◆TBSはアニマスがついに終了しました。

　半年があっという間というか。こんなに濃密な「アニメのアイマス」を
　魅せてくれたスタッフの皆様には本当に感謝です。
　ブログのほうでは、レビュー的なものをあえて避けてきたのですが
　(千早回のほうは堪らず書いちゃいましたけどｗ)
　グランドフィナーレということで、色々書いちゃおうかなと。

　

　もちろん、765プロの中心に居た、春香とプロデューサーのこと。
　そして、765プロみんなのこと。
　そして今の「アイドルマスター」のこと。

　※最終話までの内容を含みますので、「続きを読む」に。
　※またものすごく長文です。内容については、あくまで個人的な意見なので　
　　ご了承願います。
◆ともかく、23、24話はあまりにも衝撃的でした。

　あの「事故」や、その辺りの演出は今までの流れを見事にぶっ飛ばすもの。
　順風満帆だった７６５プロを、９６１プロの妨害よりもはるかに上回る大ブレーキ。
　そう、765プロの主軸…春香の心が「ぽっきり」折れてしまったんですから。
　
●22〜24話の流れについては、春香を中心にして、作品の根本である

　「アイドルってなんだろう」

　「仲間ってなんだろう」

　「アイドルマスターって、なんなんだろう」

　を、ともかくテーマの中心に居た春香の心情が乱れに乱れて表現されていくものでした。
　これがまぁ、ツライ。これ以上なくつらい。

　いちファンにとっては、色々現実と重なるところもあるから。

●アイマスのアイドルって、ゲームではそもそも同じ765プロ内でも基本的には「対戦相手」
　であって、ライバル。元を考えれば、共に歩むものでは無かったんですよね。
　直接いがみあったりするわけではないですけども、対戦相手の顔は、同じ事務所のアイドル
　だったりしたわけで。
　そういった意味合いでは「竜宮小町の存在」というのはその象徴とも言えるかもしれない。
　…プロデュース出来ればなおさら良かった、はとりあえずここでは置いておいて。

　その辺を知ってるP(ゲーム出身)は、ある意味こうやってバラバラでも売れていく事って
　「当然のこと」と捉えがちなんですよね。
　だって、担当するアイドルをトップへ上り詰めさせるのが、そのお仕事なんですから。

　(赤羽根)プロデューサーは、9人別々で、その仕事を事実上完遂させたんです。
　ゲームで言うなら、間違いなくPランクは「真・アイドルマスター」でしょう。
　アニメでは、竜宮以外ユニットは一時的なもので、基本ソロでデビューしているわけですし。

　なので、最初は必死に横に繋ごうとする春香には、実は自分、少し違和感を感じていました。
　それぞれのアイドルにとって、忙しすぎる＝アイドルとしては大成功しているわけですから、
　春香も個人で頑張って伸びていけばいいんじゃないか。ちょっと必死すぎないか？と。

　言うなれば、アニメの美希はそのアグレッシブなポジションにいたわけです。
　もちろん、765プロの面々は大好きだ。
　しかし、アイドルとしての活動では、たとえ春香だってライバルだ。
　舞台の仕事だって、主役になれるのは1人しかいない。
　「仕事」では、ある意味冷酷になるしかない。
　…美希らしいポジションというか、彼女もまたアイマスの「指標」です。

　春香だって、ゲームではそもそも「歌う」という事が好きで、歌のお姉さんに憧れて
　７６５プロに来た。ゲームの彼女は「みんなと一緒に歌うために」アイドルを
　目指したわけではない。

　なら、アニメの春香は、どうして必死にここまで横のつながりを大事にしようとしたのか。
　
●そもそも「アニメの春香」はどういうキャラクターであるのか。

　ここで、錦織アイマス『ゴリマス』の魅せたかったこと。
　「アニメというフィールドで、“団結のアイマス”はどう魅せられるのか」ということ。
　決して個別のお話じゃない、「みんなまとめてアイドルマスター」ということ。

　『春香がもし、プロデューサーがたった一人で9人を見なければならない、そんな状況にいたら？』

　アニメの春香は、終始先頭にいるわけでもなく、少し後ろの引いた位置にいます。
　ただ、「みんながバラバラになりそうになったとき」、彼女はぐっと前に出て、皆を
　引っ張っていこうとした。誰よりもまっすぐに、ポジティブに。
　それがより、７６５プロ内での横のつながりを強固にし、それが間違いなく７６５プロの
　ピンチを救ってきた。
　彼女は、７６５プロの中心。間違いなく、リーダー。

　そう、ゲームでは表現できなかった「７６５プロ全体の絆」を描く為に、春香はリーダー
　たりえた。誰よりもまっすぐで、ポジティブで、笑っていられる、そんな彼女が。

　765プロ内では、彼女しか考えられないではないか。
　「普通」と言われる彼女。一番尖っていない彼女。一番周囲を見渡せる彼女。
　プロデューサーがひとりしかいない状況で、全てを見ることが出来る唯一の気配りを持てる彼女。

