政府税制調査会は六日、二〇一一年度税制改正に盛り込んだものの野党の反対で先送りとなっていた所得税の実質増税のうち、高所得者の給与所得控除の縮小や、短期間で再就職を繰り返す法人役員らの退職金に対する課税強化について、一二年度から実施するよう再び税制改正大綱に盛り込むことを決めた。政府税調は残る課題を調整した上で、九日に一二年度税制改正大綱を決める。
サラリーマンの収入から必要経費のみなし額を差し引ける給与所得控除では、高所得者の控除額に上限を設定。年収千五百万円超のサラリーマンの控除額を二百四十五万円で頭打ちとすることで実質増税になる。増税対象は給与所得者の1・2%に当たる約五十万人と見込まれている。
二酸化炭素(CO2)の排出量に応じた税率を石油石炭税に上乗せする地球温暖化対策税(環境税)も一一年度改正で新設が決まりながら導入が先送りされていたが、農林漁業用の軽油などに対する免税・還付を行う前提で、あらためて一二年度改正に盛り込むこととした。
一方、二十三〜六十九歳の扶養家族がいる納税者を対象とした「成年扶養控除」の見直しは野党の反対が強いため一三年度以降の課題とし、「社会保障と税の一体改革」の中で議論することとした。相続税の実質増税なども一体改革と合わせて検討する。
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