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仙台・緑ヶ丘で地滑り今も 「異常、対策急務」京大調査
 | 金属棒を使った地盤強度の新たな調査手法を試験実施する釜井教授(左)ら=11月28日、仙台市太白区緑ケ丘4丁目 |
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東日本大震災で地割れや家屋傾斜、擁壁倒壊が多発し、避難勧告が出ている仙台市太白区緑ケ丘4丁目で、震災から9カ月を迎えても地滑りが続いていることが、京都大防災研究所斜面災害研究センター(京都府宇治市)の調査で分かった。大きな余震や大雨で状況がさらに悪化する恐れがあるとして、早急な抑止対策の必要性を指摘している。
センター長の釜井俊孝教授(応用地質学)が中心となり、地滑りの経過観察を6月に開始。宅地内にセンサーを設置し、地表変動のデータを電話回線で同センターに送り、随時記録している。 これまでの調査で、市内で震度4を記録した8月の余震を受け、地下で傾斜が約2度、地表では約3.2度、それぞれ増加したことを確認。9月の台風15号では約0.5度の傾きが出た。2度の傾斜は、地盤の変形が現れる値だという。 釜井教授は「徐々に落ち着きつつあるものの、現在もわずかながら数値の動きがあり、地滑りが地盤内部で日常的に起きている状態。阪神大震災では発生後3カ月でほぼ収まったが、仙台でいまだに続いているのは異常で対策が急がれる」と訴える。 地滑りの原因については「もともと地下水位が高い地区。震動で急激に水圧が上がったことで、盛り土部分の地盤を形成する土の粒子の摩擦力が低下し、盛り土と元の地面との境界部分で起きている」と分析している。 調査は、地区中心部から半径50メートル付近の5カ所に取り付けた傾斜計で、地表を観察。詳細なデータを得るため、毎日1時間ごとに計測している。 地下では、深さ8〜10メートルの穴数カ所にセンサーを設置。盛り土内部の水圧を毎秒100回間隔という高速で記録して地震による地盤の強度変化を調査したり、地中の傾斜を測定したりしている。 さらに、同地区と青葉区高野原で11月下旬、金属製の棒を地中に差し込み、回転させた際に生じる抵抗力で地盤の強さを測る新たな手法の試験を開始。盛り土と元の地面との境界部分の強度を調査している。 センターは3月下旬、緑ケ丘や青葉区折立、太白区八木山などで現地調査したのを皮切りに、仙台市内の丘陵部宅地を継続的に調べている。
2011年12月11日日曜日
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