　だからこそ、1stライブの大成功以降どんどん忙しくなる765プロの横のつながりを維持して
　これたのではないのか。

　しかし、春香だってまだまだ17歳の少女である。
　クリスマスパーティで、結局渡せなかったプレゼントのお財布。
　そんな事から、心はどんどん揺れていくことになる。“繋ぐ”人として。

　「新春ライブは“みんなで”成功させなきゃならない」
　「“みんなで”練習しないと、うまくできないかもしれない」
　「“みんなが”集まらないとちゃんと練習もできない」

　「しっぱい　しちゃうんじゃ　ないかな」

　「いそがしいのは　わかってる。わたしだってプロなんだから」

　「でも」

　「みんな　が　ばらばらに　なっちゃったら」

　「きっと　うまく　いかない」

　「ほんとうの　ちからが　だせなくなっちゃう」

　「ほんとうの　うたが　うたえなくなっちゃう」

　「いちばん、かがやけるのは、みんながいっしょにいたから」

　「…どうして　こうなっちゃったんだろう」

　「どうして　こんなに　ふあんなんだろう」

　「プロデューサーさんまで　そばに　いなくなっちゃった」
　
　「けが、させちゃった」

　「どうして」

　「もう、わからないよ」

　…そんな、気持ちが、心の中で渦巻いて。

　しかし春香は、プロデューサーの事故がきっかけで、鬼気迫る演技が出来るようになり、
　美希から主役を勝ち取ります。
　この時にも、思わされたはずです。

　「プロデューサーさんの怪我がなければ、私、主役をもらえる事にならなかったのかな」

　結果論とはいえ、春香は一緒にいなければならないと思っている美希から、
　主役をもぎ取ってしまった。
　「ますます、バラバラになってしまう」という強迫観念が、さらに春香を締め付ける。
　春香は追い詰められてゆき、「みんなが一緒にいなければならない」という考えがより
　強くなってしまう。「舞台までは時間があるから、新春ライブだけに集中すればいい」という
　短絡的な思考がポロっと出てしまうまで「疲れてしまっていた」のだ。

　ゲームではほとんど見れなかった、まさに『春香スパイラル』である。

　ここで、いつもならばプロデューサーさんが近くに居た。
　しかし、相談に乗ってくれる人は、自分のせいで大怪我をさせてしまった。
　もう、心は闇のどん底で。
　仕事のほうが大事なの？仲間のほうが大事じゃないの？
　アイドルってなに？仕事をどんどん忙しくさせていくのがアイドルなの？
　あたし、なにがやりたかったんだろう？

　春香は以前、そのまっすぐな気持ちで、千早を救っていたことすらも
　意識から抜けていたのかもしれません。

　春香の対照として美希の台詞があるわけですけれども、上記にもあるように「仕事」については
　多少冷酷となっても、勝ち取らなければならないという精神でした。

　しかし、春香の限界を越え疲れ果てた姿を見て、美希は気づいたんですよ。
　「このままでは、あの黒井社長のやっていた事と変わらない」という事に。

　『このままだと迷い子になっちゃうって思ったから』この言葉、ジュピターの姿を
　　重ねて見えた言葉なのかもしれません。

　そしてそのジュピターは、迷いを断ち切って、すでに新たな一歩を先に踏み出していたのです。
　春香はそれを見て、心が少し、前に向かい始めます。

●アニメの(赤羽根)プロデューサーは、最後まで「サポーター」として徹しました。

　今回の大怪我は、一つのきっかけに過ぎません。
　彼はプロデューサーとして、彼女達に道を示していくのが何よりも大事な役割だと思っています。

　しかし、彼女達はある意味ゴールまで来てしまった。
　売れに売れて、彼女たちはそれぞれが忙しすぎて、バラバラになりつつあった。
　だけど、プロデューサー自身はとっくにわかっていたんです。
　
　「みんな、一緒の時が一番輝ける」ということを。

　あえて、みんなにその事は言わなかったのは、今度は自己解決すべきことだと考えたのでしょう。
　あの転落事故の直前に、春香が折れそうになってしまっていたのを見て、少しだけ背中を押そうと
　思っていたのかもしれません。
　思わず大怪我をしてしまう、という事が結果的には混乱させることになってしまったけど、
　今回の事故が無くても、春香たちの支えとなって、新春ライブ前に皆を上手く揃えるように
　スケジュールを組む努力をし続けてきたのは、わずかながら描写されています。

　24話でも、答えを持っているけど迷っている、20話の春香と同じ状況の千早の背中を
　ぽんと押せる、そして最終話で春香に「頑張ったな！」と「言葉」をかけました。
　それが出来る「アイドルマスター」なのです。
　それが、みんなをまとめる「プロデューサー」なのです。

