ここから本文エリア 身近な流れで「発電」2011年12月26日
◇松山市浄化センターで開始 身近にある水の流れを活用して発電する「小水力発電」 は、東京電力福島第一原発事故で注目された自然エネルギーの一つ。県内でも、新たに松山市中央浄化センターで運転を開始したほか、農業用水を利用した計画も動き出している。 水流で回るモーター音が聞こえる。松山市南江戸4丁目の市中央浄化センター敷地内の一角に、小さな水力発電設備が完成した。浄化した水は、敷地から約1・9メートルの落差がある宮前川に放水される。この落差を利用して、直径約70センチの配管内の羽根車を回して発電する。出力は9・9キロワット。センターが使用する電気全体の1%にも満たないが、一般家庭の10〜20世帯分に相当。原油換算では年間約16・4キロリットル、二酸化炭素(CO2)排出量では同約23トンの削減につながるという。 市は、センターの水力発電設備の見学を受け付けており、「省エネを含めて、環境意識の啓発に役立てていきたい」 (下水道施設課)としている。 経団連や西条市が農業活性化を目指して進めている「西条農業革新都市」 プロジェクトにも、農業水利施設を利用した小水力発電の導入が盛り込まれている。 市内の農業用ダムなど2カ所で、計数十キロワット規模の施設設置を想定。地元の土地改良区が設置者となり、売電収入を得ることで、農家の改良区への負担金軽減などにあてる。「農業生産の低コスト化」 を探る中で、地域の資源を活用できる小水力発電に注目したという。 今月22日には、小水力発電設置の許可手続きの簡素化などの規制緩和策を含む「総合特区」の指定を国から受けた。2014年度には運転を始める予定だ。 全国小水力利用推進協議会(東京都)によると、小水力発電は水利権の調整が必要なことや、初期投資の割高さに課題がある一方で、身近にある水資源を生かして、安定した発電ができるのが利点という。ダムのように水をためることがないため、環境への負荷も少ないとされる。 電力会社に自然エネルギーの買い取りを義務づける「新エネルギー利用特別措置法」 (RPS法)では、太陽光や風力と並んで、1千キロワット以下の水力発電を新エネルギーと位置づけている。 経済産業省四国経済産業局(高松市)によると、RPS法の認定を受けた水力発電所は、別子山発電所(新居浜市)や鈍川発電所(今治市)など、今年1月末現在で県内に5カ所あるという。 (小池竜太)
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