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予約受付中!のRZ250/RZ350用 高強度 スイングアームピポットシャフト関連の記事です。
http://niegare.blog118.fc2.com/blog-entry-920.htmlノーマルのピポットシャフトの固定にはセルフロックナットが用いられています。

ゆるみ止めとしては、最も一般的な方法の1つであり、実績もあります。
しかし、私はこの方法を自分がプロデュースするシャフトに使いたいとは思いません。
今日の記事はそのことについて書いてみたいと思います。
ノーマルのRZのスイングアームの構造です。この構造自体、さほど珍しいものではありません。

この画像で赤いラインは、フレームだと思ってください。フレームを介し、スイングアームをシャフトで挟み込んでいるわけです。
この画像の「4」の部品はオイルシールというか…スイングアームのフタのようになっています。スイングアームを貫通する「3」のカラーは「4」のフタを貫通していないことは重要なポイントです。
ともかく、ピポットシャフトをグイグイと締め付けていくとどうなるか…。とりあえず細かいことは抜きにして、スイングアームが左右にガタつかない程度まで締め付けます。
この状態での締め付けトルクは、メーカーの規定トルクの下限か、場合によっては更に下回ることも少なくありません。
少なくとも、メーカーの規定トルクの上限付近で締め付けると、とてもじゃないけど許容できないほどに動きが悪くなります。
これは先に紹介したノーマルの構造に起因するものです。まぁ、上で紹介した画像をみれば、「締め付けたら動かなくなる」ことが、何となく想像いただけると思います。
もちろんシムをいれて調整などはしていますが、やはり この構造では限度があると思います。
余談ですが、メーカーの規定トルクの上限付近で締め付けると、ワッシャが座面陥没を起こします。ま、これはアクスルシャフトでも言えることですが、締めりゃいいってものではないということです。
少し視点を変えてみましょう。
まっすぐ走らない車両の多くで、ピポットシャフトの締め過ぎがみられます。もちろん全てではありませんが、締め過ぎがよくないことは確かだと思います。
ガタがなく、動きを疎外しない程度に締め付ける…結局はそうなります。釈然としないし、消極的な選択ではありますが、ノーマルの構造でスイングアームをスムーズに動作させるとすればそうならざるを得ません。
突然ですが、「引張試験」という試験をご存知でしょうか?試験片を試験機でつかんで引張る試験です。
この試験によって得られる結果がいくつかありますが、そのうちの1つが、伸び(歪み)と荷重の関係です。
金属製品の引張試験方法を規定したJIS規格から抜粋した図です。

4つある何れも横軸が伸び(歪み)で、縦軸が荷重です。金属材料によって、様々な曲線を描きます。
これで説明するのは厄介だし、キリがないので、マンガを描いてみました。色々突っ込みどころはあるけれど…ご容赦くださいねf(^_^;

