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廣宮孝信 ひろみやよしのぶ

Author:廣宮孝信 ひろみやよしのぶ
国家破綻セラピスト。「アイスランドは財政黒字なのに破綻!」、「日本とドイツは『破綻』後50年で世界で最も繁栄した」という事実。そして、「誰かの負債は他の誰かの資産」/「誰かの赤字は他の誰かの黒字」という原理原則に基づく経済論、財政論:「国が財政危機と考えることこそが日本の危機!」/「財政黒字はむしろバブル崩壊の予兆の場合もある!」/「破綻は成長のための一里塚」を展開しております。
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416:抱腹絶倒のTPP推進論:「関税撤廃でも補助金ズブズブでOK」by 山下一仁・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

2011/10/20 (Thu) 16:11

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今回は「抱腹絶倒」必至TPP推進論のデタラメをただしておきたいと思います。




TPP反対論のデタラメを糺す(1)
抱腹絶倒「TPP反対本」のお粗末
2011/06/22


山下一仁 Yamashita Kazuhito

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
http://www.fsight.jp/article/10585?ar=1&page=0,1

しかし、戸別所得補償などの補助金も非関税障壁として廃止されてしまうと主張しているTPP批判本(廣宮本p26、浜田本p119)がある

私はこれを読んで仰天した。


米州自由貿易地域という構想が実現しなかったのは、ブラジルがアメリカの農業補助金の廃止を要求し、アメリカがこれを拒否したことが大きな原因だった。アメリカもEUも多数のFTAを締結しているが、農業補助金は一切変更していない。

補助金はTPPの対象ではない。

TPPで農業補助金が廃止されることは

ありえないのだ。







ほうほう。補助金はTPPの対象ではないとな??????

えーと。
キヤノングローバル戦略研究所究主幹

山下一仁 Yamashita Kazuhito

さん。って誰?あ、↓こちらにプロフィール発見

http://www.canon-igs.org/fellows/kazuhito_yamashita.html

東大法学部卒で元農林水産省の官僚であった模様。

農林水産省出身でTPP推進とは、お珍しい。



もう一度、繰り返しこの山下さんの文章を引用します。




補助金はTPPの対象ではない。

TPPで農業補助金が廃止されることは

ありえないのだ。




で、

ニュージーランド外交貿易省

New Zealand Ministry of Foreign Affairs & Trade

のホームページにある、既存TPPの合意文書

The original P4 agreement
Main Agreement

http://www.mfat.govt.nz/Trade-and-Economic-Relations/2-Trade-Relationships-and-Agreements/Trans-Pacific/4-P4-Text-of-Agreement.php


から引用します。




Article 3.11: Agricultural Export Subsidies

農業の輸出補助金



1. The Parties share the objective of the multilateral elimination of all forms of
export subsidies for agricultural goods and shall cooperate in an effort to achieve such an agreement and prevent their reintroduction in any form.

本協定
締約国は、相互に対するいかなる形態の農産品の輸出補助金も排除することを目標として共有し、かつ、このような協定を達成するための努力及びいかなる形態の農産品輸出補助金の再導入をも防止するための努力についても協力するものとする。


2. Notwithstanding any other provisions of this Agreement, the Parties agree to
eliminate
, as of the date of entry into force of this Agreement, all forms of export
subsidy for agricultural goods
destined for the other Parties, and to prevent the reintroduction of such subsidies in any form.

本協定のいずれか他の規定にかかわらず、本協定締約国は、
本協定の効力が発生する日付をもって、他の協定参加国に向けられたいかなる形態の農産品のための輸出補助金も排除し、かつ、いかなる形態の農産品輸出補助金の再導入をも防止することに合意する。






シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ


お互いに対する

農産品の輸出補助金の排除に合意


しているわけです。つまり、「TPPでは農業補助金が廃止される」とは「抱腹絶倒」で「仰天」と書く山下氏のいう





補助金はTPPの対象ではない。

TPPで農業補助金が廃止されることは

ありえないのだ。





は、完全に間違いです。


だって、

既に「いかなる形態の農産品の輸出補助金も排除」することは

既にTPPで合意され、発効しているのですから!





また、山下氏



アメリカやEUのように補助金を交付すれば、生産量を維持できるので、生産者は不利益を受けない。




と書いていますが、そもそも補助金をジャブジャブ与えることを認めるような自由貿易協定なら必要ありません!

関税を撤廃する代わりに、補助金をジャブジャブ与えるのが許されるのなら、農業に限らずどんな産業にも適用可能ですね。自動車でも鉄鋼でもあらゆる産業で可能となりますから。

これじゃ自由競争もヘッタクレもありません。

こんなことは子供にでも分かる理屈なのですが。



ちなみに、ロイターの記事によれば、アメリカ産業界のTPP推進派の主張にも補助金、
特に国営企業に対する当該政府の補助金を問題視する声が日増しに大きくなっている模様

U.S. delays sensitive topics in Trans-Pacific talks
Wed Sep 14, 2011 7:21pm


U.S. business groups are increasingly concerned about competition from foreign state-owned firms.

米国の経営者団体は外国の国営企業との競争について日増しに懸念を強めている。

They want TPP rules to ensure those entities do not benefit from government subsidies and other handouts that private companies do not receive.

彼ら
経営者団体は、民間企業が受けられないような政府からの補助金その他の便益を、それら外国の国営企業が受けられないようにすることを、TPPによって規定することを望んでいる。

A strong TPP pact also would also put pressure on China's state-owned companies, especially if Beijing one day joins the pact, which U.S. officials say is a possibility.

