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職場へ向かうすべての人へ送る、仕事がデキて「うつ病」にならない10のリスト

11/12/26 職場へ向かうすべての人へ送る、仕事がデキて「うつ病」にならない10のリスト このエントリーをはてなブックマークに追加

New office
New office / Phillie Casablanca

誰でも仕事で落ち込むことはあるでしょう。リセットする間もなく、次々と降りかかる無理難題をクリアし続ける必要がある現代のビジネスシーンでは、うつ病はどんなに強そうな人でもある日突然かかる病気です。人の心は弱くて脆いのです。

「うつ」とよりそう仕事術

二度のうつ病からの復職を経験し、現在もうつと付き合いながら職場へ向かっている著者によって書かれた本です。うつから復職することを目的とした他の関連本とは一線を画し、復職後も継続してしっかり仕事できることを目指した内容になっています。

うつはちょっとした不安がきっかけで再発します。著者の日々の工夫から得た、うつを未然に防止する、ストレスを極力貯めない合理的な仕事術が紹介されています。健常者にとっても理想的な仕事の進め方になっています。

本書で紹介されている42の工夫のうち、特に意識したい内容を、10個のリストにまとめました。

P1060333.JPG

1.情報を遮断する時間をつくる

道具は一切必要ありません。

1か月に一度、一時間でもよいので、家族とも会わず、何も見ず、何も聞かず、一切の情報を遮断する時間と空間を確保するだけです。

イメージとしては、座禅に近いでしょう。

via: P42

情報過多の時代です。ずっとインターネットを見続けて情報をシャワーを浴び続けている時があります。明るい、面白い記事を読む一方で、マイナスの情報・ニュースも浴び続けてしまい、いつの間にか落ち込んでいることがあります。最近は、震災・原発事故の話題です。事実を見つめることは重要ですが、あまりのめりこみすぎると、未来に希望が持てなくなってきてしまいます。

定期的にボーっとする時間を作って、脳を休めることが大切です。散歩に出るのも良いでしょう。室内のオフィスにずっといると、悶々とした気分になります。10分でも外を歩くことで、頭の中が整理されます。定期的に散歩に出て頭をスッキリさせましょう。

睡眠も大切です。睡眠中は情報が遮断され、記憶を整理しながら、脳を休めます。十分な睡眠はうつの防止・治療に有効です。


Save Money / 401K

2.一年分の生活費を貯金しておく

家内はおもむろに札束を4つ、400万円を私の前に積み上げてこう言ったのです。

「最低でもこれだけの貯金はあるの。だからお金のことを心配する必要はないでしょ?」

一個人のプライベートにおける些細なエピソードにすぎませんが、私は家内のこの思いがけない行動でお金の恐怖に打ち勝つことができました。

via: P50

お金の切れ目は縁の切れ目と言われるように、お金は現代社会において普通の生活を送るために、なくてはならないものです。お金に不安を抱えていると、ストレスが増大します。

住宅ローンも不安因子です。これからは人口が減っていくため、買った値段以上で不動産が売れることは、まずありません。将来30年間、同じ土地に縛られて高い家賃を払い続ける予約をするようなものです。購入するのであれば、ローンはできるだけ減らして、できればキャッシュで購入しましょう。それが出来ないのであれば、安い借家を借りて、じっくり貯蓄するほうがセーフティーです。


Datacon BBQ 2009 / Meindert Arnold Jacob

3.趣味の交友をつくっておく

いざというとき、家族は「血のつながり」が、学友は「昔からのしがらみ」が、会社は「金銭、損得の物差し」が働いてしまい、一個人を支え、励ましてくれる関係にはならないこともあるでしょう。

何がキッカケの出会いでもかまいませんが、健康であれ、うつ病であれ、素の自分でいられる、気のおけない人間関係を作っておくようにしておくことはとても重要だと思います。

via: P54

「趣味は仕事」という方も多いと思います。一番効率が良い生き方のように見えますが、一方では危険な考え方と言えます。新しい技術や価値観の登場によって、一つの市場があっという間に蒸発してしまうことは、最近では良くあることです。レコード盤がCDへ、そしてネット配信に移行してしまったことは、良い例です。

スペシャリストの時代と言われていますが、一つのジャンルで極めるのは、相当の努力が必要です。二つのスキルを組み合わせる「クロススキル」の有用性が言われています。趣味は趣味で楽しんで、仕事とは別の仲間と交流することで、違った刺激を受けることができます。


