NTTドコモのスマートフォン向けのサービス「spモード」で起きた今回のトラブルについて、コンピューターやネットワークの専門家からは、IPアドレスを用いて利用者を識別する「spモード」の仕組みが不十分だったのではないかという指摘も出ています。
「spモード」は、急増するスマートフォンの利用者の要望に応えて、NTTドコモが、それまでのi-modeの携帯電話で使っていたメールアドレスなどを、スマートフォンでも使えるように、去年9月から始めた有料のインターネット接続サービスです。現在、およそ670万人が利用しています。この「spモード」では、メールをやり取りする際、利用者を識別するために、電話番号と、「IPアドレス」と呼ばれる識別番号を利用しています。今回のトラブルについてNTTドコモは、本来、1つの携帯電話だけに割り当てられるはずの「IPアドレス」が、アクセスの集中でサーバーの処理能力を超えたため、誤って2つの携帯電話に同じ「IPアドレス」が割り振られたことで起きたとして、設備の処理能力の強化などを急ぎたいとしています。これに対し、コンピューターやネットワークの専門家からは、IPアドレスを用いて利用者を識別する「spモード」の仕組みが不十分だったという指摘も出ています。インターネットのメールのシステムでは、多くの場合、利用者の識別に、固有のIDやパスワードなどを用います。一方、「spモード」では、IPアドレスは利用者に固有のものではなく、同じ番号を再利用する仕組みのため、今回のトラブルのように、誤って同じ番号を複数の人に割りふってしまうおそれもあります。独立行政法人、産業技術総合研究所の高木浩光主任研究員は「従来の携帯電話で提供してきたi-modeと同じ利便性を維持するために、パスワードがなくても認証できるようにIPアドレスを利用したとみられる。しかし、再利用できないIDを用いるなど、アドレスの重複を防ぐシステムを整えなければ、今後も小規模なトラブルが起きる可能性がある」と指摘しています。こうした指摘に対し、NTTドコモでは「IPアドレスを利用した認証方式は広く利用されており、問題はないと考えているが、サーバーなど設備を増強するとともに、IPアドレスの取り違えが起きないようにシステムの改修を進めるなど、対策をしていきたい」と話しています。