ヒロインがギャルの仲間になる感じのお話

今年の春、私、木谷晴子は中学を卒業し、無事高校に入学した。
でも、私の通う高校は、とても普通じゃない。
「おい、誰かライター持ってね?」
「おおー、つーか一本よこせやwww」
高校生はタバコを吸っちゃイケナイ。
「あ、おじさん?あたしだけどー、今日も夜会えないかな?
おじさんに会いたくて死んじゃいそーだよぉー。
じゃあ昨日のホテルで待ち合わせでいい?」
援助交際なんて・・怖くないのかな。
入学して2ヶ月が経ったけど、未だにこの校風に慣れない。
友達も一人もいないし、まともに話すのも怖い。
というか時々、私の方がまともじゃないんじゃないかと思うくらいだ。
(自分をしっかり持たなくては!)
いつもこうして自分に言い聞かせてる。そうじゃないと、私・・・。

キーンコーンカーンコーン

終礼のチャイム。今日もいつもと同じ一日が終わる。
こんなはずじゃなかった。もっとさわやかな青春を送るつもりだったのに。
落書きだらけの教室、タバコの煙で曇った空気、先生の声がまったく聞こえない授業。
これが私の現実。
「はぁ。なにやってんだろ・・」


「ねえチサ、今日こそ木谷に声かけてみようよ」
「あのコさあ、ウチらと空気違うから話しかけづらいけど
なんか気になんだよね。チサもそう思ってんだろ?」
「・・・ほっとけよ・・」

そもそも、私は好きでこの学校に入ったわけじゃない。
志望してた高校に・・落ちたのだ。
最初から志望校にしか入るつもりがなかった私は、
滑り止めすら受けていなかった。
そんな愚かな私がすぐに入れたのは、この学校だけ。
「はぁ・・」
(もう嫌だ。こんな・・!)
「よう!なーにため息ついてんだよ」
「!!!ひゃあ!?」
「おっ、驚かせちまったか。わりぃw」
「かっかかか・・和巳君!?なんで?なんでここに?」
「いやあ、ちょっと近くまで来たもんだから、
この辺通ったら木谷に会えんじゃないかって思って。
どうだ?高校生活の方は?」
「え?いや、あの、えと・・」
「あそこは評判悪いからさ、木谷がちゃんとやれてるか、俺心配してたんだぜ」
「え?和巳君が、シンパイ?え?」
「じゃ、友達待たせてるから、そろそろ行くわ。
気ぃつけて帰れよ」
「ああ!ちょっ、待って・・」
タカタカタカタカ!

ああ、行っちゃった。
いつもこうだ。もう会えないかもしれないのに。
和巳君。彼と同じ高校に行けてたら今ごろ告白できてたのかな・・。
ううっダメだ。考えたら涙が・・。
「へぇ〜、あれがアンタの好きな男のコ?なかなかいい趣味してんじゃん?」
「!!!!」

振り返ると、そこには世にも恐ろしいヤンキーの女の子が三人立っていた。
「な、なんなんですか!?私お金なら持ってないです!」
「はあ?つうか同じガッコの子からはタカらないしw」
「アンタあたしらの顔覚えてないの?」
「ウチらは覚えてるのにひどくねー?」
なんなのなんなの?この3人組に私何かした?逃げた方がいい?
「今の見させてもらったよ。あんたあいつにホレてんだろ?」
「えっ?なななんで・・」
「ずっと見てたし。つーか目も見れないなんてどんだけw」
「あ、あなた達には関係ないです!」
「あらあら、冷たいねぇ。せっかくクラスメートが心配してやってるってのにさぁ」
「クラス・・メイト??」
「ちょっとあそこでお茶でも飲もうか、木谷さん?」

「ごめんなさい!私、てっきりカツアゲかと・・」
「もういいって。それより木谷さんがウチらの顔覚えてない方がショックだし」
「そーだよー。ウチらずっと木谷さんのこと気にかけてたんだよ?」
「え、それ、ほんと?」
「あんたクラスで超浮いてんじゃん。いじめられんじゃないかとかさ、
ずっと気になってたんだけど、なんか寄せ付けないような空気出してるから、
なかなか話しかけづらく・・ってぅおい!何泣いてんだよ!」
「うっ・・!私、知らなかった・・そんなに私のこと気にかけてくれてるなんて・・ひぐっ」
「ヴァカ!そんなんじゃねーよ!ただ珍しいだろ?こんな馬鹿学校に
あんたみたいのが一人いると」
「さびちかったんだねぇ、ヨチヨチ(ナデナデ)」
「うう・・・ごめんなさい、私、あなた達のこと、全然知らなくて・・」
「うーん・・・そうだ!自己紹介するよ!アタシはサキ。
んでこのちっこいのがカナ」
カナ「よろちくびー」
サキ「んでこっちのツンデレがチサト。ウチらはチサって呼んでるけど」
チサ「フン!」
晴子「サキさん、カナさん、チサトさん。私も改めて・・木谷晴子です。よろしく!」
サキ「さんづけなんてやめようよ。ウチらもハルコ、いやハルって呼ぶからさ」
晴子「うん。でも恥ずかしい・・」
カナ「恥ずかしくても呼ぶのっ!呼んでるうちに恥ずかしくなくなるって!」
晴子「うん!か・・カナ///」
カナ「こっちがハズイし・・w」

