きょうのコラム「時鐘」 2011年12月29日

 消費税がどうなるか分からないのに「上がったつもり」で年金の財源にすると言うのだから、民主党政権も大胆なものだ

問題の交付国債は「とらぬ狸(たぬき)の皮算用(かわざんよう)」に似ている。落語の「長屋の花見」のようなものでもある。たくあんが卵焼きのつもり。お茶がお酒のつもり。どれも「本物のつもり」でいただくのが、貧しい長屋の大家(おおや)さんと店子(たなこ)の約束だ

花見なら罪はない。が、花見のころまで大家さんは無事におりますかね。あの原発事故を「収束したつもり」という人だから、そのうち「復興したつもり」といいかねない。自民党も民主党を「やっつけたつもり」。官僚は「財政再建できたつもり」。いやなことはみんな先送りにして、解決したつもり

つもりが積(つ)もり積もって、そんな国はどこへ行く。冷たいすきま風が吹きこむぼろ長屋に住んでいる国民が「豊かなつもり」にならないか心配だ。そう言うと「お前は何様のつもり」と、おしかりを受けるのだが、茶柱が立つ「おちゃけ」で酔っぱらう芸当はできないだけだ

お年玉をもらったつもりで、おもちゃ屋へ走る無鉄砲(むてっぽう)な子どもはいない。