GTD / febuiles

4.仕事は頭の外で管理する

うつ病を患うと、その頭の中がいちばん信じられない場所なのです。信じられない場所で手順を思い浮かべても、やはり信じられません。

ところがGTDでは「頭の外で管理する」ことを提唱しています。ここが最大のポイントです。

信じられない頭ではなく、頭の外に細かく手順を書き出し、客観的にこの手順で間違いないこという確証を得ることができれば、間違いなく仕事は前に進められます。

ですから、わたしはうつ病を患っている人に最適な仕事術は「GTD」だと考えています。

via: P67

仕事をしていると、なんかもっとやらなければいけないことがあるのではないか、なにか忘れているのではないか...。そんな根拠のない不安に駆られることがあります。GTDとは、そんな不安を解消するために、先ず頭の中にある気になることを全部書き出して、フローにしたがって一つ一つチェックして、次のアクションを考えていく手法です。

GTDでは、2分以内で終わる作業はその場でやってしまうルールがあります。すぐやれることはすぐにやってしまえば、後で「なにかやり忘れているような気がする」ということはなくなります。スッキリした気分で仕事に向かえます。


Trash at the park / billaday

5.仕事を圧縮するという考え方

・無駄なことをいくら効率的にやっても、それが重要になることはない
・たとえ多くの時間を費やしても、それが必ず重要な仕事になるとは限らない。

ということなのです。

物事をラクに早くやることは、ビジネスを進めていくうえでとても大切なことですが、うつ病を患っている者にとっては、ラクに早く「無駄なこと」をやっているだけの余裕はありません。

「どうやってやるか」も大切ですが、「何をやるか」を決めるとともに、「やらないこと」を決めるほうがはるかに重要です。

via: P81

誰でも知っているビジネスの法則があります。もう聞きすぎてしまっていると思いますが、重要なので敢えて今回も書きます。パレートの法則によれば、成果の80%は、20%の仕事から上がるのです。つまり、20%の重要な仕事に集中することで、短時間で大きな成果を得ることができます。

目の前のタスクを効率的に片付ける方法を考えることが仕事ではありません。重要な20%の仕事を見出し、80%を他に委譲し続けることが仕事なのです。「自分がすべきタスクは何か?」を考え続けましょう。


Starting Sequence / saturn ♄

6.「小さなスタート」を切っておく

・会議資料を作る......パワーポイントで資料の一枚目だけ取りあえず作っておく
・膨大なデータ入力......一行目だけ取りあえず入力しておく
・見積もりを作る......宛先だけ取りあえず入力しておく

うつ病を患っている方は、なにか始めるときに「自分にできるだろうか?」という不安に駆られると、それをきっかけにドンドン落ち込んでしまうそうです。

不安につけこまれる前に、始めてしまうことが大切です。

via: P86

有名な作家が「良い作品を書くためには、まずは机に座ることが大変だ」と嘆いているように、何かを始めるのは億劫なものです。しかし、ちょっと助走をつけてあげるだけで、スムーズに仕事に入れます。力学の摩擦力の法則と同じです。車も発進時に最もエネルギーを使います。


Epsom Derby 2010 - Workforce cantering down to the start / monkeywing

7.大逃げを打つ

うつ病を患っていると、日割りしたとおりに仕事をこなせる見通しは立たず、火事場の力を発揮する前に心が折れてしまっていることも十分考えられるので、この方法には無理があると言わざるを得ません。

ではどうするか?答えは「逃げ切り」です。

競馬で言えば、「差し」や「追い込み」ではなく、「大逃げ」するくらいの勢いで、前半でケリをつけてしまうしかないのではないかと、私は思って実行しています。

via: P113

デザインのような、創造力を強く発揮する仕事であれば、締め切り前の火事場の力で覚醒を狙う方法もあるかもしれませんが、普通の業務では、スペックを満すラフなフレームを最初の時点で作ってしまったほうが、効率的です。ホームページであれば、ラフスケッチ。プログラムであれば、簡単なプロトタイプを作ってしまうイメージです。

途中で仕様を変更すると、最初からやり直しになってしまいます。始めの時点で、周囲からコンセンサスを得るためにも、最終イメージが共有化できるレベルまで、一気に立ち上げてしまったほうが効率的です。関係者から「ここは難しい」といった意見を早めにもらえることで、バックアッププランを考える余裕ができます。「大逃げ」の仕事スタイルは、誰でも意識したい理想的な仕事の進め方です。


Office / Jono Haysom

8.半径50cmを整理整頓する

『気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ』(リズ・ダベンポート著 草思社)という本によれば、平均的なビジネスマンは、探し物をするためだけに、1年間で約150時間を費やしているそうです。

