企画記事
総勢80名のゲームクリエイター/ゲーム業界著名人に聞いた「2011年の注目タイトル」と「2012年に向けてのメッセージ」
ソニー・コンピュータエンタテインメント
エグゼグティブプロデューサー
池尻大作
代表作:「みんなのGOLF」シリーズ,「AFRIKA」「ニッポンのあそこで」「スーパーマリオ3Dランド」
ハードとソフトを供給しているメーカーとして、任天堂さんのゲームは常に意識して遊ばせてもらっています。
個人的には、3DSはハード発売当初は3D立体視を有効的に活用しているソフトが少なく感じました。そこに満を持して、タイトルに3Dを込められたオリジナルのマリオの登場。期待も高まるというものです。いざ遊んでみると、全方位、つまり全てのユーザーに配慮があるゲームに仕上がっていました。
まず3Dといえばカメラが後方視点の奥行きのあるゲームが一般的だと思いますが(マリオ64とか)、あえて2Dベースに少しだけ奥行きを加えるというあまり見られないデザインに。基本2Dベースのゲームかと思いきや、上空から地面に飛び降りたり、クォータービューになったり、画面奥から手前に走ったりと多彩なステージ進行があり、飽きさせません。そこに3D立体視がスパイス的に効いてきます。
2Dベースなのはおそらく3Dのゲームが初心者には難易度が高いからではないか、と推測します。カメラを操作することなく、マリオだけを操作することに専念させ、ステージ側で3Dを演出やギミックとして使う。古くて新しい不思議な感覚はこの2Dと3Dの自然な融合にあるのではないかと。
それでもゲームが苦手な人の救済策として、無敵アイテムまで登場。正直、やりすぎかもと感じましたが一周目をクリアしたのち、二周目からはアイテムが出なかったことから、「あぁ、一周目は長い長いチュートリアルだったんだな」とすら思えてきました。それくらい、3D立体視に慣れてこのゲーム機を買ってよかった、と一人の脱落者も出すことなく、全てのお客さまに感じてもらおうという作り手の思いが入っているように思います。
・・・とまぁ、勝手に作り手の気持ちを独自解釈してだらだら書いてますが結局言いたいことは我々もPlayStationプラットフォームにおいて、常に「このゲーム機を買ってよかったな」と、お客様に満足感を与えられるようなゲームを今年も作っていかなければ、と身が引き締まる思いでありまして、遊んでいるのに胃がキリキリする複雑な心境でございます。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」
映画館で映画を観るなら大画面で3D映えするものか、ここで観ておかないとDVD化もあやしいマイナーな映画(最近そういう映画はほとんどないですが)、と両極端な嗜好なのですが、『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』は過去最高の3D体験でした。全編にわたってとにかくど派手、大迫力!
このシリーズ、異常に実写とCGの馴染みが良くっておよそCGらしさが感じられません。
オートボット達がみんな実在する生命体に見えてくるくらい。
機械生命体なのに感情豊かでキャラが立っているのもこのシリーズの魅力。
映画でもゲームでも、シリーズが続くとなかなか前作を上回るのが難しいと思うのですが、トランスフォーマーは今作が一番ドンパチが派手で面白かったです。正に目のご馳走、大満足。お腹一杯で映画館を後にしたのを思い出しました。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
「荒木飛呂彦先生」です。
今年はマンガだけでなく、ホラー映画の評論本を出版されました。映画100本ノックともいえるその内容は映画にリスペクトが溢れ、およそネガティブなことがほぼ書かれていない珍しい評論集でした。
そして長く続いたジョジョ7部が終わり、8部がスタート。作家生活30年をすぎても一向に衰えることなく独創的でマンガならではのウソや外連味たっぷりの作品を描き続けている驚異的なバイタリティに感銘します。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
昨年はMoveとVitaで異なる『みんGOL』のリリースに携わることができ、忙しいながらも充実した1年でした。
いずれも当初の予定通りに発売できたのでとりまず『アンチャーテッド』のような超大作ゲームから、『みんなといっしょ』のようなソーシャルとコンシューマーの架け橋となるようなゲームなど幅の広さと目新しさがSCEの持ち味だと思うので、ユーザーの皆さんの期待をいい意味で裏切るような面白いゲームを今年も作っていければ、といろいろ画策中です。
どうぞお楽しみに〜
『人喰いの大鷲トリコ』クリエイティブディレクター
上田文人
代表作:「ICO」「ワンダと巨像」「人喰いの大鷲トリコ」「Portal2」
