思考実験(4)

「ただいま〜!」

のび太は、元気良く、どこでもドアから出てきた。

「あ〜、のび太くん、おかえり〜」

ドラえもんは、部屋の中で、漫画の本を読みながら、
寝転んでいた。

(そういえば、こいつは、いったいなんのためにいるんだろう?
 ていうか、どこでもドアだけあれば、こいつはいらないんじゃ……)

そんな疑問を感じながら、のび太は かばんを下ろした。

「で、のび太くん、どこでもドアはどうだった?」

「うん、大丈夫だった。
 ドアをくぐり抜けたら、もう目の前が学校でさ、
 ぜんぜん問題なかったよ♪」

「そうなんだ、それは良かったね」

「でもね、ひとつだけ気になることがあるんだ」

「ん、なーに?」

「あの……もしも、もしもだよ。
 どこでもドアに入った僕が、分子破壊光線ですぐに消滅しないで、
 体がドロドロに溶けるような毒ガスで、
 阿鼻叫喚、筆舌に尽くしがたい生き地獄を味わうとしたら……」

ぶふっ〜〜〜!!」

ドラえもんは、飲んでいたお茶を噴き出した。

な、なにを言い出すんだい!のび太クン!「あ、いや、例えばの話だよ、毒ガスは、適当に言っただけ」

な、なんだ、そうなんだ。
 まったくそんなことあるわけないじゃないか!
 ア、アハハハハハハハ!!「まぁそうなんだけどさ、たとえばの話」

「(これだから、この馬鹿は、ときどき油断できないんだ……)
 へぇ〜、それで?」

ドラえもんの目が怖かった。

「あ、いや、たださ、
 そういうことが、実際に起こりえるとしたら、
 どこでもドアによる転送は成功したとは、
 言えないんじゃないのかなぁ〜、と思って」

「どうしてだい?」

「だってさ。
 どこでもドアの方に残された のび太は、
 『ただ立っていて、体の構造を調べられただけ』なんだから、
 当然、彼の意識は、そのまま継続していたはずだよね。
 それなのに、肉体をスキャンされた次の瞬間に、遠くの場所で、
 自分と同じ構造の のび太がもう一人できたよと言われても、
 そんなの『自分そっくりの他人』ができたとしか思えないよね。

 だって、コピーされたソイツが、今、何を見て、何を感じているのか、
 まったくわからないんだし。
 逆に、コピーされた方は、どこでもドアに残ったのび太が、
 毒ガスにやられて、どんなに『痛く』ても、
 その『痛み』は、まったく伝わらないわけだしさ。
 まさに、他人と同じだよね。
 だから、どこでもドアに残った方ののび太からすれば、

 どこでもドアで、『自分』が転送されるなんてことが
 起こるわけがないんだ!
 体の構造を調べられただけなのに、突然、自分のイシキが
 別の体に、移るわけが無いじゃないか!騙された!

 と考えるだろうね。
 そして、遠くのどこでもドアから出てくるのび太なんか、
 やっぱり偽者だと結論付けて、
 『ボクこそが、ボクだけが、のび太だ』と
 呪詛の言葉を吐いて死んだんじゃないかと思うんだ。
 彼の立場からすれば、完全に、どこでもドアの転送は失敗だよね?」

「いやいや、それは違うよ、のび太くん。
 たとえ、
 

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