野田総理大臣と中国の温家宝首相は、日中間の経済連携を強化するため、外貨準備の資金を使って、中国の国債を購入することで合意しました。中国の国債の購入は、日本にとって最大の貿易相手国である中国と、金融面での協力を含め、経済のうえで一層関係を強めるねらいがあります。
財務省によりますと、中国国債の購入の予定額は「少額」にとどまるとしていますが、ドルやユーロなどで構成された日本の外貨準備に、人民元建ての資産が加わることは、ドルに偏っている外貨準備の運用を多様化するという、日本にとっての課題の解決に、将来つながる可能性もあります。また、日中が互いに国債を購入することは、定期的な情報交換などにもつながるとして、安住財務大臣は「外交上も必要だろうと思う」と述べています。一方、中国から見れば、日本による国債の購入は、通貨・人民元の「国際化」への援軍を得ることになります。中国は人民元の為替レートを決める仕組みなどは徐々に改革を進める一方、人民元を国際的に通用する通貨にしてゆく「国際化」も重要な方針に位置づけています。先進国である日本が、中国の国債を外貨準備のなかで保有することは、人民元の国際化に向け大きな一歩だと、中国側は大きな期待を寄せています。このほか、会談では、円と人民元を直接取り引きできる為替市場の整備を支援したり、円建てや人民元建てでの貿易決済を促進したりすることでも合意し、企業などにとっては、ドルを介さない取り引きが広がれば、コストやリスクを軽減できます。これによって取り引きが活発になり、人民元の流通量が増えれば、人民元の国際化がさらに進み、日本の円もさらに国際的な通貨としての地位が高まる効果が見込まれ、日中両国は、作業部会を作って、具体的な話し合いを始めることにしています。