Portal2はナラティブ的にとか、ビリーバブルとか、ビデオゲーム表現として突出したところは多々ありますが、ステージの真ん中でキューブとタレットが融合した変なメカがぽつんと蠢いている、ああいった表現アイデアが本当に素晴らしい。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
映画だと『わたしを離さないで』『トゥルーグリッド』『八日目の蝉』が記憶に残ってます。
テレビ番組では比較的『ほこxたて』をまめに観てました。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
「スティーブ・ジョブズ」
ものづくりにおいて“美学”という言葉は、ここ最近ではそれほど奨励される言葉では無かったと思うのですが、その必要性が再認識されたような気がしてます。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
毎回、生みの苦しみを味わいつつも、期待に応えられるようスタッフ一同、『人喰いの大鷲トリコ』を鋭意制作中です。
クリエイティブディレクター
外山圭一郎
代表作:「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動」「セインツロウ3」
ゲームデザイン上の革新性やオリジナリティは特に無い作品ですが、バカ方面への振り切り感が半端なく、かつて大好きだった洋ゲー=バカゲーの頃を思い起こさせてくれました。
一旦ポーズをかけ、しばらく腹かかえて笑った後にゲーム再開、ということも度々。
「タイガーエスコート」は特に衝撃的で…。
「トラの怒り」というパラメータをゲーム史上で初めて見ました。今後も無いでしょうが。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
「Garage Band」(iPad)
私は楽器が全く弾けないのですが、一生縁が無いと思っていた演奏の楽しさを、テクノロジー、特にマルチタッチインターフェイスによって味わうことができたというサプライズ感がありました。
この後も「iKaossilator」「ThumbJam」「Animoog」等マルチタッチを活かした演奏アプリが続々と登場し、楽器の概念が大きく変化していく兆しを感じました。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
「の子」(神聖かまってちゃん)
仕事上のプレッシャーと震災後の不安感のせいか、今年は映画を観たり腰を落ち着けてゲームを楽しんだりという機会が例年より少なく、電車の中で「神聖かまってちゃん」を繰り返し聞いている時間が長かったように感じます。
強い感受性と内面の吐露による曲作りのの子さんが、一生忘れられないであろう今年の空気感の中でどういった曲を紡ぎ出すのか、大きく注目しています。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
2月9日に『Gravity Daze/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』が発売となります!
新ハード初期段階に発売するゲームとしては異例の期間と規模のプロジェクトで、幾多の困難を乗り越え、非常に斬新なゲームになったと自負しております。
PSストアにて体験版を配信中ですので、是非実際に触れてみてください!
プロデューサー
谷口新菜
代表作:「リトルビッグプラネット」シリーズ,「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」「WARHAWK」など「The Elder Scrolls V : Skyrim」
前作でもかなりはまって人に言えないくらいの時間を費やしたので、今作もかなり期待していました。
これほどまでにはまらせてくれるゲームはなかなかないです。
まだスカイリムに生を受けてちょっとしか経ってませんが、もうこの世界の魅力にうなり続けです。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
「ソーシャル・ネットワーク」(映画)
デヴィッド・フィンチャー監督の映画が出ると必ずと言っていいほど観に行っています。
出だしのスピード感、場面の切り替えや音楽の使い方が秀逸。
時代を象徴する題材であることは間違いないですが、ラストシーンにはいろんな意味で考えさせられました。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
2012年の発売に向けて現在「STARHAWK」を鋭利制作中です。
「WARHAWK」ファンの期待を裏切らない内容なのはもちろん、新しい要素盛りだくさんで初めてプレイするユーザーの皆さんにも楽しんでいただけると思います。
来年にはβテストを開催予定ですのでお楽しみに!ぜひ、みなさん宇宙大戦争にご参加ください!
