「内定を辞退する書類に署名してほしい」。12月上旬、ある大学生が就職の内定を取り消されそうになった。2008年のリーマン・ショックや東日本大震災で社会問題化した「内定切り」だ。悪質な場合には厚生労働省が企業名を公表する。
なぜ、内定を取り消そうとしたのか。学生側と企業側の主張は平行線をたどっており、事実関係ははっきりしないが、十分な説明がなかったことは確かだろう。中旬になって「本人の希望があれば、採用する」と企業から連絡があったが、学生は「不信感を抱いたまま働けない」と辞退したという。
内定を取り消された場合や、取り消されそうになったときは、一人で悩まず、大学の担当者やハローワークに相談しよう。親身に対応策を考えてくれるはずだ。「就職氷河期」の中、就職先探しに追われ、泣き寝入りする学生がいるのではないか、と心配している。 (武井良範)
=2011/12/24付 西日本新聞朝刊=