サキ「でも、そんな純情ハルちゃんも
あんなイケメンモノにしようってんだから隅に置けないねぇ?」
晴子「ちっ違う!モノになんて!」
サキ「じゃあどうしたいの?」
晴子「どうしたいって・・私はただ自分の気持ちを伝えて、
ダメならそれで気持ちの整理もつくし」
チサ「はあ?そんなんでいいわけないし。男はモノにしなきゃ意味ないんだよ。
そんな甘い考えじゃ気持ちも伝わんねーよ」
サキ「アタシもチサに同感だね。ハルは逃げてるだけじゃね?」
晴子「う・・だって・・・顔見たら話せなくて・・・私だって変わりたいよ!
今すぐ気持ちを伝えたいよ!でも・・どうしても無理なの・・」
カナ「あららら、ハルちゃんまた泣いちゃったよー」
サキ「ちょっと言い過ぎちゃったかな、チサ・・」
チサ「mmmmm・・・・よし!決めた!」
サキ「チサ?」
チサ「ハルは今日からウチらの仲間だ!」
一同「は?」
チサ「だから!コクれるくらい根性つけてやんだよ!楽しそうだろ?
それに見ろよ、ハルって地味だけど、結構かわいくね?
おっぱいでかいし、スタイルも悪くない。かなりいい線いくんじゃね?」
サキ「おお!たしかに!」
カナ「いい!チサそれサイコーだよっ!」
チサ「決まりだな。じゃあハル、そういうことだから、
ウチらのこと呼び捨てにしないとただじゃおかねーからな!」
晴子「・・・・・はい」
お母さん。入学して二ヶ月、初めて私にお友達ができました。

一部終わり

それからというもの、私の学校生活は激変した。
まず形から入るというチサの指示で、制服を着くずして登校するようにした。
ネクタイはつけず、シャツは出して、ソックスはルーズ、スカートは膝上・・ううっ。
スカートを短くしてから、街中で明らかに視線を感じるようになった。
私は隠したくていつも鞄でガードしている。
でも学校についてみると皆同じ恰好で少し安心する。
授業中はチサとカナとサキが話しかけてくるのでノートもとらなくなった。
そのうち授業中の先生の声も気にならなくなって、私も
皆と同じように時々机の上に座ってチサ達とおしゃべりするようになった。
チサ達と一緒にクラスの男の子達とも時々話す。
最初はモヒカンとかピアスの男の子が怖かったけど、
話したら皆すごく面白い人。
以前は考えられないくらい大声で話したり、手を叩いて笑ったり、
毎日がとても楽しくなった。

しばらくして、私は自分だけすっぴんで登校してることが恥ずかしくなってきた。
みんな香水もつけて綺麗にメイクしてるのに自分だけ・・。チサに相談したら、
「その眉を早く剃りたかったんだw」
とすごくうれしそうに言った。
さっそく私の眉毛は剃刀で剃られ、一気に細眉にされた。初めて鏡を見たときは
自分じゃないみたいでドキドキした。
サキ「眉だけで印象変わるな」
チサ「まるで別人じゃんw」
カナ「いやーん超カワイイんだけど!」
ということでメイクもしてもらうことに・・。
中学のとき何度かメイクしただけであまり経験のない私は
どんな風になるのかドキドキしっぱなしだった。
チサやサキは本当にメイクが上手で、まるで大人みたいな顔をしてる。
自分もそんな顔になっているのかな・・。
そして完成した自分の顔を見たとき・・・
私の中の何かが弾け飛んだ。

ハル「おはよ!サキ」
サキ「おはよ・・ってハル?!どうしたの?その髪!」
ハル「自分で染めてみたんだけど、変かな?」
サキ「ううん、すごくキレイ・・ただ、ビックリしちゃって・・。
いきなりそんな明るい色にすると思わなかったから」
ハル「そう?ならいいんだけど」
サキ「それにメイクもなんかパワーアップしてね?」
ハル「うん、昨日雑誌見ながら超練習したから。つけまつげ3枚つけると
目がおっきくみえるね!あとほら、カラコンもつけてみたんだ」
カナ「すごい、超カワイイ・・」
ハル「ありがと。あ、カナネイル変えたんだ」

自分がこんな会話してることが信じられない。
つーか人生こんなに楽しいなんて思わなかった。
メイクの腕次第で男のコの反応が変わり、面白いように優しくしてくれる。
そして何より、自分が輝いてるって実感がすごくする。
ギャルでいることで非日常を生きてるような、
何やっても許されるような、そんな不思議な感覚。
チサ「おはよ。おおハル、髪色いい感じじゃん」
ハル「あ、チサ!私こんなに変われるなんて思ってなかったよー」
チサ「ウチらの方がびっくりだからw制服の着こなしも完璧だな。
つーかトモキがさあ、あんたに話があるんだって」
ハル「

