政治【主張】武器三原則緩和 残る安保の宿題も見直せ2011.12.29 03:18

  • [PR]

政治

  • メッセ
  • 印刷

【主張】
武器三原則緩和 残る安保の宿題も見直せ

2011.12.29 03:18 主張

 日本の武器輸出を事実上、全面禁止してきた武器輸出三原則の緩和に政府が踏み切った。

 戦闘機などの国際共同開発・生産に日本が参加できるようにし、平和構築や人道目的で重機などの装備品を供与する場合は三原則の例外とする内容だ。

 三原則は米国への武器技術供与など一部の例外を除いて共同開発の道を閉ざした。結果的に防衛技術は競争に取り残され、防衛関連産業の停滞を招いた。日本の国防と国民の安全を危うくする弊害だったというしかない。

 緩和の意義は大きく、野田佳彦政権の判断は当然といえる。

 政府が航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)に選定したF35は米英など9カ国による共同開発だが、日本は三原則の制約で参加できなかった。

 平成24年度も防衛費は削られ、10年連続の減少となった。中国などが軍拡を進める中でこうした政策判断が続くのは極めて問題だ。一方で、厳しい財政下、調達コストは抑えなければならず、共同開発への参加は不可欠だ。

 防衛産業の裾野は広く、1千社から2千社に及ぶという。装備品調達の減少などから、すでに中小企業の転廃業が相次いでおり、安全保障政策と産業政策の両面からの立て直しが重要だ。

 人道目的などでの装備品供与が可能になることで、途上国に巡視艇を提供し、海賊・テロ対策の能力強化などに生かせる。緩和方針は国際貢献の目的にも合う。

 昭和42年に佐藤栄作首相が打ち出した三原則は、共産圏や紛争当事国などに限定して武器輸出を認めないものだったが、51年に三木武夫内閣の下で全面禁輸となり、法制化されないまま30年以上、防衛政策を拘束してきた。自民党政権下でも見直しが検討されたが「平和国家の象徴」とする反対論が強く、打ち出せなかった。

 集団的自衛権の行使を認めない憲法解釈や、相手の第一撃を受けてから初めて必要最小限の軍事力を行使する専守防衛も見直されぬまま放置されてきた。国連平和維持活動(PKO)での武器使用も国際標準である公務執行を妨害する行為の排除を認めていない。

 民主党政権は引き続き政策転換を行い、外交・安保政策の危うさを克服すべきだ。党派を超えた課題として、自民党もさらに積極的に協力してほしい。

  • [PR]
  • [PR]

[PR] お役立ち情報

PR
PR

編集部リコメンド

このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。
© 2011 The Sankei Shimbun & Sankei Digital