これからも良作の海外ゲームをたくさん皆さんにお届けしていきますので、よろしくお願いします!
アソシエイトプロデューサー
山際眞晃
代表作:「TOKYO JUNGLE」「ダークソウル」
ハードの表現能力があがり、グラフィックや世界観だけでは差別化がしづらくなってきた昨今、コンセプトの切り口と徹底で、差別化を実現したのが素晴らしいです。
中でもコンセプトを活かしたネットワークの対人システムは発明だと思います。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
『鈴木先生』『マルモのおきて』『家政婦のミタ』
ある人の教えで、毎クールすべてのドラマの1話目をみて、何が評判になるかを予想するようにしているのですが、その中で一話目をみたときに違いを感じて、世間的にも話題となったドラマです。
今の世相に受ける要素がわかり参考になります。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
『スティーブ・ジョブズ』
注目ゲームと同じ理由なのですが、あらゆるものが溢れ返っている今、コンセプトの切り口と徹底で差別化を実現した最大のヒットメーカーだからです。もう新しい商品がみれないと思うと残念でなりません。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
『TOKYO JUNGLE』をお待ち頂いている皆様! ながらくお待たせしてスミマセン!
年明けにどかんと色々発表できそうなので、もう少しお待ち頂ければと思います。非常に良いものに仕上がっておりますのでご期待下さい!
エクスターナルデベロップメント部部長
山本正美
代表作:「勇者のくせになまいきだ。」シリーズ「みんなといっしょ」(PS Vita)
身内のタイトルなので反則かも知れませんが・・・開発には関わってませんので!
2011年は、コンシューマーゲームとソーシャルゲームの差、あり方、存在理由などが、色んな側面から語られるシーンを多く見かけた年でした。
不毛な二項対立が多かったそれらの議論を尻目に、コンシューマーゲームにおけるソーシャル要素の与え方、という意味で、軽やかにそのひとつの解を「遊び」として見せつけてくれたタイトルだったと思います。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
「映画:SUPER8」
監督のJJエイブラムスとプロデューサーのスピルバーグによる、まさにコンビ芸といった映画。
スピルバーグの編み出した演出手法を、エイブラムスがいわば弟子として継承して魅せてくれました。
10歳の息子と観に行ったんですが、彼と同じシーン、同じタイミングでドキドキできるその芸風の幅に、ああ、こんな土台のゲームを作りたいなと感じたのを思い出します。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
「園子温」(映画監督)
多分、園監督を挙げる方はたくさんいらっしゃるでしょうね。
「冷たい熱帯魚」「恋の罪」には、もの凄く大きなインパクトをもらいました。
2012年にはヴェネチアでも高い評価を受けた「ヒミズ」も公開されますし、目が離せないクリエイターです。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
2011年は、痛ましい災害が多く発生した年でした。被害に遭われた方の中には、ゲームが大好きな人たちもたくさんいらっしゃったと思います。クリエイターというものはセンシティブなもので、このままゲームを作り続けることにどれほどの意味があるのか、と悩んだ人もいました。
しかし、時間がいろんな傷を癒してくれることがあるとしたら、次に必要なのはエンタテインメントなはずだ、と鼓舞し合い、現在まで制作を続けてきました。
2012年は、そういう思いを越えて完成に漕ぎ着けるタイトルが幾つかリリースできる年になると思います。
ゲームには、僕らの知らない力がまだまだあるはずと信じています。ぜひご期待ください!
