政府は27日午前の安全保障会議(議長・野田佳彦首相)で、日本の武器輸出三原則を大幅に緩和する「防衛装備品等の海外移転に関する基準」を決定し、藤村修官房長官が閣議に報告後、記者会見で談話を公表した。包括的な例外措置として、(1)平和貢献・国際協力に伴う装備品の海外移転(他国への供与)(2)日本と安全保障協力がある国との間で、日本の安全保障に資する国際共同開発・生産−−を可能とする。
武器と関連技術を原則禁輸する三原則をめぐり、政府は過去にも弾道ミサイル防衛技術など個別の「例外」について緩和してきた。だが今回は個別案件を指定せず、政府が三原則を表明した1967年以来、初の抜本的緩和となる。
緩和にあたり、相手国による目的外使用や第三国への移転に日本政府の事前同意を義務づけるなど「厳格な管理を前提に行う」と条件をつけた。藤村長官は「相手国との取り決めは口約束ではなく、交換公文などさまざまな外交手法がある」と強調した。
談話は、国際紛争を助長しないという「基本理念の堅持」を掲げた上で、国際平和協力やテロ・海賊問題などへの対応▽米国など諸国と国際共同開発による防衛産業基盤の維持・高度化とコスト削減−−をそれぞれ緩和の理由に挙げた。
装備品供与では、日本政府の事前同意なく目的外使用や第三国移転がないとの担保などを前提とする。国際共同開発・生産は、目的外使用や第三国移転に日本の事前同意を義務づけ、同意には日本の安全保障や国際平和・安定に資する場合などの条件をつけた。【松尾良】