2011年10月31日 20時13分
【ソウル西脇真一】米韓自由貿易協定(FTA)の来年1月1日発効を目指す韓国政府・与党ハンナラ党は、10月31日までの批准を目指したが、ソウル市長選の勝利で勢いに乗る野党側が農業や中小企業支援策の拡充などを求めて反発し、本会議前の外交通商委員会で紛糾、この日の批准承認はできなかった。
ハンナラ党は来年の大型選挙を前にイメージが悪化する強行採決は避けたい考え。しかし、批准が大幅に遅れれば発効にも影響するため、与野党間でギリギリの攻防が続いている。
批准は26日に野党統一候補が勝利したソウル市長選後、国会論戦が本格化。李明博(イミョンバク)大統領は27日、全議員に「国益実現のための議題だ」との書簡を送り、早期批准に理解を求めた。
しかし、投資家が損害を被った場合の解決策を巡って与野党の対立が深刻化。投資先の裁判所ではなく、第3の仲裁機関で解決する制度導入案が浮上したが、民主党は「韓国に不利だ」と反対。30日深夜に与野党が作成した対策案で、発効後に米側と再協議することで打開を図ったが、米韓FTAの再交渉まで求める野党もあり、野党間で支援策が合意できるかは不透明だ。