朽ち果てながらそびえる中国版の“シンデレラ城”と、その下を歩く農民(12月5日撮影)。1990年代末に遊園地“ワンダーランド・アミューズメント・パーク”(Wonderland Amusement Park)の建設計画が頓挫した後、再び農地として利用されているこの場所が、写真家のデイビッド・グレイ(David Gray)氏によって“再発見”された。
冒険好きな旅行者なら驚くほど簡単に訪れることのできるこの場所は、アジア最大のテーマパークになるはずだった。しかし、今は茫漠と広がる土地が、ディズニー・ワールドの“廃墟版”に不気味な雰囲気を添えている。
1998年、タイの不動産開発業者レインウッド・グループ(Reignwood Group)は、北京から32キロ郊外の村にある48ヘクタールの土地にワンダーランドを建設する計画を打ち出した。
しかし、急増する中流階級の余った時間とお金をねらったこの計画は、開発業者、地方政府、地元農民の間で土地の値段の折り合いがつかず、2000年ごろに頓挫した。2008年には計画を復活させる動きもあったが、これも失敗に終わった。
レインウッド・グループはその後、ゴルフコースや高級ホテルチェーンなど別の野心的事業に関心を移し、ワンダーランドの一大計画は、より伝統的な生産活動(この場合はトウモロコシ栽培)に場所を明け渡すこととなった。
中国では今後、似たような光景を見ることが増えるかもしれないと多くのアナリストは指摘する。過去10年にわたって高騰を続けてきた不動産価格が、ここへ来て、1990年代に個人の持ち家が合法化されて以来初となる下落に転じているのだ。土地を担保におよそ1.7兆ドルの借金をしてきた地方政府は危機的状況に陥っている。
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