■民放と硬軟逆転
20日に終了した午後10時台の連続ドラマ「カレ、夫、男友達」では、初回から男性が女性にマヨネーズを頭からかける暴力シーンが登場。以降も女性が男性に馬乗りになるなど過激な場面が続いた。NHK広報局は「今回が特別なわけではなく、物語に必要な演出をしただけ」としている。
これについて「過激な内容を最初に放映し、引きつけようとするのは民放の手法」と指摘するのは、同志社女子大情報メディア学科の影山貴彦教授(メディア研究)。「民放がスポンサーを意識して性表現で萎縮する中、その必要のないNHKが実践する硬軟逆転が起きている」と解説する。
ワンセグとEテレで放送中の料理番組「楽ごはん」では11月中旬、グラビアアイドルが胸を強調しながら料理を紹介。同24日のNHK会見では新山(しんやま)賢治理事が「民放の良さを吸収しながら新しいNHKスタイルを考えていくプロセス」と弁明しながらも、「こざかしい演出だった」と身内を批判する場面もあった。
こうした番組の裏には、受信料収入を増やすため、視聴者開拓に取り組むNHKの事情がある。しかし、影山教授は「これまでNHKが培ってきた硬質なイメージを逆手にとった“あざとさ”が見られ、あえて苦情を言う人は少なくても、度が過ぎれば視聴者が離れる結果を招くだろう」と話している。(産経新聞)