海賊版に限らず、パソコンのモノマネ作品、音源、キャラクターなどいろいろと動いておりまして、ビデオゲームというのものについての映像著作権を確保しようと頑張っていました。
もちろんそれが悪いわけではないんですが、例えば、私の友人が高知のパソコンショップで作ってました「ギャラック」というPC8801のソフトも（これ、似てはいるんですが、当然コピーではないです。むしろ誉められるべき良く出来たソフト）ナムコさんのほうから訴状が届いて、和解金を払ったと聞きました。
とは言え、このウル技の件はそれとは違うんですが、まぁ、「意図しない画面を勝手に出すのは！」というお叱りであります。
by the way
つまり、いかにウル技がガチンコだったか証明する事件でもあるんですが、ようは怒られて、下手すれば…ということだったんですね。
まだファミマガが業界に強くもないですし、雑誌としては新参者。頭を抱えながら…。
「シバの女王…」「風の谷のナウシカ…」と記事を反芻。
で、
「風の谷のナウシカ」！！！！！！！
確認されました。んで、再現しました。
ファミコンの初期的なPSG音源で、あの音楽が流れます。
はい。こちら、徳間書店。「風の谷のナウシカ」の権利は関連会社含め、すべて徳間のものであります。
それが隠しプログラムとはいえ、こうして、公に再現出る形で入っているというのが陽の目を見てしまったわけですな。
現在ナムコが主張しようと頑張っている（まだ認められていない）映像権と、
すでに認められている音楽の著作権とでは、どちらが勝つのか、これは明白でありました。
目の前で繰り広げられるこの流れに対して、
「権利関係って 怖い…」
と、改めて肝に命じた創刊３号目だったのであります。
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2011-04-03
【1985】ファミマガ９月号
巻頭の方は輪番停電も減ってしまい、日常生活にあんまり支障はないのですが、駅の照明が落ちていたり、デパートなんかが週イチでお休みとるようになったりしているのを見て、とみさわ昭仁さんと「ホンの１０数年前までは、こんな感じだったよねぇ…」と、世の中の無駄遣いをしみじみと思ったり。そんなわけで、さあにん＠sarnin でございます。
さて、上の写真はまだデパートが水曜日に休みだったり、美容室が火曜日に休みだったりした頃の（「気まぐれコンセプト」なんかで、水曜日にデートするヤツの彼女はデパート店員…なんてギャグがあったり）ファミマガ創刊第２号であります。
まだまだゲームの数は少なく、メインのゲーム記事は２本。それにレッキングクルーのコミック攻略が掲載されております。
創刊号で問題になったウル技は、この号から私がはじめから担当し書いているんですが、こうしてみると目次の見出しを見ても、何のゲームやらさっぱりわからんですな。ちなみにこの号ではまだ「優勝技」というナンバーワン記事はありません。トップに掲載している『フォーメーションＺ』の隠しボーナスはメーカー提供のもの。創刊号で材料を使い果たしてしまったので、かなり苦労して５０本をそろえました、なので禁断の「音」ネタなんかもあったり。写真が撮影できないので、自分でイラスト描いてます。この頃は「プログラムポシェット」のほうにもちょっとだけカットを描いたり。「ぱふ」にもぶつりぼうやで、記事まんがを連載しております。
なつかしの「ロボット」「ジョイボール」の記事も。ほかにも他社の攻略本の記事を紹介したりもしてました。
ところで、実はこの頃「攻略本」という言葉は存在していません。ゲームの「攻略」記事っていうのも言葉としてまだ無いんじゃないですかね。「超」っていう飾り言葉も一般的でなく、「超ウルトラ技」の語源はオリンピックの「超ウルトラＣ」から来たもの。ゲーム言葉の変遷が、ファミマガの創刊から始まっていくのであります。
『ドルアーガの塔』はファミコンではこの本の発売の前々日、８５年８月６日の発売。追ってアスキー「ドルアーガの塔のすべてが分かる本」をはじめ、何冊かの攻略本が発売され、ファミコンの本がベストセラーの兆しを見せ始めるのであります。
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2011-03-29
【連載追記】撮影システムのキオク
ポチポチと皆様にお読みいただき、ありがとうございます。さあにん＠sarnin（山本直人）でございます。
先日は創刊号の表紙と目次をＵＰしながら、思い出話などいたしました。創刊２号以降のネタも準備しておりますので、ご期待ください。
