自転車ルール:車道走行の徹底 迫られる意識改革

2011年10月29日 12時38分 更新:10月29日 14時31分

 自転車の車道走行を徹底させる総合交通対策を警察庁が打ち出したことで、都道府県警は歩道走行を広く認めてきたこれまでの姿勢を転換する。実際に自転車のルールや取り巻く状況はどう変わるのか。【北村和巳】

 ◇警官注意が増加

 「この歩道は走れないよ。車道に下りて左側を走って」「歩道を走ってもいいけど、ゆっくりね」。このようにパトロール中の警察官が注意する場面が今後は増えるだろう。

 自転車は車道の左端に寄って走ることが原則だが、「自転車通行可」の標識がある歩道は走行できる。幅2メートル以上の歩道が対象で、3月末時点で計7万6614キロと全歩道の半分近くになる。

 警察庁はこれを幅3メートル以上に引き上げる方針で、幅3メートル未満は原則として標識が撤去されていく方向だ。標識がなければ(1)13歳未満か70歳以上か、体が不自由な人が乗る場合(2)車道が道路工事などで通れないか危険な場合--以外は歩道を走るのは違反になる。

 スピードを出したい自転車利用者は車道走行を求められる。警察庁の担当者は「歩道でスピードを出す自転車は車道に行くか、ゆっくり走るよう指導する。繰り返し歩行者を妨害するなら交通切符(赤切符)を切ることもあり得る」と話す。

 ◇交差点の横断

 警察庁の対策は、交差点で横断歩道の横に設けられた「自転車横断帯」を撤去する方針を掲げた。なくなれば、車道を走る自転車は真っすぐ交差点を横断できるようになる。

 自転車横断帯は一般的に歩道をつなぐ形で設置され、自転車が歩道を走ることを前提にしている。横断帯があればそこを渡らなければならないため、車道を走ってきた自転車が交差点を横断しようとすると、いったん左折し、さらに横断帯に向かって右折する形になる。交差点を左折する車に巻き込まれたり、車のドライバーが自転車も左折すると誤解し衝突する危険性があると指摘されてきた。

 歩道を自転車で走り横断帯に進入した場合も、車道との間に街路樹などがあれば車から死角になり、左折車に巻き込まれる恐れがあるとの指摘もあった。

 自転車を頻繁に利用する人々は横断帯撤去の方針を歓迎する。ただし今回の対策では、自転車の走行部分を色や線で区切っている歩道(幅3メートル以上)から延びる自転車横断帯は撤去の対象外となる。

 ◇車のドライバー

 車のドライバーも意識変革を迫られる。自転車を追い抜く場合は距離を十分空けてスピードを落とすなどの配慮が必要。自転車の通行路をふさぐ路上駐車対策も不可欠だ。

 「横を猛スピードで追い抜かれ怖かった」。車道を走る自転車利用者からは車への苦情が多く、自転車が歩道に流れる一因だった。

 警察庁の対策は、自転車が車の仲間の「車両」であることをドライバーにも徹底させるとし、運転免許更新時の講習で自転車の安全を守る教育の実施に努めることを盛り込む。自転車レーンなど専用の走行空間も必要で、片側2車線以上あれば車線を減らす▽利用の少ないパーキングメーターを撤去する--などの方法を示した。

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