苫小牧のニュース

苫小牧市議会、がれき受け入れ基本「容認」

(2011年 12/8)

 苫小牧市議会の安全・安心のまちづくりに関する特別委員会(西野茂樹委員長)は8日開かれ、東日本大震災に伴う災害廃棄物(がれき)の受け入れの拒否を求める陳情を、全会一致で不採択とした。これで市に続き、市議会としてもがれき受け入れに協力する姿勢を鮮明にした形になった。

 質疑では、陳情の趣旨が基準に関係なく受け入れ拒否を求めていることに、菊地一己副市長は「基本的に考え方は違うとの印象だ」と述べ、あくまでも市は安全安心を条件に受け入れる基本姿勢を強調した。

 理事者側は、環境省が広域処理のガイドライン(指針)で示した放射性セシウム濃度1キログラム当り100ベクレル以下であれば、放射性物質として扱わないとする基準について「(放射能濃度が)全くゼロはあり得ない。最終的には100ベクレルが廃棄物処理法の中でもあり、一つの基準になるのでは」と答弁した。

 委員からは、100ベクレル以下のがれきの焼却灰を埋め立てした時の影響に関する質問があった。理事者側は、苫小牧市内2カ所の焼却炉は飛灰と主灰が混ざって出てくる構造であることを説明。その上で「(ガイドラインの数値より)苫小牧では実際にはもう少し小さくなると考えている。埋め立て後の大気への影響はないと考える」と答え、基準内であれば大気への影響はないとの見解を示した。

 焼却灰に係る懸念の検証について菊地副市長は「(がれきを)沼ノ端で燃やして実験することはできない。道が東京都に調査に行っている。結果を注視したい」と答え、東京都のデータを参考に判断する考えを示した。

◇「受け入れ判断は困難」と山口千歳市長

 千歳市の山口幸太郎市長は7日の定例市議会本会議で、東日本大震災で大量に発生した東北のがれき受け入れ問題について、「受け入れ可否の判断は困難であり、市民の理解を得ることは難しい」と述べ、現段階で同市として受け入れる考えはないことを強調した。佐藤仁氏(共産)の一般質問に答えた。

 山口市長は震災直後の今年4月の時点で「放射性物質を含まない災害廃棄物を想定し、受け入れ基準内の焼却ごみの受け入れ可能量について道に報告していた」と経緯を説明。国において、放射性物質に対する明確な受け入れ時の判断基準や適切な処理方法が確立されていない状況にあると指摘した。さらに「災害廃棄物の受け入れについては、災害廃棄物を出す側と受け入れ側のみならず、道の関与も必要と考えるが、これまで道の方針が示されていない」ことも問題視。「不透明な状況にあることから、安全の確証は得られないものと考える」との姿勢を示した。