まず着目していただきたいのは、AとBのポイントです。加える荷重を高くすればしただけ、材料が伸びていますね。
伸びてるといっても伸び続けるわけじゃありません。荷重が一定ならば、”その状態を保ち”ます。つまりはバランスしているということです。
この状況、Aだけ伸ばしてやれば、その状態なりの荷重が出る⇒ピポットシャフトでいえば、フレームやスイングアームを挟む「軸力」が生じ、得られることを示しています。
で、さらにBまで伸ばしてやると、伸ばしてやった分だけ軸力が高くなります。
ピポットシャフトの場合、「伸ばしてやる=ナットを締め上げる」わけです。ナットをグィグィ締め上げていくと軸力があがるということです。
締め付けによって軸力があがる理屈については以上のとおりです。
では、どうして軸力を与えてやらねばならないのかを考えてみましょう。
まず1つ。剛体としての機能です。締め上げれば締め上げるほど、軸力が高くなるのだから…。だったらシャフトを強いものにしなくても、グィグィ締め付けてやればいいのではないか?
そう思われるかも知れません。確かに理屈の上ではそうなんですが、すでにくどいほど書いてきた”動きを考慮すると”限度がある。
もう1つ。それは”ボルトやナットが緩まないように”に与えなければならない軸力です。
軸力を管理するのは実際的でないので、便宜上用いられているのが「締め付けトルク」です。メーカーの規定する締め付けトルクは…恐らくコチラを優先したものではないかと想像します。
スイングアームに要求される動き、そして緩まないために必要な軸力を生むための締め付けトルク…いわば背反するものです。
動きを優先すれば…。その弊害として「緩み」のリスクを追う。難しい問題です。
ちょっと話しを脱線させます。
締め付けトルクと軸力の関係についての分かりやすい資料。トルクレンチで有名な東日さんの資料です。
http://tohnichi.jp/technical/pdf/02_bolt_tightening_J.pdfさて、ノーマルの規定トルクは5〜8kg-m(49N・m〜78N・m)。サービスマニュアルによると(P.140)強度区分は7Tです。
さらにちなむと、前後のアクスルシャフトは8T。なぜピポットシャフトには強度の低い7Tを使ったのか…。考察してみたいと思います。
東日さんの資料の「2-3」の(2)をご覧ください。強度区分7Tは古い表記です。現在でいえば(2)の基準T系列になると考えます。
一方、バイクで採用されている多くのボルトが該当する強度区分8Tは、1.8系列になるのかな。
次に、同資料の「2-4」の(4)の表をみてください。ねじの部分は14mmですから、M14をみてください。
・T系列(ピポットシャフト) … 標準締め付けトルク 68N・m 、標準軸力 24300N
・1.8T系列(一般的なボルト) … 標準締め付けトルク 122N・m 、標準軸力 43600N
倍とはいいませんが、相当違うことが確認されます。
ヤマハがどうして強度の低い7Tを使ったのか。8Tを使えば(緩まないだけの最低限の軸力を確保するためには)標準締め付けトルクが高くなる。その高くなった締め付けトルクでは動作を担保できないと考えたのではないでしょうか。
事実、当該部位の規定トルクは、一般的な(7T)M14サイズ標準締め付けトルクと比較すると、大きく外れていないものの やや低めに設定されています。これは…様々な憶測が頭を駆け巡ります。
本当にあの締め付けトルクで締め付けて動作が担保されるかどうか…設計者は分かっていたはず。
本当はどうしたかったのか?!
これをみていると、しっかり締め付け、必要な軸力を得たいと益々感じます。
シャフトの強化だけでなく、ウンと締め上げても動作が担保出来る構造に改めたくなります。”理想的な構造”を 水面下で検討していますが、具体化するには課題が山済みですが、諦めませんぞ。
締め上げ続けていくとどうなるかについても、参考までに書いておきます。あるところから「伸びるけど、荷重は一定」になります。
”簡単にいうと”伸びたまんまで戻らなくなっている状態です。これは危険ですね。
さらに、そのまま締め上げていくと荷重が下がり伸びが増えて「破断」します。
オモチを引張るときもそうでしょ?最初はやや抵抗感があり、伸び始めると小さな力でスーッと伸びる。あれですね。
また、ボルトをねじ切るときも同じ現象がおきています。「あれ?なんか締まってんのかどうか分からんな。もうちょっと締めてやれ」 …このあとの何とも言えない嫌な感覚は、誰しも味わったことがあるはずです(笑)
ダラダラと長くなってきましたので、そろそろ〆に入りたいと思います。
・ノーマルの構造で動きを担保するには、締め付けトルクに限度がある。
・この限度内では、ボルト&ナットが緩まないだけの軸力を与えづらい。
こういうことなんですね。
スイングアームのピポットシャフトが緩んだら…考えるだけでも恐ろしいですヽ(;▽;)ノ
このためだけにセルフロックナットを製作するのは現実的ではありません。
かといって、せっかく高強度のシャフトを使うのに、シャフトよりも強度の低い、純正のナットを使うのはね…。
第一、セルフロックナットは消耗品。頻繁に着脱するなら定期的に交換すべきものでもあります(緩み止め効果が薄らぐ)。
というようなことで「ダブルナット」方式を採用したい!と思ったわけです。私にとっては、ノーマルの構造でいく限りにおいて、こだわりというより「必然」に近い。
どうでもいいことですが、今日みたいな記事を書いちゃうと、テキメンにアクセス数が下がります(笑)
でも、こういう記事を書くのが(自分の頭の中が整理できるから)私は好きだし、こういう記事がいいといってくれる方もいらっしゃいます。疑問に感じておられた方の ご期待に添えたのなら嬉しいのですが。。。
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