うつ病を患いつつ仕事をする上で、落ち込みを誘発する可能性のある要因は小さいものでも甘く考えずに対処しておくことに越したことはありません。

via: P116

私自身の行動を振り返っても、150時間はかなり良い線を行っている数字だと思います。探し物は、貴重な時間を奪い、肉体的・精神的に疲労します。モノが溢れると、モノの数だけ世話をする数が増えるので、漠然とした不安が増加します。

断捨離して、家の中のモノを徹底的に処分できることが理想です。取りあえず机の上だけはいつも綺麗にしておくことで、作業効率も上がり、頭も冴えるようになります。先に述べたように、大掛かりな断捨離への「小さなスタート」にもなります。


Life Guard / JoshuaDavisPhotography

9.ワークライフバランスではなく、クオリティオブライフ

ワークとライフは、どちらに比重を置くべきだというような捉え方ではなくて、「ライフの一部にワークがある」と考えたほうがニュートラルではないかと思っています。

via: P182

ワークライフバランスと言う言葉には、私も違和感を持っています。なぜなら、仕事上の良いアイデアは、プライベートの時間にひらめくことが多いですし、仕事中にプライベートの時間をより楽しく充実するためのヒントを得ることもあるからです。アイデアは、机に向かって云々考えているより、全く別のことをしているときに、別の知見が合わさって誘発されるものだからです。

一年に一度、一週間海外旅行に行くために、わき目も振らず毎日をガムシャラに働くよりも、日々、新しい発見があったり、工夫したりする生活のほうが私は楽しいです。仕事とプライベートで別の顔をするのではなくて、いつも同じ顔で自然体でいられるのが一番です。


Letters Play Important Roles in our Lives / William Arthur Fine Stationery

10.感謝の言葉を伝える

励ますのではなくて、「ほめる」ことに重点を置いてあげて欲しいと思います。

直接言いにくいのなら、メールでもOKです。「サンキュー」「助かったよ」「いやー援助がなかったらヤバかった(笑)」などなど、小さなことがあっても、感謝のことがやホメ言葉をかけてもらえると、それが徐々に自信になっていきます。

via: P197

褒められれば、嬉しいです。逆に考えれば、周りの人を褒めたり、感謝の言葉を伝えることで、周りから信頼を得やすくなります。自分を褒めてくれる人、認めてくれる人になびいて行くものです。

無理にお世辞をいったり、媚を売る必要はありませんが、周りから何かしてもらった時は「ありがとう」の感謝の言葉、そして、「さすがだねー」といった褒め言葉を付け加えることで、相手との距離がグっと縮まります。


大学病院通路 / Yuya Tamai

●早めの受診を

薬を過度に心配するあまり、治療が後手に回るくらいであれば、早急に服薬したほうがよいと私は実体験として感じています。

via: P22

うつ病という病は、「病は気から」を正直に信じて、頑張れば頑張るほど悪化するという病気であり、そもそも頑張ることができなくなってしまう病気なのです。

私たちは機械ではなく、心がある人間なのですから。心というのは自分が思っている以上にもろく、傷つきやすいものなのです。何かと完璧が求められますが、心は完璧になりようがない、不安定な代物なのです。

via: P202

ITが普及して色々な作業が効率化していく中で、時間当たりにアウトプットすべき成果の量は飛躍的に増加しています。アメリカで普及した技術やビジネスモデルをコピーして莫大な収益が得られた昔とは違い、常に新しいアイデアを創造し続けないと、競争に勝てない時代です。幾らITツールが便利になったとしても、人間自体の構造は昔も今も変わりません。そろそろ物理的な限界に近づいている気がします。

サラリーマン、ビジネスマンは、そんなギリギリの狭間で、毎日格闘しています。体が、脳がエンストしてしまうもの、無理はないと思います。

本書では、自分の変調に気がついたら、医療機関への早めの受診をお勧めしています。一度負のスパイラルに入ってしまうと、もがけばもがくほど症状が悪化していくものだそうです。自分はうつになるはずはないと決め付けずに、日頃から客観的に自分を見つめなおすことが大切だと、つくづく思いました。

今日のわかった

実は秋に私も体に変調がありました。夜中に起きてしまい、眠れなくなってしまうのです。昼間もボーっとしていました。もしやこれは「うつ」かもしれなと思って、色々調べてみたところ、原因はコーヒーの飲みすぎでした。後から考えれば、なんでもないことでしたが、当時はどうにもならない変調に、かなり心配しました。

本書を読んで昼食後の散歩を始めました。15分程度ですが良い感じです。ストレスを貯めないようにしていきたいです。

※本書は著者の酒井一太さんより、献本頂きました。素晴らしい本をありがとうございました。

書き手のプロフィールはこちら ⇒ かん吉プロフィール

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