SCE WWSプレジデント
吉田修平
代表作:「サルゲッチュ」「クラッシュ・バンディクー」「レジェンド・オブ・ドラグーン」「ダークソウル」
忙しい時期にハマりまくって家と会社で2キャラ同時進行し、家のキャラが2周目に突入した時には6才の子供たちから後ろで指示を受けるようになった事。
久しぶりに「1日中何をしていても同じゲームの事を考える」状態に。
PS3が近くに無い時はニコ動で上手い人のプレイを見て過ごした事もいい思い出です。
Twitterで自分の体験をシェアし、上手い人にアドバイスを受けた事もいい思い出です。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
「スティーブジョブズ」
エンターテイメント作品ではないかもしれませんが、故ジョブズの自由人ぶりがとても楽しめました。
映画では「Super 8」でしょうか。主役の女の子がかわいい。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
「宮間あや」
決勝のアメリカ戦でのホープ・ソロとの話でファンになりました。 なでしこは今年のMVPと思うので、W杯後余り報道されないのが残念です。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
待ちに待ったPS Vita発売が叶いました。
応援していただいた皆さん全てに感謝しています。
これからもっとハードを使いこなし、面白新しいソフトを沢山作っていきますのでご期待下さい。
Turn 10 スタジオ シニアゲームデザイナー
谷口 潤
代表作:「Forza Motorsport」シリーズなど『The Elder Scrolls V: Skyrim』
ボリューム、自由度、冒険への没入感。自由度を重視する傾向のゲームが陥るドラマの起伏喪失や、イテレーション作業の退屈感がありません。UIに若干疑問は残るものの、遊びやすさやどこにいっても難易度が調整されている事にも遊び心地よさを感じます。
『FIFA 12 ワールドクラス サッカー』
どれだけのゲームモードを詰め込んでいるんじゃー! とびっくりする程、濃い一本です。2人の選手で一斉にディフェンスを仕掛けていける事や、カードゲームの要素を取り入れたモード等、このタイトルもあくなき進化を毎年遂げていますね。毎年の進化に目が離せません。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
トヨタ「 86 」とスバル「 BRZ 」。
久々の後輪駆動BOYS RACER! まだ発売されていませんが、こんなに話題をさらう日本発スポーツカーに熱くなっています。
「池上彰氏のそうだったのか!」シリーズと彼の活動 。
昔から教科書に書かれていない事が大好きです。池上氏は、世界情勢や歴史に興味がなかったあらゆる世代を引き込んでしまいました。これを読んで、レースゲームも、もっと多くの人に楽しんでもらえる手法がある筈と自問自答しています。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
「バッド・ロボット・プロダクションズ」( Bad Robot Productions )
LOST、 SUPER8/スーパーエイト、スター・トレック、ミッション:インポッシブル等のTV番組や映画を制作しているJ・J・エイブラムス率いるクリエイティブ集団。
「トップ・ギア」
今年も破天荒なカーエンターテインメントを茶の間に届けてくれる筈。
「次世代FPS」
個人的に2011年はもう少し革新的に進歩したデザインのFPSタイトルを待ち望んでいたが、少し期待外れだった感が…。
「NEXT Facebook」
全ての業界がFacebookに対応している事に驚きがなくなったが、次の驚きの一手はFacebookから出るのか、またはそれを覆す新たなトレンドがソーシャル業界以外から出てくるのか?
