ある命題を論理的に明らかにするために、観測した物事の分析が必要です。数値に対する分析では、値の変化を関数で表し、命題の前提条件を既に知られている命題に帰着させることで真偽の証明を行います。特に微積分や統計に基づく解析は、膨大な量の複雑な数式を扱うため、解析経過に誤りのないように、解析ツールを用います。
解析ツールの多くは有料ですが、いくつかの優秀な解析ツールも存在します。解析することは証明において普遍的なことであり、こうしたツールが無料で提供されていることは非常に心強いものです。ここでは、フリーウェアとして入手できる解析ソフトについて一覧します。
オープンソースの統計解析システムおよびそのプログラミング言語。プログラミング言語はS言語に準拠しています。標準状態でも統計・検定・解析向けの強力な関数を備えており、便利な入出力機能およびグラフ作成機能までをサポートします。
関数は、必要に応じて新たに定義することもできます。例えば、CやFORTRANなどによって記述し、外部でコンパイルした関数の呼出しや、多くのパッケージを利用することができます。
数値計算ソフトです。MATLABのフリー版を目指して開発されたということで、科学・工学分野のシミュレーションを得意とし、一般的な方程式や解析に対応します。
計算命令を逐次入力するか、計算内容を書いたテキストファイルを読込むことによって計算処理を行います(ただし難解な記法に対応する必要があります)。計算結果は、表計算ソフトとの組合わせで保存したり、gnuplotでグラフを出力したりと、利便性を考慮しています。
フランスのINRIAとENPCで開発した高機能数値演算システム。英語版、フランス語版を提供しています。
数値計算以外に、信号処理、行列や多項式の数式処理、 関数のグラフィック表示など充実した機能を持っています。また、SCICOSというツールで MATLAB の Simulink に相当するシミュレーションを行うことができます。コマンドはMATLABに似ていますが、MATLABとの互換性はありません。
行列/ベクトル計算や作図機能などを持つ数値解析ソフト。各種関数や2D/3Dプロット機能などMATLABと高い互換性を持っていますが、いくつかの機能が未実装であり非互換の部分も残っています。OctaveやScilab に対して、Aquaネイティブの描画やIntel Mac対応など、Mac OS Xのサポートに関して独自の方向性を打ち出しています。
日本で開発された、科学や工学に必要な数値及び数式計算をサポートするプログラミング言語です。処理系としてインタプリタ(matx)とコンパイラ(matc)を提供しており、各種OSに対応しています。
Java で記述した科学技術計算ライブラリです。数学、物理学、社会学、生物学、天文学、経済学などの各種科学に対応します。
数学関数描画Javaライブラリです。
Python言語から使用する数値解析ソフトです。
python の線形演算モジュールです。
「数式処理ソフト」です。1960年代に米MITが開発したMacsymaを直接の起源とします。「数式処理ソフト」と呼ばれる所以は、数式のまま計算を進め、計算の途中経過を確認できることにあります。
インストールでは、Maxima 本体のほかに wxMaxima が必要なようです。Maximaを"C:\Program Files\Maxima-x.y.z"にインストールしたならば、WxMaxima は、"C:\Program Files\Maxima-x.y.z\wxMaxima"にインストールする必要があります。
汎用の理工系向きの論文エディタ。文字ベースでデータを受け取り、その構造に従ってTeXに変換し、画面上にWYSIWYGで表示します。そのままでも数式エディタとして利用できますが、現状、日本語には対応していません。
こちらで紹介することとした特筆すべき点は、数式処理システムとの相性が良いことです。こうした他のシステムのフロントエンドとしても機能します。たとえばMaximaには標準で対応しメニューから直接Maximaを選択し、数式の表示をフォローします。
離散フーリエ変換のための高速なC言語用ライブラリ。フリーソフトウェアとして提供している。
パリ第6大学のJ.L.Lions研究所のF.Hecht教授が中心となって開発した偏微分方程式境界値問題解析/有限要素解析ツール。
弱形式の偏微分方程式境界値問題を数学的に記述することで数値解が得られ、得られた弱解にも数学的記述を適用できます。有限要素法で最も面倒な三角形要素分割を、境界の曲線を記述するだけで高速自動生成する。数学の基礎知識があれば、有限要素空間、連立方程式の計算アルゴリズムについて実践的に勉強でき、数理モデルの研究者も使用する本格的なソフトウェア。
MS-DOS または Windows の DOS窓で動作する BASIC インタープリタです。2700桁までの大きな整数の計算ができます。
カシオがオンラインで提供する、多様な目的の計算に対応したサイト。
フリー計算では、入力フォームに入力したり、画面右側のボタンを用いたりすることによって、計算式を記述し、計算を実行します。入力時に「sqrt(x)」のように、変数を与えている場合は、x
の範囲の入力を要求するので、「(初期値), (増分),
(表示する個数)」の書式で入力すると、x
の変化に伴う計算結果を一覧し、グラフの作成もサポートします。
計算式ライブラリでは、生活、教育、解析など、各種の計算をサポートし、公式のの説明、入力したパラメータに対する結果の表示を提供します。
記述統計、推測統計、統計理論分布、そして基本的数学関数値の計算様式と、ありとあらゆる計算様式をJavaScriptで実現しています。
言わずと知れたグラフ作成ソフトです。Octave や Maxima では、標準のグラフ出力環境として gnuplot を使用しています。
入力した関数式のグラフを作成します。三角関数、Σ計算、導関数など豊富な組み込み関数をもち、新たに関数を定義することもできます。
三次元のグラフはマウスで回転やズームができるほか、式にパラメータを指定してプロットした曲線のアニメーション表示にも対応しています。
作成したグラフは、ビットマップとメタファイル形式でクリップボードへのコピーをサポートしています。グラフ定義は、定数・関数とともにファイルに一括保存でき、種類別に分類・整理して次々に表示させることができます。
マウス操作によってニ次元の陽関数、陰関数、媒介変数、極方程式、領域、場合分け関数、級数、導関数、定積分の関数を表示。微分は何回でもできます。
点のドラッグ、入力・訂正をサポートし、表示されている任意の陽関数に対して、区間設定と最大/最小の表示、微積分の平均変化率接線の変化,区分求積、定積分・積分法の基本定理を実行できます。
三次元では、陽関数、図形、媒介変数曲線など様々な空間の図形の表示に対応します。
アニメーション作成支援、背景画像とグラフの重ね合わせ、平面図形に関連した三角形の5心、円の接点、交点等の入力、そしてBasic準拠のマクロ機能による自動実行、数式からwaveデータを作る機能を備えており、広範な応用が期待できるツールです。
キーボードまたはウィンドウに表示したボタンから数式を入力し、グラフを作成します。関数を入力した場合は、変数を表す記号に対して、計算結果の変化をグラフ表示します。
拡大・縮小表示、三次元グラフでは回転をサポート。二次元グラフで最大10通り、三次元グラフで最大6通りの数式を作成して同時に計算し、全計算結果のグラフを重ねて表示できる。二次元グラフはBMP形式、三次元グラフは画像のほかに、DXF形式のファイル保存をサポートしており、3D CGモデリングソフトで読み込んで編集するといった応用が期待できます。