貯蔵施設受け入れ 福島県に要請
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貯蔵施設受け入れ 福島県に要請

12月28日 16時52分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

放射性物質を取り除く除染作業で出る大量の土などを保管するために福島県内に設ける中間貯蔵施設について、細野環境大臣は佐藤知事や原発周辺の双葉郡の8つの町村長と会談し、双葉郡内の年間の被ばく線量が100ミリシーベルトを超えるような高い地域で、国が買い上げるなどした土地に設置することを正式に要請しました。

細野大臣は28日、まず福島県庁で佐藤知事と会談しました。この中で細野大臣は、除染作業に伴って出る大量の土などを保管する中間貯蔵施設について、「双葉郡の中に作らせていただけないかというお願いをさせていただきたい」と述べ、避難区域を含む原発周辺の8つの町村がある双葉郡内に設置することを正式に要請しました。そのうえで細野大臣は、通常の除染活動で放射線量を下げるのが難しい年間の被ばく線量が100ミリシーベルトを超す地域で、国が土地を買い上げたり長期間借り上げたりしたうえで中間貯蔵施設を建設したいという考えを明らかにしました。これに対して佐藤知事は「非常に重く受け止めさせていただく。県としては、それぞれの町村長から意向を十分うかがっていきたい」と述べました。細野大臣は、知事との会談に続き8つの町村長とも会談し、双葉郡内への中間貯蔵施設の設置を改めて要請しました。福島県内では除染で出る土などは、地域ごとに設ける仮置き場に3年ほど保管したうえで中間貯蔵施設に搬入することになっていますが、貯蔵施設の具体的な設置場所などが決まっていないこともあって、汚染された土などが地域に留め置かれることへの懸念から仮置き場の設置に住民の理解が得られず、除染がなかなか進まない事態となっています。細野環境大臣は、記者団に対し、「双葉郡は、長年、東京や関東に電気を供給してもらっているにもかかわらず、こういったお願いをするのは申し訳ない気持ちでいっぱいだ」としたうえで、「除染は極めて重要で、それを進めるうえでも中間貯蔵施設は避けて通れない。どういった場所に作るかは、当然、厳しい意見があるが、あくまで県と市町村の理解が大前提で、そこを踏まえて対応していきたい」と述べました。環境省は、年明け以降、県や各自治体と協議を重ねたうえで、具体的な設置場所の選定などを進めることにしています。

会談のあと、原発を抱え、町全域が警戒区域に指定されている双葉町の井戸川克隆町長は記者団に対し、「言うことは何もありません。発言できませんでした。大臣からは具体的な話もされなかったので言うことは何もありません」と不満を隠し切れない様子で、問いかけにほとんど応じることなく、会場をあとにしました。

町の全域が警戒区域に指定されている大熊町の渡辺利綱町長は「重い宿題を突きつけられたような気がする。双葉郡全体としての問題でもあるので持ち帰ってよく検討していきたい」と述べました。また、細野大臣が被ばく線量が年間100ミリシーベルトを超す地域で中間貯蔵施設を建設したいという考えを伝えたことについて、渡辺町長は具体的な設置場所の説明はなかったとしたうえで、「大熊町は放射線量が高いところがあるが、私は線量が高いことを理由に中間貯蔵施設を作るという考え方はしていない」と述べ、被ばく線量の高い場所に施設を建設するという政府の方針に不快感を示しました。

また、町の大半が警戒区域に指定されている福島県浪江町の馬場有町長は「政府の要請には納得していない。中間貯蔵施設の設置はマイナスイメージが強く、福島県外に避難した住民が『やっぱり町には戻れない』という気持ちになるのではないかと思う。国との協議はあくまでもきょうがスタートで、今後、双葉郡の各自治体と何度も意見を交わしていきたい」と話していました。