NHKニューストップへ
※ すべての機能を利用するには、JavaScriptを有効にしてください。

柔道部事故 横浜市など賠償命令

12月27日 18時46分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

7年前、横浜市の中学校で当時3年生だった男性が、柔道部の練習中に脳に後遺症の残る大けがを負ったのは、顧問の教諭から練習と称して技をかけ続けられたためだと男性と両親が訴えていた裁判で、横浜地方裁判所は、横浜市と神奈川県に合わせて8900万円余りを支払うよう命じました。

この裁判は、平成16年12月に横浜市青葉区の奈良中学校で、柔道部の当時3年生だった男性(22)が、練習中に脳に後遺症の残る大けがを負ったのは、高校の柔道部への推薦を断るなどしたために、顧問の男性教諭から練習と称して技をかけ続けられる制裁を受けたためだとして、男性と両親が横浜市と神奈川県、それに男性教諭に対して1億8000万円余りの損害賠償を求めていたものです。教諭や横浜市などは、「指導の範囲内でけがは予想できなかった」と主張していました。27日の判決で、横浜地方裁判所の森義之裁判長は、「生徒は柔道大会での優勝経験もある教諭に絞め技をかけられて「半落ち」という意識障害の状態になったあと、背負い投げや体落としなどの技をかけ続けられたために、けがを負った」と指摘しました。そのうえで、「教諭は生徒が意識を失った段階で練習を中止するなどして正常に回復するのを待つべき義務を怠ったが、制裁を加えようとしたとまでは認められない」として、個人の責任は認めず、横浜市と神奈川県に合わせて8900万円余りを支払うよう命じました。判決について、横浜市教育委員会は、「現時点では判決の詳細を把握しておらず、今後、内容を検討したうえで対応する」というコメントを出しました。また、神奈川県の黒岩知事は、「県の主張が認められず残念だ。判決内容をよく検討し横浜市と調整のうえ、対応を決めていきたい」というコメントを出しました。判決のあと、記者会見した男性の父親の小林泰彦さんは、「主張のかなりの部分が認められたと思います。柔道部の練習中に生徒が亡くなったり大けがを負ったりする事故は全国で起きているので、息子の後遺症が練習によるものだということが明確に示されたことは、意義があると思います」と話していました。また、母親の恵子さんは、「息子がけがをしたあと、学校側からは納得のいく説明や謝罪はなく、事実を明らかにしたいと思って裁判を続けてきました。男性教諭には、直接、謝罪に来てもらいたいし、当時、何があったのか説明してほしいです」と話していました。