羊膜に包まれたまま産まれた「ラッキー・ベビー」、出血しないお産、赤ちゃんが自立して呼吸を始めるまで臍帯を切らずに待つ……1999年の開業以来約500件の自宅出産を介助し、妊産婦や家族の人生に変革をもたらしてきた助産院「バースハーモニー」(たまプラーザ)。“芸術的なお産”の裏に隠された秘密とは? バースハーモニー院長で助産師の齊藤純子さんが語ります!
(取材・文/キタハラマドカ、写真・前田正秀)
★このインタビューの様子は、YouTubeの「バースハーモニー」チャンネルでも配信しています! リンクはこちら
「草むらの中の道なき道を進む時に、まず石ころをひろってよける、草も取る。すると視界が開け、自分にとって必要なものがパッと目に入るようになる」……妊娠中の心身のケアの大変さ、それを経て出産後人生が変わった経験を話したら、このように表現してくれた。詩的な感性の持ち主だ
ーー私、お産の時の出血量が50mlと記録されていて、「こんなに少ないんだ」とびっくりしました。森ノオトのリポーターでもある友人(バースハーモニーで2009年2月に出産)は赤ちゃんが羊膜に包まれたまま産まれてきました。
齊藤: 一般に、お産の時の出血は200ml以下だと「少量」、200ml〜500mlで「中量」、500ml以上だと「多量」と分類されます。つまり、300〜500mlくらいの出血は問題ない範囲です。私が介助するお産は、出血量がきわめて少ない方が多いですね。ガーゼで拭って終わり、みたいな。
なぜか考えてみたのですが、バースハーモニーでは食事指導を徹底して、特に産前2カ月は徹底的に砂糖と果物を抜く生活を心がけてもらいます。砂糖や果物が体に入るとカリウムが多くて体がゆるんでしまう。それが出血の原因になるのではないかと分析しています。
羊膜をかぶったままで産まれてくる赤ちゃんのことを「ラッキー・ベビー」、あるいは「幸帽児(こうぼうじ)」と言いますが、破水しないので産道での感染症も防げるし、何よりとても神秘的で芸術的です。出血の少ないお母さんは産んだ後も体のむくみがなくとてもすっきりしていて、とても美しい。そんなお産に立ち会うと、「命の誕生とは、芸術なんだ」と感じますね。
ーー私は産後、骨盤がそろうまで寝たきりで授乳以外の世話はすべて家族にまかせ、3日後に起き上がってからも沐浴、炊事、洗い物、洗濯などの家事や育児を周りにゆだねました。2カ月ゆっくり休んだらその後とても元気で!
齊藤: バースハーモニーでは、産後は産婦さんにともかく休んでもらうことを重視しています。お産で骨盤が開ききっている時にいきなり起き上がって赤ちゃんをだっこして移動したり、階段の上り下りなどをすると、開いた骨盤が歪んだまま固定され産後の回復を妨げてしまいます。赤ちゃんを産んだばかりでくたくたのお母さんは、おっぱい以外の世話をすべてゆだねて、じっくり体を休めることが大切。でも、病院では分娩台から降りる時点で、立ったり座ったりを余儀なくされ、またせっかくの母子同室でも、かかりきりで赤ちゃんの世話をしなければならず、沐浴指導や様々な処置などでじっくり休めないでしょう?
赤ちゃんが産まれて最初の数日って、ものすごい蜜月なんです。母子、父子、兄弟、祖父母との信頼関係を結ぶ時期。自宅で産むことの最大のメリットは、一番いとおしい家族の愛を確認できる、それに尽きるのではないでしょうか。
産後の女性は2カ月くらい寝たきりで過ごすのが望ましいとか。すると骨盤がキュッと締まってスタイルがよくなり、「産めば産むほどきれいになれる」とか
齊藤純子(さいとう・じゅんこ) | |
たまプラーザで自宅出産を専門に介助する助産院「バースハーモニー」院長。日本医科大学付属第一・第二病院勤務を経て、横浜市青葉区役所、その他クリニック、助産院勤務、専業主婦を経て1999年「バースハーモニー」開業。自宅出産の介助実績は約500件。妊婦健診では頭蓋仙骨療法や光線治療、リフレクソロジーを取り入れ妊婦とじっくり関わりを持つほか、食事、生活、運動等一人ひとりに合わせた保健指導を行う。月1回リマクッキングスクール校長の松本光司先生によるマクロビオティック食養料理教室を開催するほか、BLBヒーリング前田正秀氏による呼吸教室、きづきかん井上聖然先生による個人整体、ヨコハマヒーリングデンタルの小泉克巳歯科医師による歯の噛み合わせ治療等、総合的に自然治癒力を高める各種教室を開催。 バースハーモニーのホームページでは、夫の齊藤雅一氏による「自然出産」の美しさを感じる写真が多数掲載されている。 |
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http://www.birth-harmony.com/ |