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“東電 全員撤退意思”確認できず

12月26日 22時40分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

東京電力福島第一原子力発電所の事故について、政府の事故調査・検証委員会が26日に公表した中間報告では、事故直後に、東京電力が福島第一原発から撤退するという情報があったことについて調査し、東京電力が全員撤退を考えたことは確認できなかったとしています。

中間報告によりますと、2号機の状態が深刻化した3月14日夜、福島第一原発の当時の吉田昌郎所長が「必要な人員だけを残し、そのほかの人は退避させたい」と本店の対策本部に相談し、本店も了承したということです。これを受けて当時の清水正孝社長が、当時の寺坂原子力安全・保安院長らに電話し、「今後、事態が厳しくなる場合には、退避もありうると考えている」と報告しましたが、このとき、清水社長は、必要な人員を残すことを当然の前提と考え、そのことを明言しなかったということです。東京電力が全員撤退することを危惧した関係閣僚は、15日未明に班目原子力安全委員長らを集めて意見を聞いた結果、「全員撤退は認められない」という意見で一致し、当時の菅総理大臣に報告したとしています。このため菅総理大臣が清水社長を呼び、「東京電力は撤退するつもりなのか」と尋ねたところ、清水社長は「そんなことは考えていません」と否定したということです。これを受けて菅総理大臣は、迅速な情報共有を図るために政府と東京電力が一体となった対策本部が必要だと提案し、清水社長も了承したため、15日早朝に東京電力を訪れ、事故対策統合本部の立ち上げを宣言したとしています。事故調査・検証委員会は、一連の経緯についてさらに調査を進めるとしていますが、中間報告では東京電力の中に福島第一原発から全員を撤退させることを考えた者は確認できなかったと結論づけています。この問題については、菅前総理大臣が9月にNHKのインタビューに応じた際に、「清水社長に『撤退したいのか』と聞くと、ことばを濁してはっきりしたことを言わなかった。撤退したいという言い方もしないし、撤退しないで頑張るんだとも言わなかった。私からは『撤退は考えられない』と強く申し上げた」と話しています。