主婦年金:政府、過払い分の返還求めず

2011年10月29日 11時39分 更新:10月29日 13時2分

 専業主婦の年金切り替え漏れ問題を巡り政府は29日、本来より多く年金を受け取っている受給者約5万3000人について、過払い分の返還を求めない方針を固めた。当初は過払い分も含め10%を上限に年金額を減額する方針だったが、返還対象者の反発を懸念する民主党の意見に沿って修正。来月1日の同党厚生労働部門会議を経て閣議決定し、臨時国会に国民年金法改正案を提出する。

 年金切り替え漏れ問題は、会社員の専業主婦の妻ら第3号被保険者が、夫の離職などで保険料負担のない3号の資格を失った後も届け出をしなかったために起きた。年金記録を訂正すると切り替え漏れ期間が「未納」扱いになるため、年金受給額が減る。厚労省の試算では本来より多い年金をもらっている受給者は約5万3000人、将来の年金が減る可能性のある現役世代は約42万2000人。

 厚労省は今月13日、民主党厚労部門会議に(1)年金の過払い分のうち時効にかからない過去5年分を今後の年金額から減額し、返還を求める(2)将来の年金額は正しい記録に合わせて減額する(3)減額幅は支給額の1割以内とする--ことを柱とした法案の概要を示した。減額を避けるため、納付期限(2年間)を超えて10年間まで保険料の後払いを認めたり、切り替え漏れ期間を年金加入期間に算入し無年金とならない措置も盛り込んだ。

 (1)について民主党内には「所得の低い人の生活に配慮すべきだ」との意見が強く、厚労省は住民税非課税世帯の人を対象から除く方向で調整していた。しかし、28日の同部門会議で過払い分の返還自体を求めるべきではないとの意見が大勢を占め、同省も方針転換を余儀なくされた。

 ただ、過払い分の返還を求めないことになれば、保険料を納めた人との公平性が損なわれるとの批判が出そうだ。【鈴木直】

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷

PR情報

スポンサーサイト検索

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド

特集企画

東京モーターショー 注目のクルマ

クルマの最先端が集結

東海大学:ソーラーカーレースで連覇!

学生は社会で必要とされる力を身につける