国際【海外事件簿】米国で台湾の“外交官”逮捕。断交ゆえの悲哀…と思いきや+(2/4ページ)(2011.12.29 11:00

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【海外事件簿】
米国で台湾の“外交官”逮捕。断交ゆえの悲哀…と思いきや

2011.12.29 11:00 (2/4ページ)台湾
12月11日、台北市内で行われた週休1日の実現を求めるデモで、プラカードを掲げるベトナム人労働者。約42万人の台湾内の外国人労働者にとって、劉事件は他人ごとではない(AP)

12月11日、台北市内で行われた週休1日の実現を求めるデモで、プラカードを掲げるベトナム人労働者。約42万人の台湾内の外国人労働者にとって、劉事件は他人ごとではない(AP)

 家政婦は11年7月、買い物先の食料品店で見かけたフィリピン人男性に助けを求め、8月に所長官舎から逃亡し事件が発覚。劉氏は10月に異動が決まったが、台湾に向け出国目前にFBIに拘束された。

所長は「外交官」か

 

 海外で初めての外交官逮捕という事態に、台湾当局は大きな衝撃を受けた。外交部は逮捕当日深夜、楊進添外交部長(外相に相当)が記者会見を開いて米国に対し「厳重な抗議」を表明するとともに、在台の米側交流機関の職員を呼び、劉氏の無条件釈放を要求。「支援チーム」も米国に急派した。

 台湾側が抗議の根拠としたのは、1980年に両者で締結された免税や不逮捕特権に関する協定だ。79年に米国が台湾との国交を断絶したのに伴い、米国の国内法「台湾関係法」の下で事実上の外交関係を継続するため、米台双方の政府職員らの身分を定めている。

 協定は、台湾政府職員に対し公務上、国交のある国の外交官と同様の不逮捕特権を認めている。このため、袁健生駐米代表(大使に相当)は「家政婦は政府が雇用したもので、(事件は)個人の問題ではない」と主張。「公務」を理由に特権適用を要求した。

 だが、現地の検察官は「米国は台湾を主権国家として承認していない」とした上で、劉氏のビザは一般企業の駐在員と同じ「貿易駐在員(E1)ビザ」で、「外交・公用(A1)ビザ」ではないとして不逮捕特権の存在自体を否定。一方、国務省の報道官は、協定による特権は認めつつも「職務の範囲内に限られる」として、逮捕は「公務外」の理由によるとの認識を示し、いずれも台湾側の要求を退けた。

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