(2011年12月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
不良債権に投資する国内外のファンドは今、中国の銀行が概ね何もせずに不良債権のポートフォリオを抱え続けてきた5年以上の歳月を経て、大量の不良債権が市場に出てくると予想している。
香港に本拠を置くファンド、クリアウォーター・キャピタルや広州に本拠を置くショアライン・キャピタルの幹部たちは、中国の銀行は、中国政府が世界金融危機の後に奨励した信用ブームに端を発する新たな不良債権に備えるために、手持ちの不良債権を処理せざるを得ないと言う。
金融危機後の融資ラッシュで新たな不良債権が発生
世界金融危機の後、政府の指導で銀行が融資ラッシュに走った結果、新たな不良債権が生まれたと見られている〔AFPBB News〕
「新たな不良債権の流れが生じた今、銀行は旧来の融資の焦げ付き問題を処理しなければならない」。ショアラインの共同創業者、ベン・ファンガー氏はこう言う。
「ショアラインにオファーのあった案件は、近年の実績に比べて平均して価格が安い。我々は再び有意義な話し合いを行っている」
中国の銀行が不良債権にどの程度対処するかによって、経済全般の健全性の手掛かりが得られる。
中国の銀行はバランスシートをきれいにすることで、新規融資を行う余地ができるため、金融の専門家たちは、中国が商業的に不良債権に対処している兆候は、どんなものであれ将来の経済成長と投資環境にとって心強いサインになると言う。
中国の大手銀行は香港に上場してから、以前より厳しい報告義務を負っているため、不良債権を売却するよう圧力を受けている。さらに、中国の銀行規制当局は、銀行が不良債権を実際より少なく報告していると思っており、銀行に自己資本の厚みを2倍にするよう促してきた。
投資家たちは、こうした二重の圧力のために、銀行が今、バランスシートから不良債権を一掃する動機が強まっていると話す。「銀行の裁量権は今、これまでよりはるかに小さくなっている」とサンフォード・バーンスタインのアナリスト、マイク・ワーナー氏(香港在勤)は言う。
-
ユーロ危機、「三十年戦争」の不気味な教訓 (2011.12.30)
-
洪水後のタイ、生産再開に邁進する外国企業 (2011.12.29)
-
イタリアの国債利回り、入札前に再び7%台 (2011.12.29)
-
さらに強まる政府と銀行の絆 (2011.12.27)
-
機能不全が続く米国の政治 (2011.12.23)
-
ECB、過去最大の資金供給で信頼回復なるか (2011.12.23)
-
「大停滞」に陥る米国経済 (2011.12.22)
-
次期戦闘機にF35、日本の防衛産業を脅かす決定 (2011.12.22)
-
飢える国民を尻目に核兵器を開発した独裁者 (2011.12.21)