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
Xbox 360専用ソフトの『Forza Motorsport 4』を2011年10月に発売しております。VGA ( Video Game Awards 2011 ) では、BEST DRIVING GAMEの賞を頂き、2011年は本当に多くの賞を頂きました。今回の 『Forza Motorsport 4』 では、Kinectでの新しい体験を始め、カークラブやライバルモードといった新規要素を盛り込んでいます。是非一度手にして頂き、最高のレースゲームを存分に楽しんで貰いたいと思います。
発売後の現在も、毎月追加の新車両をダウンロードコンテンツとしてお届けしています。こちらもまだまだ楽しみにしていて下さい。
最後にですが、2012年もゲーム業界とエンターテインメント業界が元気であり、皆さんに期待と喜びをお届け出来る一年である事を心より願っております。我々のTurn 10 スタジオにも注目と御期待を今後とも宜しくお願い致します。
チュンソフト ディレクター/シナリオ
打越鋼太郎
代表作:「極限脱出9時間9人9の扉」「極限脱出ADV善人シボウデス」「シュタインズ・ゲート」
Xbox版が発売されたのは2009年末のことですが、ぼくがプレイしたのは今年発売されたPSP版なので要件を満たすかと思います。
さて、シュタゲの何がすごいって全部すごいです。アキバという舞台設定。多用される2ch語。携帯電話というガジェット。SERNやジョンタイターの使い方。厨二病の主人公。その他のキャッチーなキャラ設定。各種造語の語感。「選択しない」を選択肢にしたところ。量子物理学に対する造詣の深さ、説得力。UI。曲。そしてシナリオのすべて…。感動、葛藤、伏線の回収の鮮やかさ、見事としか言いようがありません。ライターの林さんには本当に頭が下がる思いです。
ADVゲーム好きの方で、まだシュタゲをやっていないという方はぜひ一度プレイしてみてください。強くお薦めします!
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
『魔法少女まどか☆マギカ』
構成の巧みさが光る逸品。ミステリ的な要素もあるため序盤からグイグイと惹き込まれました。
これはシュタゲにも言えることですが、最終的に劇中の世界と現実の世界を説得力のある方法でリンクさせている点も秀逸です。キャラの造形も見事。ある意味ギャルゲー的なメソッドを現代的一般的なものへと昇華させた作品であると言えるでしょう。
「アニメなのに一般的?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、観てみればわかります。まどマギは確実にどんな大人が観ても楽しめる(感動できる)エンターテイメント作品です。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
ダンガンロンパのシナリオライター『小高和剛』さん。
ダンガンは2010年末にリリースされた作品ですが、知名度がぐんと上がったのは今年に入ってからだと思います。これまた非常に優れたミステリ系ゲームのうちのひとつです。中盤からの疾走感がハンパなく、やめどころが見当たらない作品。各話の謎解きも非常によく練り込まれていて感心することしきりなのですが、その謎解きへと至るまでのキャラとのやり取りも秀逸です。
ひとことで言うと、抜群の会話センスがある。だからやっていてまったく飽きないんですよね。素晴らしいライターさんです。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
2012年は私がディレクション・シナリオを担当した作品【極限脱出ADV 善人シボウデス(3DS版/PS Vita版)】が発売される年です。発売日は2月16日。上に挙げた諸作品とはまたひと味違ったサスペンス仕立てのADVになっています。
劇中のゲームである『アンビデックスゲーム』では、プレイヤーに【協力】を選ぶか【裏切り】を選ぶかの判断が迫られます。そしてこのときの決断によって、物語は大きく枝分かれしていくことに…。脱出ゲームと謎めいたシナリオが織りなす極上の思考型ADV。
終盤には怒涛の展開と、想像を絶する驚愕の結末が待っています。ぜひ一度プレイしてみてください!
