政府が発送した米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書が県庁に届く見通しの27日、県内移設に反対する市民団体のメンバーや地方議員らが評価書の配達を阻止するため庁舎周辺に陣取った。配送業者の車両が来る度に周囲を取り囲み、評価書を積んだ車を県庁から引き返させた。仕事納め前日の県庁は朝から騒然とした雰囲気に包まれた。
阻止活動を展開したのは「基地の県内移設に反対する県民会議」のメンバーら。26日に引き続き100人以上が午前8時前から県庁に集結。出入り口4カ所に分かれ、「評価書の提出を許さないぞ!」と書かれたプラカードや「怒」の1文字が入った赤い紙などを掲げた。
宅配業者の車などが入ってくると前に立ち、運転手に「配達物の中身は何ですか」「どこの課あてですか」などと尋ね、宛名を確認した。評価書が含まれていないと分かるとそのまま通した。
雰囲気が緊迫したのは午前11時20分ごろだった。段ボール約10箱を積んだ配送業者の白い車が到着すると、メンバーが取り囲み、運転手に荷物の差出人を確認したところ、沖縄防衛局と認めた。運転手はいったん引き返したが、約30分後に再び入庁しようとした。反対派の県議たちの求めで県の上原徹・管財課長が防衛局に電話し、中身が評価書であることを確認。「このまま入ろうとすると事故になる」と伝えると、車は再び引き返した。
同会議の山城博治事務局長は「評価書が県庁に届くとされる今日が抗議行動の最大のヤマ場で、何としてでも提出を阻止したい。評価書を積んだ車には帰ってもらう」と語気を強めた。市民団体のメンバーに庁舎管理規則に基づいて警告を言い渡した上原課長は「阻止活動は予想していたが、ここまで過激になるとは思わなかった。強引に配達物を確認し続けるなら退去命令を出さざるを得ない」と困惑した表情だった。
一方、正面玄関前には、評価書が直接持ち込まれた場合に備え、反対派の県議や宜野湾市議ら10人以上の議員団が陣取った。嘉陽宗儀(かよう・そうぎ)県議(共産)は「知事も県議会も全市町村議会も県内移設に反対する中、米国にだけ忠誠を尽くし、評価書を出そうとする姑息(こそく)な政府は許せない。防衛省関係の人間が来たら制止し、提出を断念するよう説得する」と厳しい表情で話した。【福永方人】
毎日新聞 2011年12月27日 12時43分(最終更新 12月27日 13時30分)