米国当局者は一つの可能性として、いつか中国がTPPに参加した場合、強力なTPP協定は中国の国営企業に圧力をかけることにつながるだろうと話している。






補助金というものを全否定
するとなると、アメリカ自身の手足を縛ることになりはしないか、と心配です。

新しい産業を育てるとき、補助金は非常に有効な手段となる場合があります。

中国では設備投資の半額を助成することで
太陽電池が急激成長し、あっという間に世界シェア首位に踊り出ましたので、このような中国の手足を縛りたいという気持ちはわかります。

しかし、

日本の自動車産業もかつては補助金、政府系金融機関からの低利融資、自動車の輸入禁止措置を受けて育ち、アメリカでは補助金によって地熱発電所の建設ラッシュが起こりました。

TPPに参加すると、産業政策の手足が著しく縛られる恐れがあります。それは日本だけでなく米国も他の国も同じです。


TPPですったもんだしている間に中国企業が補助金でガンガン成長しきってしまった後で、「もう補助金無しでも十分戦えるからTPP参加しても良いアルか?」と言われたらどうするのかしら、というのは心配し過ぎとは言えないでしょう。




しつこいようですが、TPPに参加した後、実質成長率の順位が世界の中で上昇したのはシンガポールだけで、他の3ヶ国はむしろ順位を落としました。
TPP、「国有化」に劣る?
参照)

TPPで参加国の大半が自国の手足を縛られている隙に、中国のような官民一体で産業を育て上げるような国が躍進する。

そういうこともあるでしょう。

98年に財政破綻したロシア今では見事に復活外貨準備高も世界3位にまでなっています。

そのロシアは前のプーチン時代、エネルギー産業の国有化(自由貿易、TPPとは正反対ですね)を推し進め、一方で分野によっては外資の導入も行いました。トヨタや日産はその時にロシアに工場を建設したのです。

規制すべきは規制。開放すべきは開放。

つまり、プーチン大統領は野放図な自由化ではなく秩序の最適化を行ったわけです。

これ、前に書いた信長の話とそっくりではないですか!
超簡単TPP概論2 :「自由化」の罠+信長の野望
参照)




ここで改めて一つ確認しておきたいのですが、

私の目的は、大企業叩きではありません。

「弱者救済」は良いとして、そのための手段が「大企業叩き」というのはもってのほかと考えます。


大企業も大金持ちも、中産階級も、貧しい人も、

等しく今よりも良い状態に持って行くには

どうしたら良いか?


というのが私のテーマです。


大企業優遇の新自由主義(Neoliberalism)でも、弱者さえ救済できれば良いという共産主義(Communism)でもなく、

第三の道(The Third Way
)というわけです。
「孫子」と「第三の道」参照)

どちらかを捨ててどちらかを優先する
という発想は「国の借金大変だ教」がその根源です。

これを打破し、全ての人が利益を得るようにする、というのが私の発想です。





さて、話を戻します。

「TPPに参加すると農業の補助金は廃止される」ということを当の締結済みのTPPの条文に基づいて書いてあることを読んで「抱腹絶倒」して「仰天した」という

元農林水産省東大法学部出身であらせられる

山下一仁・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹主張には

「それこそ『抱腹絶倒』で、

『私はこれを読んだ仰天した』」 



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<著書紹介>

さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―
(2010/03/02)
廣宮 孝信




【↓著者本人による解説】

国家財政やマクロ経済においては常識とは正反対の見方をする必要があります。
本書の目的の第一読者の皆さんにその「正反対の見方」を提供することです。

・「財政黒字は良い」「財政赤字は悪い」。それが一般的な常識的なものの見方でありましょう。

・しかし、実際には
「財政黒字なのに国家破綻」「20年以上財政赤字が続いている国が高度成長を続けている」
ということが世界ではごく普通に起きているのです。

・そして、本書の目的の第二
本当に怖いのは財政破綻ではなく、モノの供給が途絶えてしまう「物流上の破綻」であることを明示することです。

・なぜならおカネというものは印刷や帳簿上の処理で幾らでも創れますが、
国民生活、国民の生存のために必要な食料やエネルギー資源などは、
おカネと違って幾らでも創れるものではないからです。

本書の最大の特徴は、一般の「経済学」では取り扱われることのないこの「物流上の破綻」に焦点を当ている点です。

・この本当に恐るべき「破綻」が起こらないようにするにはどうしたら良いか、
つまり将来において供給不足が起こらないようにするにはどうしたら良いか
そして、それを踏まえた上で、現在の需要不足にどう対応すべきか
この問題の解決策に関して年金問題をも絡めての具体的な提言を行っていることも、
本書についての類書との際立った特異点でありましょう。



☆アンチ対策に役立つ【反「国家破産」的マスコミ記事】は
こちら→
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/folder/1031019.html?m=lc



 




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コメント

646:

>官民一体で産業を育て上げる

これって、かつての”ニッポン株式会社”じゃないですか?
”日本モデル”は正しかったということですね。
正しかったはずの”日本モデル”がだいぶ崩されてるような気がしますね。
”日本モデル”、”ニッポン株式会社”の再構築が必要でしょう。

2011/10/20 20:48 | 朝倉新哉 #- URL [ 編集 ]
647:TPP反対

やはり昔ながらの方法が良いですね。
官民一体で産業を育てて行く。
「マスコミさんが騒ぐ癒着」に対しては
正々堂々と政治家、公務員の個人の犯罪として処理する。しかないですね。

話は変わりますが、廣宮さんは今回の日韓通貨スワップはどのようにお考えですか?
私は通貨スワップの知識が無いので、調査しましたが、
日本に問題ないとか日本が一方的に損をすると内容が2分しています。
そのうち廣宮さんのブログで解説してもらえると助かります。

2011/10/21 12:47 | 政兄い #- URL [ 編集 ]
648:管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2011/10/21 22:40 | # [ 編集 ]

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