トライエース プロデューサー
天野佑三
代表作:「フロンティアゲート」「ゼルダの伝説 スカイウォーソード」
コントローラーの特性を活かしたアクションと、ゼルダシリーズお得意のパズル仕掛けのダンジョン攻略は安定の面白さです。
でも、夜中に缶チューハイを飲みながらプレイして、興奮してコントローラーを振り回して案の定こぼしてしまうのはどうにかならないのだろうかと日々思い悩んでいます。いつまでたっても学ばない。しょっちゅうこぼします。ついでにおつまみ食べてコントローラー触るからヌンチャクがベチョってなります。
それくらい熱中しています。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
「JIN‐仁‐」
なんだかんだと見てしまうドラマでした。何が面白かったかといわれると具体的にはよくわからないのですけども、なんだかんだと最後の最後まで見ていました。
やっぱペニシリンはすげーな、と。あんドーナツってすげーな、と、感心しきりです。昔懐かしい時代劇が少なくなり、ちょっとさみしいなと思っていたのですが、JINのようなドラマが新しい時代劇の形なのかな?なんて考えたりしました。まあ普通の時代劇にペニシリンやあんドーナツは出ませんけど。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
「橋下徹」大阪新市長。
体制VS反体制、逆風っぽい状況で圧勝する主人公体質はお見事です。政治の話をエンターテイメントの目線で語るのはよくない事ですが、全ての体制を向こうに回しての圧勝劇は、単純に痛快です。まるで映画やドラマのヒーローみたいですね。
ぜひ、この先も大阪市民にとってヒーローであり続けてほしいと願います。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
今年一年を振り返り、定型通りに「いい一年だった」なんてと言葉は口にできません。まずは被災された方々に謹んでお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧、復興を心より願っております。
東日本だけでなく、日本全土が元気になるために、ゲーム業界が出来ること、ゲーム業界だからこそできる事がたくさんあると思います。私もその一員として、来年も今年以上に頑張りたいと思います。
また個人的には、今年はフロンティアゲートが完成し、無事に皆様のお手元に届ける事ができて本当によかったと思っています。できればここ最近ゲームらしいゲームをやってないな、って人にプレイしてもらいたい作品です。
「ゲームって面白い」を一人でも多くの人に再確認してもらえれば幸せですね。
トライエース ディレクター
勝呂隆之
代表作:「ラビリンスの彼方」「inFAMOUS 2」
「制作者が設定した通りに辿って行ってよ」というゲームも多い中で、3Dならではのインタラクティブ性が高く、“ゲームらしい” ゲームでした。カメラの制御なども非常に丁寧に作られており、操作性等の完成度も非常に高いと思います。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
鬼武者の音楽などを手がけた事もある佐村河内守さんの「交響曲第1番 HIROSHIMA」です。
今の時代に、劇伴などのサントラ以外で、この様な王道のロマン派タイプの交響曲の新作が出る事はかなり異端な印象があるのですが、この異端者が王者になってしまった、そんな印象を持ちました。
聴き易いですが、“安っぽさ” や “とってつけたような聴き易さ”でなく、何というか誠実さの様なものを感じた、制作者の信念と言うようなものがヒシヒシと伝わる力強い緊張感のある作品でした。
寝る時にもよく掛けていたのですが聴き出すと目が冴えて全く眠れませんでした。まあ、寝る時に聴くような音楽ではないのですが…。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
「佐村河内守さん」です。
特に注目していた、と言うわけでは無く、たまたま購入したCDが気に入ったので調べたら…、という感じでしたが、鬼武者の音楽を手がけている頃に両耳が聞こえなくなってしまい、先述の交響曲は耳が聞こえなくなった後に一から書き上げたとの事です。その才能もさることながら、物作りに対する姿勢というか、そう言った事を考えさせられた方でした。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
2012年1月19日に「ラビリンスの彼方」が発売されます。
シンプルで奥が深い、いつまでも手元に置いておきたくなる様な、小粒(!?)でもピリッとしたタイトルを目指しました。新規ハードで新規タイトルという事で大変でしたが、満足いくものが出来たと思っています。目新しいタイトルを探している方には是非プレイして頂きたいです。
熱心なゲーム・ファンが満足できるもの、熱心なゲーム・ファンが一人でも増えるようなものを作り出せるよう今後も頑張って行きたいです。
日本ファルコム 代表取締役社長
近藤季洋
