2011年10月31日 22時14分
防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は31日、千葉県の房総半島沖で、フィリピン海プレート(岩板)と陸側プレートの境界面がゆっくり滑り(スロースリップ)を起こしていると発表した。広瀬仁主任研究員は「群発地震の誘発も考えられる」と説明している。
この場所のスロースリップは約30年間観測が続いており、前回までの5回は平均6年間隔で起こっていた。今回は07年8月以来4年2カ月ぶりで、間隔は過去最小。東日本大震災の影響で早まった可能性もあるという。07年には、スロースリップに誘発されたとみられる群発地震が房総半島周辺で発生した。
防災科研が全国に整備した、地盤のわずかな傾きも検知する高感度地震観測網のうち、房総半島6地点のデータを分析。最大の動きは、10月26~30日の5日間に深さ約20キロで約6センチ滑ったと推定した。
国土地理院(同)も31日、房総半島の電子基準点観測データから、スロースリップを確認したと発表した。今給黎(いまきいれ)哲郎・地理地殻活動総括研究官は「過去の現象と似ている」と説明。巨大地震の前兆の可能性については「現時点で結びつきを示すものはない」としている。
筑波大の八木勇治准教授(固体地球物理学)は「前兆ではないが、スロースリップの間隔が短くなり、今後、巨大地震が起こりやすくなったことは言える」と話している。【安味伸一】