で、今日は「コードフリークＡＲ」（ブレイン・ストーム）さんのほうの許諾をいただきまして、連載しております「ふぁみこん「雑誌」昔話」の追記など書かせていただこうと思っております。
創刊号のお話で「ディスプレイにシモン」…ムチでピシッ！ いや、それは「悪魔城ドラキュラ」だし。その昔、某誌が「魔界城ドラキュラ」って表紙に大誤植したヤツだし。
「ディスプレイに指紋」という話をしたのですが、創刊当時はまだ、テレビ画面をそのまま撮影しているという、そんな時代だったんですよねぇ。
当時は、そのC1の画面にダンボールと暗幕で遮光用のフェンスを作り、カメラを突っ込む穴を真正面に空けておく。その上から布をかぶって完全に光を遮り、カメラマンさんが画面を撮影していたのであります。さらには機材を階段の踊り場に持ち込んで、窓を暗幕で塞ぎ、真っ暗な中、もくもくとゲームをしながら撮影をする…なんてことを行っていたのでありました。
という感じで普段は画面がダンボールで遮蔽されているんで、指紋がベタベタなんてこともないんですが、そこはドタバタの創刊号。当時はまだ神保町の小学館のすぐそばだった編集部。その近所にあります、昔の編集の方ならよく知っていますカンヅメの名所の旅館を確保して、閉めきって撮影していたのであります。
なので昼夜を問わずに撮影撮影。全部のウル技の画面を撮影し終わる頃には、みんなヘロヘロになっておりました。まぁ、普段だったらそんな「指紋がベタベタ」なんてこともないんですが、この時ばかりはベッタベタ。50本の画面写真を半分以上、取り直しになってしまったのでありました。
この指紋事件は、別に創刊号に限ったことじゃなく、次の撮影システムが出来るまで、結構悩まされたものであります。
撮影システムはその後、
●東芝くん
機材の仕組みとしては、ボックスの中に小さなモニター画面があり、その正面に据える形で35ミリのカメラが取り付けられているというもの。撮影用の暗室をコンパクト化したみたいなカンジです。
をはじめ、みなさんをウソ技で悩ませました「凸版システム」などへと進化していくのですが、連載では触れませんでしたが、ＭＡＰ作成については長い間普通の写真をつないで、それを素材にイラストを起こしたり、そのまま使ったりという時代が長い間続きました。東芝くんや普通のカメラで撮って、DPEに出すというカンジですね。「ファミマガ」で私が書いた「グラディウス」の攻略記事のＭＡＰは実は私が自宅で撮影したものであります。「グラディウス」といえば、当時の私はそこそこゲームをしておりましたので、発表会でいきなりステージワープしてしまって、あわてたコナミの人にファミコンの電源を切られた思い出があります。
んで、話を戻しますと、当時そのDPE、最初はいわゆる写真のラボに出していたのですが、途中から近所に出来ました民間の小さなDPE屋さんに出すようになったんですな。それだと早ければ1時間くらいで仕上がるんでこぞって利用を始めたんですが。まぁ、だんだんとROMの容量が巨大化し、ＭＡＰが広大になる時代。注文する量も増えてきて、そのDPE屋さんの消耗品を全部使いきっちゃうとか、いろいろとありえないトラブルを起こしたものであります。
撮影システムはその後、いろいろと進化はしたのですが、今は解像度が高くなってしまったので逆に一般的なシステムでデータ録画できるものが少なくなってしまったみたいですね。例えば地デジぶっこ抜きではおなじみのPV4とか使って撮影しているようです。個人的には先日engadgetで見たシステムが気になってますが。
SONYくんはまだ、現役システムで生きているのは連載にも書いた通りなんですが、
ちなみに「東芝くん」「SONYくん」なのですが、これ、実は全て学術用に使われることを想定した機械だったのであります。「東芝くん」カラー「SONYくん」はパソコン画面撮影用。CGだけでなくパソコンで作成されたグラフなどの撮影に使われるような想定のもの。医療機器やセンサーのモニターにつなぎ、記録用に使われたりもしていました。モノクロ「SONYくん」は、病院のエコー検査の記録用などに使われるプリンタであります。実際に病院で使われているのを自分で見たこともあります。
やがてDV（デジタルビデオ）レコーダーができ、動画をデジタルで録画できるようになると、ゲームの「画面写真を撮る」という時代は終わります。DTPになり写真さえも消えていくのです。
実は「SONYくん」のほうは、今でも医療現場で活躍中。カラー、モノクロともに進化しながら現役です。「SONY」「医療用」でググりますと調べられますので、興味のある方はどう
