心理学総合案内 こころの散歩道 (心理学講座)/ニュース/草なぎ剛公然わいせつ罪逮捕 (新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科:碓井真史)

SMAP草なぎ君逮捕から考える
アルコールの心理学2

異常酩酊、複雑酩酊、病的酩酊

2009.4.23

SMAP草なぎ君逮捕から考えるアルコールの心理学 1

酔いの程度(普通酔っ払い・単純酩酊)

体の中にどの程度アルコールが入っているか(血中アルコール濃度)によって、酔っている状態(酩酊:めいてい)は次のように分類することができます。
  1. 爽快期 : 気分が良くなる状態。酒気帯びの程度。
     
  2. 弱度酩酊(興奮期) : ほろ酔い気分。かたさが取れる程度。舌もなめらか。
     
  3. 軽度酩酊(酩酊第一度) : 軽く興奮して、おしゃべりになる。(抑制が取れてつい言いすぎも)
     
  4. 中等度酩酊(酩酊第二度) : まっすぐ歩けない。何を話しているのかわかりにくい。判断力が低下。
     
  5. 強度酩酊(酩酊第三度) : 立ってあるけない。意識もうろう。おう吐(はく)。
     
  6. 泥酔期(酩酊第四度) : 意識混濁。体温低下。死の危険も。
     
  7. 昏睡期 : 昏睡状態。糞尿失禁(おもらし)。死亡の危険性が大きい。
     
ゆっくり飲んでいれば、死の危険が迫る前に寝てしまうなど、飲めなくなりますが、一気に大量の酒を飲んでしまうと、危険な状態にもなってしまいます。
もちろん、死んでしまっては困りますが、ただこれらは単純酩酊(ふつうに酔っている)いて、その程度が軽いか、重いかの問題です。

異常酩酊(普通じゃない酔っ払い)

異常酩酊の中には、さらに複雑酩酊と病的酩酊があります。

複雑酩酊(量的な異常)

興奮の程度と、興奮の続く長さが、普通の単純酩酊よりも、ずっと強く長くなります。記憶もとぎれとぎれです。興奮して暴れ、手に負えず、ケンカによる傷害事件や、女性に抱きつくような性犯罪や性的露出、ひどい時には殺人に至ることもあります。
このような人々は、その人の中にあった性格や特徴が、酒によって激しく出たものと考えられます。
このような複雑酩酊、いわゆる「酒乱」の状態では、「大脳皮質のほとんどがマヒに陥り、道徳的な規範などが守れなくなっている状態」だといえるでしょう(『酒乱になる人、ならない人 』)。
飲酒等により記憶が飛ぶことを、ブラックアウトといいます。ブラックアウトは、アルコール依存症への第一歩とも考えられます(『危ない呑み方・正しい呑み方』)。
また、酒による問題を何度も起こしながら、それでもそ毛を飲み続ける状態を、アルコール乱用といいます。
(精神病院に通院歴のある人が犯罪などを犯すととても大きく報道されますが、実は精神障害者が起こす犯罪よりも、酔っぱらいが起こす犯罪の方がずっと多いのです。)

病的酩酊(質的な異常)

意識の障害が急激に起こります。とても興奮して、周囲の人間にとっては理解できないような言動、非現実的な言動をとります。今ここがどういう状況の場所なのかが、わからなくなります。記憶の障害がひどく起こり、自分のしたことを覚えていません。
幻覚や妄想が出てくることもあります。複雑酩酊とは違って、普段の性格とは関係がありません。それほど大量の飲酒ではないときでも、病的酩酊状態になることもあります。

今回のSMAP草なぎ剛さんの場合

今回の草なぎ剛さんの場合、何が起きたのかはまだわかりません。この日は仕事がなく完全オフだったそうで、羽目を外しすぎたのかもしれません。普段ため込んでいたストレスが一気に噴出したのかもしれません。

心や体に何かがあって、普段とは違う、異常な酔い方をしてしまったのかもしれません。

公衆の面前で全裸になりましたが、異性に見せるための性的露出ではなく、単純に裸になってしまったように思えます。

***

*お酒によるストレス発散は、お酒によってストレスのもとになるものから一時的に目をそらすだけであり、本当の解決にはなっていません。(『酒乱になる人、ならない人 』)

ストレス発散や、心が沈んだうつ状態をまぎらわすために、薬代わりに酒を飲むことは、危険な行為と言えるでしょう(『危ない呑み方・正しい呑み方』)。

(5.1:起訴猶予が決定)

(その後の報道によりますと、この数年酒癖の悪さを見せる場面があったと週刊誌などでは報道されています。)




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3:がんばれSMAP草なぎ剛、そして深刻なアルコール問題

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日本人の六人に一人は「酒乱」? 「酒乱」遺伝子を持っていて、かつ「下戸」遺伝子を持っていない人、あなたは、「酒乱」です。amazon
危ない呑み方・正しい呑み方 (マイコミ新書)★★★★★
アルコールは、肝臓よりも脳を壊す! 精神科医と して膨大な数のアルコール依存症患者を診察してきた筆者が、アルコールの知られざる危険性を警告。amazon
失踪日記★★★★★
マンガ家吾妻ひでおの実話自伝マンガ。自殺未遂・路上生活・肉体労働、アルコール中毒・強制入院の日々。
     

私が現在住んでいる新潟は、酒どころです。酒蔵の方とも知り合いになりました。たとえば、佐渡の尾畑酒造。こちらの方とお話していると、日本酒文化の素晴らしさを実感します。それは、世界にも認められ、尾畑酒造の「真野鶴・大吟醸」は、エールフランス(ファーストクラス・ビジネスクラス)の機内酒にも選ばれました。
機内は気圧の関係で酔いやすいので、地上以上にスマートな飲み方が求められますね
購入は、佐渡の地酒・北村酒店

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