特別企画展「孫文・梅屋庄吉と長崎」が終了する12年3月以降の研究や展示の在り方を考える「孫文・梅屋庄吉(東アジア・長崎近代交流史)常設展示あり方検討委員会」(脇田安大委員長)の第1回会合が12日、長崎歴史文化博物館(長崎市)であった。委員からは、梅屋や孫文が活躍した近代の長崎について研究を進める必要性を訴える意見が相次いだ。【釣田祐喜】
委員会は、県が歴史や地域振興の専門家や学識経験者を招いて設置。3回の会合を経て12年3月に県に提言し、これを受けて県が、場所や規模、機能などについて構想を練る。
初回は、幕末までの近世に比べ、文献や研究報告が少ない長崎の近代史をどう考えるかが議題に。明治の古写真研究を進める長崎大の姫野順一教授は「写真に写るミクロの中にも、豊かな国際色がある。(開港後)多様なものが共生したことが個性」と指摘。東大大学院の川島真准教授は「長崎の近代を問い直すことは、東アジア史や日中交流史にとっても重要。今まで見えなかった新しいことが見える契機になると思う」とした。
脇田委員長は「近代には長崎だけにとどまらない国境を超えたドラマがある。日中の研究者が一緒になり、例えば10年かけた共同研究などのプロジェクトも必要だろう」とした。
〔長崎版〕
毎日新聞 2011年12月13日 地方版