●千早は、今度は私が春香を救う番だ、と考えていた。

　しかし、もう6年以上は両親との不和で、まだ「横のつながり」を上手く表現できない。
　だから、プロデューサーに相談に行きます。

　そう、春香の代わりに。
　春香だって、あんなことがあって、命に関わる大怪我をしたプロデューサーに
　会いに行きにくいだろう。

　本当は、春香もプロデューサーさんに会いたいだろう。
　でも、苦しめられている。
　ひとりで、苦しんでいる。
　前の、私のように。今度は私が春香に手をさしのべる番ではないのか。

　「もう一度、私たちの原点に帰るべきではないのだろうか」

　そう考えた千早は、プロデューサーのアドバイスを得て、もう一度765プロの面々に
　問いかけます。

　「私たちは、忙しさにかまけすぎたのではないだろうか」
　「その為に、失ったものがたくさんあったのではないだろうか」

　千早は、改めて春香の代弁をする。春香の位置に立って。千早も気づいていたから。

　「私たち、一緒に頑張ってきたということを忘れてしまっていたのではないか」
　「その為に、春香はずっとひとりで奔走していたのではないのか」
　「ライブの失敗云々ではなく、一緒に頑張れば、迷うことなくもっともっと高みへ
　　いけるのではないのか」

　これ、もの凄く大事なこと。
　アニメのアイドルマスターに全部に言える事なんですけども、
　「アイドルマスター」という作品全体に言える事なんです。

　アイドルマスターの今、そのものなんです。

●アイマスがアーケード版から始まって、今のアニメのアイマスまで、ホントに色々ありました。

　アイマス２のあの騒動が一番大きな「出来事」だったと思いますが、さらに人気が出て、
　派生もして、色々バラバラになってしまった所があります。
　(※…きっかけが公式とはいえ。(苦笑))

　アイマスの「多様化」とはよく言ったもので、ファン層も広がって、バラバラに存在するように
　なりました。考え方も広がり、楽しめるものから触れる、入り口はたくさんできた。
　どんどんどんどん忙しくなっていくけれど、しかし、これは同時に「濃さ」も失う諸刃の剣。
　全体的に広く、浅く、そして脆くなっていく土台。捨てなければいけない部分もどんどん出てくる。

　どちらが正しいとはいえません。その判断は、原作のバンナムがするお話です。

　錦織監督も、アイマスのイチファンです。
　アイマスが大好きだからこそ、言いたい事もあったに違いありません。
　じゃあ、アニメにして、最高の贅沢をさせてもらえるというのなら。

　「アイドルマスターが一番輝くことってなんだろう」
　「新しいPも、昔から頑張ってきたPも、アイマスで一緒に盛り上がれることが
　　最高に輝いてるってことじゃないのだろうか」

　765プロの面々＝我々ファン＝プロデューサーたち。
　バラバラに存在するファン達が一緒に、一斉に盛り上がれる場を、そんなアニメを
　創り上げてやろうじゃないか、と。
　そういうメッセージがあるような、クライマックスへの道のりだったと思います。
　ほら、765プロのみんなと、アイマスの歴史そのものと、どこか重なりませんか？

◆最終回。

　みんな「いっしょ」で最高のクライマックスステージが繰り広げられました。
　みんながいるから、最高のパフォーマンスで歌える、踊れる、盛り上がれる！

　でもこれはきっと、「アイドルマスター」の通過点にすぎない。
　さらなる高みへ。きらめく舞台で、また、会えるはず。

◆今年もいろいろありました。

　アイマスには本当にお世話になりっぱなしで、今年もまた沢山の方々に出会えました。
　このつながりは、今までも、これからも大事にしていきたいです。

　アイマスは一番激しく動いた年でもありました。
　アイマス２の2機種発売に、池袋を中心とした一大プロモーション、アニメの放映…
　やはりアニメの力は凄かったｗ
　これが「ただのアニメ化」どころか、スタッフの愛があふれんばかりの内容だったのも
　非常に大きいです。ゲームが正直かすんでしまいそうになるくらい（苦笑
　一年、大変楽しませていただきました。
　来年の夏までは、映像ソフトのリリースなどでまだまだ盛り上がれるところでしょう。

◆最後に。

　何度か書いてますけど、僕はアイマスファン界隈でも、ただの一個人にすぎません。
　なんだかまた最近祭りあげられているようで、そのことを忘れられている気がしてなりません。
　僕の一言でアイマスが変わると言うのなら、バンナムに転職させてくださいよほんとにｗ
　…と、グチを書いちゃいますが、言いたくなる事があったら、今後もいくらでも出しちゃいます。
　もちろん、ネガティブな意見というのも、必要だと思ったときに出していきますよ（笑）
　「アイマスならなんでもOK」という部分は、そろそろ危険に感じていたりしますし。
　でも、「これはダメだよ」って言うのなら、どんどん言って欲しいです。
　そういうの、今までほとんど無かったし。話し合う事が、大事だと思いますので。
　(今回、言ってくれた中里さんには感謝してます。ありがとうございます。)

　願わくば、来年もアイマス界隈が平和で幸せでありますように。

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