2011年10月28日 19時48分 更新:10月28日 21時5分
内閣府原子力委員会の中長期措置検討専門部会は28日、東京電力福島第1原発の廃炉完了には30年以上(2042年以降)を要するとの報告書を公表した。使用済み核燃料プール内の燃料は15年以降、原子炉内の溶融燃料は22年以降の回収を目指す。前例のない廃炉処理だけに、部会長の山名元・京都大原子炉実験所教授は「現在は炉心内の核燃料を視認できず、工程達成は確約できない」と述べた。
廃炉には「汚染源」の核燃料をすべて回収することが前提となる。報告書では、(1)原子炉建屋内の除染(2)格納容器の損傷部分の特定・修復(3)格納容器内を水で満たす「冠水(水棺)」(4)溶融燃料の取り出し--の4段階で進めるとした。
年内に原子炉の「冷温停止状態」を達成し、早ければ来年から着手する。高線量下の遠隔操作などの技術開発や技術者の育成の必要性なども盛り込んだ。
第1原発は計6基。1~3号機の原子炉内の燃料は計1496本あり、4号機は震災時、定期検査中で燃料はない。一方、プールには1~4号機で計3108本ある。東電は1~4号機の廃炉は決めたが、5、6号機は未定としている。【比嘉洋】