ハル「トモキが?なんだろう?」
チサ「なんだろう?じゃねーよ。告白に決まってんだろバカ」
ハル「えっ?マジで?どうしよう、私無理だよ・・」
チサ「ハルももう立派なギャルなんだからさ、ギャルらしくきっぱり断んなよ」
ハル「でも私、恰好変わっただけで中身は全然ダメだし・・」
チサ「大丈夫!アタシが保証するよ。ハルはもう昔のハルじゃねーから」
ハル「・・・・うん!頑張る!」

トモキ「俺さぁ、なんつーか、最初見たときから、ハルのことマジ気になってたんだよね」
ハル「はあ」
トモキ「つーかマジ、ハルのためならバイクとか売ってもいいっつーか、
そんくらい好きなんだよね」
ハル「うん」
トモキ「じゃあ俺と付き合ってくんない?マジで」
ハル「つーか、アタシ好きな人いるんだよね」
トモキ「は?マジで?」
ハル「うん。だからトモキと付き合うのムリだわ。ごめんね」
トモキ「でもさ、そいつと付き合ってるわけじゃねーんだろ?
だったらそれまで俺と付き合おうよ」
ハル「え?」
トモキ「俺マジだから。ハルにその気がなくてもいい。だから頼む!」
ハル「え・・困るよそんなの」
トモキ「いいじゃん、ハルが告ったら俺も身ぃ引くからさ。それでいいな?」
ハル「そんな・・私」
トモキ「みんなー聞いてくれー!今日からハルは俺のカノジョな!
手ぇ出したヤツはマジでボコるからよろしく!」
ハル「・・・こんなはずじゃ・・」

次の日
サキ「おはよ、ハル。あんたさあ、なんでオッケーしちゃったわけ?」
ハル「私は別にオッケーしてないんだけど・・」
サキ「でもちゃんと断ってもないんだろ?」
ハル「・・・」
サキ「はあ、ハルってほんとに・・」
トモキ「よぉハル!昨日はマジありがとな!今日はどこ行こっか!
俺さぁ、カラオケとか行きてーんだけど」
サキ「はぁ?昨日二人でどっか行ったの?
トモキあんたハルに変なことしてないだろーな」
トモキ「してねーし!俺がそんな風に見えっかよ!チューはしたけど」
サキ「してんじゃねーかよ・・。つーかハルはそれでいいのかよ」
トモキ「チューしたらハルがいきなり泣き出すからさあ、俺もさすがに
その後のことはできなかったけど、初めてだから緊張したんだよな?」
ハル「・・・うん」
トモキ「じゃあ今日はもっと気持ちいいことしような?やっべ起ってきたww」
サキ「ハル、あんた和巳君に告るんだろ?あんなヤツほっとけよ!」
ハル「でも、トモキも悪いヤツじゃないよ?昨日話してわかったの」
サキ「そういう問題じゃ・・!」
トモキ「おいハル!帰んぞー」
ハル「あ、うん。じゃあねサキ」
サキ「あ、ちょっと!・・・クソ」

ハル「アハハハハ!超ウケんだけど!アハハ!」
トモキ「でさあ、ユウキのやつミカと別れたあとソッコーリナとヤってっからね!」
ハル「マジで?アハハハハ!」

カナ「ちょっと、チサやばいよ〜。ハルがどんどんワルくなってるよ〜」
サキ「アタシ達のせいなのかな・・」
チサ「・・・・たぶん」

トモキ「よぉ、ギャル3人組!調子どーう?」
ハル「アハハ!調子どーう」
トモキ「俺らマジ相性最高なんだけど!体の相性もマジはんぱねーみたいなw」
サキ「下ネタはやめろっつーの」
トモキ「つか誰かライター持ってね?」
チサ「ああ、ウチらタバコ吸わねーから」
ハル「アタシ持ってるよ、ハイ(シュボ)」
トモキ「わりーな。ハルも吸うか?」
ハル「うん。(シュボ)あー・・うま」
カナ「ちょっとちょっと!ハルもタバコ吸うの?」
トモキ「俺が教えたんだ。セックスのあとの一服は最高だよなー」
ハル「(スパー)うん。マジ痺れるわ」

チサ「ハル!あんたほんとにそれでいいのかよ。和巳クンはどうすんだよ」
ハル「ああ、あれはもういいんだ。トモキの方が好きだし」
チサ「ヤケになってんじゃねーよ。てめーホントは・・!」
ハル「だって、私もう汚れちゃったし。タバコだって吸うし、処女も捨てたし。
今の私は和巳クンとは釣り合わないよ・・」
チサ「てめー本気で言ってんのかよ。なんのために今まで・・」
ハル「もうほっといてくんねーかな。説教ばっかでマジウザいから。
今が楽しければそれでいいじゃん。ねえトモキ?」
トモキ「ハルの言う通りだ。そんな野郎俺が忘れさせてやるよ(ブチュ)」
ハル「んっ・・トモキ(ちゅば)」
カナ「ハルちん・・・」


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