金正日総書記の葬儀を前に、拉致被害者蓮池薫さん(54)の兄・透さん(56)が朝日新聞の取材に応じ「拉致の首謀者として責任を直接追及すべき相手がいなくなってしまった。残念で、悔しい」と語った。
透さんは金総書記について「日朝首脳会談で拉致を認めて『特殊機関の一部が妄動主義、英雄主義に走った』と説明したが、彼こそ張本人。彼がいなければ弟を含む拉致被害者はこんなひどい目に遭わなかっただろう」と断じた。
一方で、薫さんと議論を重ねる中で「怒りと憎しみをぶつけるだけでは相手は動かない。北朝鮮がどう考えるか分析し、戦略を立ててあたらないと、拉致被害者は取り戻せない」とも考えるようになった。運動の先頭に立った拉致被害者家族会と今は距離を置き、「制裁路線の見直しが必要だ」と訴えている。