代表作:「軌跡」シリーズ,「イース」シリーズ「アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-」
今年は海外ゲームを遊ぶ機会が増えました。最初は自分たちと異なる発想や手法に触れてみようと、ちょっと身構える形で始めたのですが、そんなことも忘れて熱中してしまうものが多いです。それだけ丁寧、緻密、親切で、そしてサービス精神に優れたものが増えていると思います。
「アンチャーテッド」は派手で息を飲むようなシーンが連続するゲームですが、一方で巧妙な取捨選択や気遣いが感じられます。アクション部分はシューターとしてはシンプルなのですが、シューターに苦手意識を持つ自分でもその楽しさが十分に味わえるようチューニングされています。最初のハードルを越えてしまうと、よく「映画のような」と表現されるように、圧倒的な映像美や密度の高い展開にぐいぐいと引き寄せられてしまいます。
技術だけでなく、そういった気遣い一つ一つの積み重ねは素直に見習いたいし、負けたくないですね。洋ゲーはこれから広がっていくかもしれないと考えさせられました。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
今年新発売された「ニンテンドー3DS」や「PS VITA」といった携帯ゲーム機でしょうか。
以前はゲーム機と言えば、スペックや発売されるタイトルが注目を集めていましたが、最近はそれぞれ機械としての独自性が大きく打ち出されるようになりました。ゲーム機が単なるゲームが動く機械ではなくなりつつあること、自分たちが大きな潮の目にいることをひしひしと感じます。
私たちパッケージゲームの制作と販売を行う人間はいまいち踏み込みが浅くなってしまう課題でもあるので、プラットフォームホルダーさんにお任せするだけでなく今後もっと踏み込んで考えないといけないなと思います。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
世界で最も注目される人物の一人で、活躍があまりに鮮烈だっただけに「スティーブ・ジョブズ氏」の訃報は驚きでした。
日本ファルコムはもともとアップルコンピュータの代理店として始まったこともあり、今も応接室には起動可能なアップルIIが置かれています。自分自身は熱心なアップルファンではないのですが、それでも会社の応接室に入り、アップルIIを眺めているといろいろな思いが込み上げてくるのは、それだけジョブズ氏がこの時代に及ぼした影響は大きいんだなと考えてしまいます。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
2012年はPSPで「那由多の軌跡」を発売します。こちらはシステム、シナリオ、キャラクター全てを一新した「軌跡」シリーズの最新作となります。従来の「軌跡」シリーズではなしえない新しいチャレンジを詰め込んだタイトルになります。
またPS VITA用のタイトルとして「零の軌跡」フルボイス版、さらに「イース セルセタの樹海」が登場します。「零の軌跡」は単なるフルボイス版ではなく、VITAの機能に合わせて様々な要素が強化される予定です。「セルセタの樹海」はファルコムが初めて制作を行うセルセタ編です。
初めてシリーズに触れる人でも「セルセタの樹海」からイースの世界に入れるよう、シリーズを再構築するつもりで完全新作として制作に取り組んでいます。続報を楽しみにお待ちください!
イース セルセタの樹海 (C)Nihon Falcom Corporation. All Rights Reserved. |
英雄伝説 零の軌跡 (C)2010 Nihon Falcom Corporation. All Rights Reserved. |
ヌードメーカー 代表取締役/ディレクター
河野一二三
代表作:「クロックタワー」「鉄騎」「戦律のストラタス」「マインクラフト」(以前からあるものですが、正式版が2011年ということで)
子供の頃の妄想をほんとに具現化しちゃったようなゲームプレイと、ソリッドな表現手法。こういうタイトルが成功しているのは昨今の業界の中で楽しい話題ですね。
■質問2:2011年に発売/公開されたエンターテイメントコンテンツの中で最も印象深かった作品
星野之宣『星を継ぐもの』
J・P・ホーガンの原作が好きで、ミステリー的な謎解き要素を壮大なスケールでちりばめたあの原作を星野氏がどうコミカライズしていくのか、どんな味付けが加わるのか、非常に楽しみであり興味深いところ。原作との違いを含めて楽しみたい作品です。
■質問3:2011年に,個人的に注目した(している)人物
「富野由悠季」
今年に限らず注目している方ですが…『Gレコ』と呼ばれる最新作で、どんな方面から我々の脳髄に攻撃を仕掛けてくるのか、ワクワクしてたまりません。
■質問4:2012年に向けての抱負,またゲームファンに向けてのメッセージ
現在ヌードメーカーは『3ヵ年計画』の端緒についたところです。より筋力のある組織となって尖ったタイトルを提供できるよう、一丸となって頑張っておりますので、来るべきその日までしばしお待ちください。
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