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ニュースリリース 2010年

2010.03.02

世界初、放射化コンクリートの放射能低減化技術を開発―放射性廃棄物量を約1/100に削減―

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、近い将来本格化する原子力発電所の廃炉・解体に備え、世界で初めて放射化コンクリートの放射能低減化技術を開発、その実用化にメドをつけました。この技術を採用することにより、放射性廃棄物となるコンクリート量を約1/100に削減できる見込みです。

現在、日本国内では54基の原子炉が稼動中ですが、初期に建設された原子炉は寿命を迎えつつあります。すでに、日本初の商業用原子力発電所である日本原子力発電(株)東海発電所では廃炉計画が進められており、建設会社では当社だけが参画しています。

廃炉の大きな課題は、解体時に発生する大量の放射性廃棄物を削減することです。例えば、国の廃炉スタディのモデルになっている110万kWの原子炉(BWR型)を解体する場合、1基あたり2千m3を超す放射化コンクリートが発生し、想定では全量を放射性廃棄物として埋設処分することになっています。そこで当社は、放射性廃棄物となるコンクリート量を削減するための技術開発に取り組み、8年の歳月をかけて実用化のメドをつけたものです。

コンクリートが放射性廃棄物になる原因は、骨材中にごく微量に含まれるユーロピウム(Eu)とコバルト(Co)という原子(金属)に中性子が当たって放射化することにあります。当社はそこに着目し、EuとCoを放射化コンクリートから効果的に除去する技術開発に取り組んできました。実用化のメドをつけた除去技術は、放射化コンクリートの硝酸処理です。この技術は、コンクリートの放射化特性を評価する技術や汚染土壌の処理技術の開発で培った当社のノウハウがベースになっています。

具体的な処理方法は、まず、放射化コンクリートを数ミリの大きさに粉砕し、それを約120℃の硝酸に24時間浸します。すると骨材中のEuやCoをはじめとする様々な金属が硝酸中に溶出します。溶出した金属は、硝酸中にアルカリを加えて中和していく段階で、それぞれ特定のpH(ペーハー)の値になると金属塩となって析出されます。EuとCoは、pHが7〜8になると析出されるので、それらをろ過して回収し放射性廃棄物として埋設処分します。硝酸処理後のコンクリートは、EuとCoの含有量が従前の1/10以下となり、放射性物質として扱う必要がなくなるため、骨材は再利用、鉄やアルミニウムを含む塩化物は一般廃棄物として処分できます。

硝酸処理により、次のメリットを享受できます。

1.放射性廃棄物の量を従来の約1/100に削減できます。110万kWの原子炉(BWR型)を解体する場合、放射性廃棄物量が約2千m3減り、わずか約20m3で済む見込みです。

2.放射性廃棄物最終処分場の新設・増設需要を抑制できるので、社会コストの低減にも寄与できます。

3.EuとCoをほとんど含まない硝酸処理後の骨材は放射化しにくいため、原子力発電所のコンクリートに再利用することで、将来の廃炉コストをさらに削減できることになります。

当社は今後、放射化コンクリートの放射能低減化技術を関係各方面に提案し、原子力発電所の廃炉・解体工事の受注に結び付けていく考えです。

以 上

≪参考≫

※廃炉に対する社内体制
原子力・火力本部(本部長 専務執行役員・真木浩之)と技術研究所が連携して、廃炉に関する技術開発に取り組んでいます。また、放射線対応の一連の技術開発については、東北大学名誉教授の中村尚司先生の指導を受けています。

処理フローのバランス

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