――デビューされてから辛かったことや嬉しかったことなど、印象に残っていることをお聞かせ下さい。
ライトノベルって結局全部『バランス』だと思うのですが、なかなか芯をとらえることができなくて、毎回悩まされます。
でも今回で急にいくつか法則性のようなものが見えてきて、それがうれしいことですね。
――なるほど法則性ですか。楽しみですね。ところで読者は伊都先生にとってどんな存在ですか?
例えば、自分の寿命があと一年なら仕事やめて遊びますが、自分の読者の寿命があと一年なら、あらゆる手を使って最高の本を書きます。そんな存在ですね。
実際、人間って思いもよらない形で亡くなってしまうもので……。
――作家業として一番気をつけていることをお教えください。
本を読んでいる人が、楽しかったりうれしかったりする――ということはつまり、書いている作家側はどういう気持ちで執筆を行なっている必要があるか? ということですね。
単純に情報の矢印の向きの問題として。
――それでは今回の作品についてお聞きします。『犯人は夜須礼ありす』で注目してほしいポイントや見所などお教えください。
この本ではミステリーやサスペンスの面白さをしっかり堪能してもらいつつ、しかしあまりストレスを感じずに読める『ライトミステリー』みたいなジャンルを目指しました。
もちろん、すぐにオチが読めるような単純な話にはせず、しかし読者が内容を追いやすいよう、だいぶ調整を繰り返しています。
もちろん純粋にアイデアについても、充実したものを目指しました。『誰が誰を殺した事件なのか?』という視点で追っていただけると、これまでにないような話になっているのではないかと思います。
その上で、結果的に笑いどころがかなり多い話になりましたので、肩の力を抜いて楽しんでいただければ。
あとは……エロス?
――また、今回の作品で気をつけた点や苦労された点などありましたらお聞かせ下さい。
今回はとにかく『読みやすい』ことだけは気をつけようということで、積極的な仕掛けをいくつか取り入れてあります。
苦労した点は、完成までにだいぶ時間がかかったことですね。
実はこの話は去年の7月から書きはじめたんですが、執筆そのものとは別の事情で、作業を一時中断していました。
しかし今年3月の出来事を受けて、4、5月で一気に全部書きなおして完成させました。
――お気に入りのキャラクターは誰ですか?
山咲片理です。
重要度で言えばぶっちゃけこちらがメインヒロインで、立ち位置をどうしようか結構迷いました。最終的にはその重要さゆえに、主人公の相棒ポジションに収まっています。
とにかくどれだけクラッシャーなのか、ろんど氏のイケてるカラー口絵を見てもらうだけでも伝わると思いますので、ぜひ店頭で確認してみてください。
この本のあらすじとか本当は、ギャグの前フリでしかないのが、分かっていただけるかと思います。
――表紙でヒロインが着ているのは白衣でしょうか?
白衣です。
ヒロインの夜須礼ありすは、今だと『家政婦のミタ』みたいな、地味で不気味で忠実で無駄に有能なキャラが――という設定です。ただライトノベルとしてはビジュアル的にインパクトが欲しいということになり、白衣キャラになりました。
――それでは作家としてこれからの目標を教えてください。
一旦、今あるものを全部吐き出して、それを検証しながらゼロからやり直しですね。
『次』に適応した形に、いろいろ組み立て直しているところです。
――最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。
今回の本は『新ジャンルに挑戦!』ということで、ジックリと作りこんだものになりました。初めてミステリーを読む方でも、その驚きと楽しさを充分に味わっていただけるのではないかと思います。
ぜひとも長くて寒い冬休みに、笑いながら読んでいただいて、最後のハッピーエンドでほっこりしていただければと思います。
あと、最近になってブログをはじめました。
伊都先生のブログ:ScratchLine
今はHTMLの練習がてら、ライトノベルの書き方についてまとめています。
ぜひ訪問していただけたら。
著者/訳者:伊都工平 出版社:メディアファクトリー( 2011-12-21 ) 定価:¥ 609 Amazon価格:¥ 609 文庫 ISBN-10 : 484014334X ISBN-13 : 9784840143349
伊都先生本日はお忙しい中ありがとうございました!伊都先生の新刊『犯人は夜須礼ありす』は絶賛発売中です!
これからも伊都先生の作品から目が離せません。
作家志望のみんなは先生のブログにある「ライトノベルの書き方」が参考になること間違いなし!
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