実際にはhttp://www.sony.jp/products/Professional/medical/index.htmlこのあたりに掲載されております。自分の胃カメラの画像を普段撮影で使っているプリンターで出力されて、お医者さんに説明されたときは、吹き出しそうになってしまいました。
撮影システムの進化もあるんですが、MAP作成の進化もありますよねぇ。
このあたり、連載ネタで使ってみたいと思います。
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2011-03-24
【1985】ファミマガ創刊号
さてさて「コードフリークAR」のほうでおなじみの皆様も、Twitterからいらした皆様も、そのほか偶然見つけた皆様も、そろっていらっしゃいませでございます。
新規開設いたしましたこのBlogでは、ちょっと懐かしい「ファミコン」ブーム時代のことを思い出しながら、私の所属いたしました『ファミリーコンピュータMagazine』の編集の思い出、ゲームの思い出、業界の思い出、個人的な事柄など、つらつらと書き連ねて参ります。
さてさて、今回このBlogをのぞいていただいた方にお贈りしますのは、この画像。
1985年7月7日。それほどに大きな告知もなく、『ファミリーコンピュータMagazine』は創刊されました。
当時、私の立場は時給のアルバイト。お兄さん雑誌にあたります『テクノポリス』で仕事をしておりました。
並行して『ぱふ』でも薄給のスタッフとしてお仕事中。ちょうど『ぱふ』がAB判のサイズに誌面刷新されたあたりのことであります。
さて、この表紙。見ると、ゲームのタイトルはわずかに２本なんですよね。「スターフォース」と「スパルタンX」だけ。
この頃はまだ、月に数本しかゲーム発売の無い時代。大人も子供ものファミコンブームの直前あたりですから、記事のほうもこんな感じだったのであります。
しかし、すでに「超ウルトラ技」は50本。創刊号からこの50本はノルマとして決まっておりまして、長くこの50本を埋めるのに、担当者は苦労するのでありました。で、創刊号の担当者は、実は毛利名人でした。とは言え、創刊号ですから投稿は多数。前後のことを気にしなくていいので、チョイスは楽……でもなく。ゲームソフト自体の本数が少ないんで、結構苦労して撮影などしていたみたいです。
でもって、さあ記事に！ という時点でカメラマンの悲鳴。仕上がって来たポジ写真を見ると、画面に毛利名人の指紋がべったり。
そう、撮影する画面の指示をする際に、ブラウン管に触ってしまい、その反射がばっちり写り込んでいたわけです。
当然、撮影はやり直し。仕上がって来た原稿も文字数が足りなかったり、オーバーしてたり、まぁ、もろもろの事情で書き直しになってしまい、白羽の矢が私に刺さってしまったのであります。
当時『ぱふ』との掛け持ちで仕事をしていたのですが、このために『ファミマガ』編集部に缶詰状態に。『ぱふ』のほうの進行がベタ遅れになってしまい、発売日を遅らせてしまうという大惨事を招いてしまったのであります。ちなみにその号がこちら。
ぱふ 1985年8月号「まんがで夏Zikkan！」
こちらはこちらで懐かしい内容だらけなのですが（笑）。この号の発売を遅らせたのが原因で、私は『ぱふ』のほうに居づらくなって辞めることになったのであります。当時ご迷惑をおかけしました、今は某有名漫画家さんの奥さんの方々、まだお付き合いいただいている方々、この場を借りてお詫び申し上げます。
…という感じで『ファミマガ』創刊号の編集は進んでいったのでありました。
さて、こちらは創刊号の目次。
今こうして見ると、創刊号にしてはシンプルな内容ですな。
メインの２本はイラストＭＡＰでの攻略。
むしろ力が入っているのは、ファミリーベーシックのプログラムとかパズルゲームの面作成だったり。
このあたりは「テクノポリス」「プログラムポシェット」という２誌の存在が大きいところ。
どちらも記事＋コミックの２本仕立てでページを取ってます。
山田ゴロさんはTwitterでもお見かけしますね。
サードパーティ関係もようやく参入が始まったばかり。
タイトー、コナミ、アイレム、サン電子、アスキー、ジャレコ、ナムコ、ハドソン…。
まだまだファミコンの夜が明けて、ちょこっと日が昇ったかな…。という感じでありました。
で、創刊号は売れました。でも編集部はそれどころではなく、次号の作成に必死。
あっという間に日は過ぎて行ったのです。
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